ハッシュタグ 俺RIDEのカスタム・ツーリング情報59件

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    • マリン後輩さんが投稿した愛車情報(Ninja ZX-12R)

      Ninja ZX-12R

      2023年01月30日

      66グー!

      「じゃあお世話になりました〜」
      ディーラーから仕上がった愛車を受け取り、イソイソと押していく。
      「○○がもうメーカー在庫無いので、〜〜がもう廃盤で〜」
      整備のドンが小言、アドバイスをおっしゃる。
      「ハハハ、ですよね」
      思わず苦笑い。
      「ほんじゃま、ウッスウッス」
      そしてセルをしばし長押し。
      キャンギャンキャン!

      ドドンッ!!!!ドルドルドルドル!
      ZX-12Rの久方ぶりの勝鬨。

      「…フフフ」
      ニヤける顔を隠すように、一張羅のフルフェイスのあご紐を締めていく。
      ハンドルを握る。
      愛車に跨がる。
      伝わる振動。
      次第に俺の心臓と脳みそのボルテージが上がっていく。
      「お世話になりましたー」
      静かにディラーから出ていく。
      10分ほどして高速に乗る。

      ヴォォォォォ!バンッ!ヴァァァァァァ!
      雄叫びを上げ疾走する愛車。
      「アヒャヒャヒャヒャ!ヨッシャアアア!」
      俺は爆笑した。


      始まりは友達がバイクにハマったことだった。
      最初は1人が250クラスに乗り始めて、その次にもう一人が400クラスに乗り始めて、そして俺も免許取ろっかななって。
      そして9ヶ月後には、、、
      「俺のヤツぁ200馬力以上でー」
      「バーカ、馬力有っても扱えにゃ意味無くね? その点、俺んは最新の電子制御で〜」
      「、、、ハハハ」
      俺はその時の愛車を見る。
      あんなに好きだったのが、急に色褪せて見えた。

      その夜。
      「なぁ親父」
      家のリビングで笑点を見る親父に話しかける。
      「今度、親父の12R乗っていい?」


      乗り始めて数分で後悔した。
      親父が後生大事にしていた古いバイク。
      ZX-12Rは噂に違わぬバイクだった。
      文句を言い出すとキリがないので、簡単に言うと、ものすごく乗るのに苦労した。
      「あ〜もう!チクショウが!」
      友達(あいつら)をビビらす為に、乗ろうと考えていた自分の浅はかさに反吐が出た。
      そして今日まで乗ってきた親父を尊敬した。
      ビビッて歯を食いしばって、この股下の化け物を手懐ける。
      いや、その気難しい御心に寄り添っていく。
      「ハハハ、こいつは――」
      スゴいですや。 


      苦労して苦労して乗れるようになった12R、ソレに跨り友達とのマスツーに出かける。
      まず加速について行けなかった。
      次にカーブで反対車線に突っ込みかけた、オマケで危うくガードレールにキスもしかけた。
      「おい!大丈夫か」「休憩すっか?」
      友達らの優しさがチクチクした。
      ああ、、、これが20年のバイクの進化かぁ、、、
      でも。
      2車線の有料道路。
      「ぐぐぐ」
      200キロで先行する2台についていく!
      凄まじい風切り音と、チリチリと心臓を焼く恐怖。
      橋に差し掛かり、周囲の風景が開ける。
      吹きつける暴力的な横風!!
      「あ⁉」
      風に煽られ、前の2人がふらつきブレーキが光る!
      フラリと揺れる2つの赤。
      まるで逆走するかのように急激に近付く紅い残光。
      「““““““」
      それらの真ん中を12Rにしがみつきブチ抜く。
      チラリと見たメーター、目に焼きつく数字、3○○。
      最寄りのサービスエリア。
      あーだこーだと話し合い、一通りダベって、ラーメン食って帰路につく。

      「お? おかえり。ツーリング楽しかったか?」
      家に付くと親父、いや父さんが出迎えてくれた。
      「うん」
      「そうか! まぁ、無事に帰ってきてくれて安心安心」 
      「ねえ、父さん」
      「あん?」
      「12R楽しいね」
      俺の言葉。
      「だろう♪」
      父さんはめちゃくちゃ良い笑顔を作った。
      12Rを納屋に戻す。
      傍らに停まっている俺の愛車。
      窓から差し込むオレンジに照らされ輝くソレに俺は跨がる。
      「そうだよなぁ、そうなんだよ」
      トンチキな独り言。タンクに伏せ、スロットルをカチャカチャとひねる。

      「ブオーンブオーン!」


      #ZX-12R #海刊オートバイ #俺RIDE #東○海平

    • マリン後輩さんが投稿した愛車情報(Ninja ZX-12R)

      Ninja ZX-12R

      2022年09月04日

      48グー!

      後編はーじまーるよー


      「なんぼあんちゃうぬうぬしてらっきゃ。急いでらんだが?」
      ふと、東北のSAで休憩してたら隼に乗っていたライダーに話しかけられた。
      「あ、はい。友達が弘前市に居るもんで」
      「まねでばな、からだもち気ぃつけて、へば!」
      隼ライダーが呪文を唱える。
      「???、あ、はい。分かりました」
      「わっはっは!」
      隼ライダーが去っていく。。。
      俺は、いがめんちを食べる。
      「うわ!これ美味すぎんだろ!」
      弘前いがめんちは、とても美味しかった。

      「なるほどな、それで12Rで全国を回ってる訳やな?」
      関西で会ったブラバのライダーが、たこ焼きを頬張りながら俺をつま楊枝で指差す。
      「いや、まぁそうなりますかね」
      俺もたこ焼きを頬張る。
      「ガっ!? 熱っ!」
      口の中でハフハフとたこ焼きを転がす!
      激熱の生地に口の中を火傷しかける、いや火傷した。
      「ガハハ!アンちゃん食うのヘッタクソやなぁ~!で、次はどこに行きまんねんや?」
      「えっほ、ふぎは、、、」
      「なんちぃ?」
      ブラバのライダーが足をバンバン叩きながら大受けする。
      ちくしょーー!こっちはまだ、たこ焼き食ってる途中やっちゅうねん!
      しかし、なるほど。確かにこれは美味いね。

      「ヘェ~!12Rで全国回っとんけぇ!ご苦労なこっちゃのう!」
      中国地方で会った12Rライダーが、がんすを俺に手渡しながら笑う。
      「まぁしんどいですね」
      がんすを食べてみる。ほう、これは中々。
      「じゃろうの!ワシには出来んわ!岡山越えた当たりで腰イワすやろうのぉ」
      12Rライダーがおもむろに、がんすにマヨネーズを搾る。
      俺も真似てマヨしてみる。
      「あ、ヤッベ!美ッ味」
      カメラで記念にマヨがんすをパシャる。
      「もう何キロ走ったや?」
      「そうですね、、、上ったり下ったりして、もうオイル交換をにぃしぃろぉ………」
      これぐらいですかね? と指で大体の数字を表す。
      「バカじゃ。バイクバカじゃ!」
      「がはは!」 「わはは!」

      「で、九州まで来たの」
      九州縦断中に会いに来てくれたZZR1400ライダーが俺にマンゴーつくしのアイスを手渡す。
      「どもども! ですね。やっぱライダーたるもの、九州は何としてでも来たかったですから」
      アイスをペロリ。冷たいのにマンゴーの濃厚な甘さが口から脳天を突き抜けた。
      「ここまで来たんなら、次は鹿児島からの沖縄ね?」
      「いえ、これから福岡まで戻って、それからフェリーで大阪からの関東ですね」
      「ばい~!!フットワークの軽かのぉ!」
      「最速ですからね」キリッ!
      「バカは休み休み言え!」
      「バイクバカですから、ってアッ!」
      アイスの頬張りすぎて、あの頭痛が俺を襲う!
      「おうおう、そんなにおろたえて……ンムっ!」
      1400ライダーにも頭痛が襲った。

      「明日で九州ともお別れかぁ」
      海を望む露天風呂で浸かりながら、しみじみとツーリングを振り返る。
      「たくさん走ったなぁ~」
      「………」
      なんとなく体の向きを変え、向こうに停まっている愛車の12Rを眺める。
      「よく頑張ってくれた」
      まだまだこれからも走るけどな!
      rrr………rrr……。あ?
      手元に置いていたスマホが通知を知らせる。
      手に取って見てみる。

      久しぶり 私分かる? ○○だよ
      今さらだけどアナタの愛が

      俺はポチポチとスマホを押す。
      (アホ✕✕)
      「せいっ!」
      スマホを遠くにぶん投げて、俺は海に向けて仁王立ちで胸を張る!
      「うおぉぉぉぉっっっ!!!!」
      先輩に届くように俺は叫ぶ!
      水平線の遥か先、先輩が笑ったような気がした。
      気が済んだので振り返る。
      12Rも笑っていた。


      #ZX-12R #俺RIDE #東○海平 #おじゃマリン

    • マリン後輩さんが投稿した愛車情報(Ninja ZX-12R)

      Ninja ZX-12R

      2022年09月04日

      43グー!

      ⚠️⚠️⚠️⚠️
      今回は話が長引いたので前編、後編で分けてます
      (´ε`;)ゞ
      どちらか一方でも話としては上手くいってる…はず😅

      前編はーじまーるよー

      バンピーな山陽道を300キロオーバーで疾走っていく!
      時刻は真夜中、貸し切りのような最高の道路コンディション。
      愛車ZX-12Rが俺を乗せて風を切り裂いて征く!
      凄まじい速さで風景が流れる。
      ヘッドライトをビカビカに焚いて、爆音と暴風の中をハンドルにしがみついて疾走っていく。
      「ヤッベェ! 全ッ然見えねぇ!恐ェェェ!」
      眼前に広がるは暗闇、しかしスロットルは緩めない。
      意地と根性と度胸と見栄の4気筒、アドレナリンとエンドルフィンのハイオクガソリンで脳ミソと心臓をブチ回すッ!
      ハンドルのスマホナビを一瞥。
      「よっしゃおらッ!!!!」
      青森まで、あと1000キロ!

      真面目に頑張ることにホトホト疲れた。
      机にしがみつき、青春をドブに捨てた10代。
      高収入な一部上場企業に飛び込み、死に物狂いで働いた20代。
      努力はいつか報われる。
      諦めなければ夢は必ず叶う。
      それを信念に頑張ってきた。
      ……頑張ってたんだけどなぁ~

      30代になった矢先、ソレは訪れた。
      「……ごめんなさい」
      近所のファミレス、テーブルの向こう側で頭を下げる俺の婚約者、そして。
      「許してくれ!」
      深々と頭を下げる俺の大親友。
      「金は払う!だから俺達を許してくれ!」
      対面の2人がテーブルに頭を擦り付ける。
      「……そうか」
      俺は店の外を眺める。
      曇ったガラスに反射して、テーブルの下に、見えるはずもない2人の固く結ばれた手と手が見えた気がした。
      これからはより一層、仕事に励もう。で目の前のボケ共を見返そう、そう心に決めた。
      だ・け・ど。

      「すまない、俺やっちまったらしい」
      直属の上司が俺に勢い良く頭を下げる。
      聞けば、会社での派閥争いに負けたというではないか。
      しかもそれだけに留まらず、なんと1000万単位のチョンボの片棒と、アジア圏への長期出張を押し付けられたらしい。
      「俺はもうオワリだ、お前も俺を切れ」
      やつれた上司の顔。
      入社してこの人にはお世話になった。
      仕事のイロハを叩き込んでくれた、ミスをした時は叱ってくれた。そしてその後は決まって家に呼んでくれて、奥様特製の料理を振る舞ってくれた。
      バッティングセンターで鬱憤を共に晴らした。休日にはバイクでマスツーにも出掛けた。
      「先輩」
      俺は思わず上司、、、先輩の肩を。
      「ダメだ」
      先輩の睨み付ける眼差し。
      「─────」
      「─────」
      「お世話になりました」
      俺は元上司に頭を下げた。

      新たな部署での仕事は、それほど苦労なく馴染むことが出来た。
      そんなある日の昼休憩。
      部内での広報で元上司が正式にアジア圏の支部に配属されることを知った。
      「……そうかぁ」
      それからしばらくして俺は仕事を辞めた。

      「なぁ、俺のバイクを貰ってくれないか?」
      先輩の激励会&俺のお疲れ会での一幕、ベロベロな先輩が俺に訊ねる。
      「え?あの12Rですか、ええ~」
      「頼むよ~」
      「俺より運転上手ェ先輩でも手焼いてんでしよ、俺に扱えっかなぁ~」
      「お願いだって~」
      「あ、そだ!先輩も仕事辞めて俺とバイクで旅に出ましょうよ!でぇ~その様子をヨウツベに~」
      「頼むわ」
      ふと先輩の言葉に違和感を感じ、先輩の顔を見る。
      その顔は真っ赤だったけど真剣だった。
      「承りました」
      俺の言葉を聞くと、先輩は顔を崩して。
      「ありがとう!ありがとう!」握手を求めてきた。
      「そのかわり」俺は先輩の手を握って。
      「代金として、俺の退職金を貰ってくれませんか」
      そりゃお前、、、と先輩が。
      「お願いします」
      俺は先輩の目を見る。
      「ありがとう!ありがとう!ブヒィ!」
      先輩が感謝と変な嗚咽を漏らす。
      「良いんです!良いんです!先輩も頑張って!ズビビ!」
      俺も謝辞と変な嗚咽を漏らした。

      後日。
      「じゃあ、12Rを頼むな」
      「了解しました!」
      先輩から愛車のZX-12Rを受け取る。
      「可愛がってもらえよ」
      先輩が愛おしそうに12Rのタンクを撫でる。
      「じゃあな!」
      先輩がゆっくりとした足取りで帰っていく。
      「先輩!」
      俺は去っていく先輩の背中に声をかける。
      「マジでお世話になりました!また!絶対にまた!」
      俺は一生懸命に手を振る!
      「おう、またな」
      先輩も手を振ってくれた。
      「また!絶対にまた!」
      俺は先輩が見えなくまで手を振り続けた。

      2ヶ月後。
      「あ~走った走った」
      俺は12Rでのツーリングを終えてヘルメットを脱ぐ。
      しっかしアレだな。聞きしに勝ると言うか………。
      「ZX-12Rはバケモノか」
      俺は12Rのタンクを撫でる。
      「明日はどこ行くかなぁ~」
      なんて、明日の予定を立てながら、アパートのポストに手を突っ込む。
      「あん?」
      なんかハガキが来ていた。
      どれどれ、、、

      「──」
      先輩の葬式を伝えるモノだった。


      #ZX-12R #俺RIDE #東○海平
      #僕のリアル先輩は12Rを80諭吉で押し付けてきた

    • マリン後輩さんが投稿した愛車情報(Z125 PRO)

      Z125 PRO

      2022年09月03日

      59グー!

      冷え込む秋の夜長は23時。
      軽く覚悟を固めて愛車に跨がる。
      世間の皆様への迷惑を考えて、手短に暖気。
      目的地に向けて愛車を走らせる。
      しばらくのツーリング。
      「うぉっと」
      ヘルメットの顎下、襟から吹き込む夜風に身震いを一つ。
      そして、これからの事に思いを馳せて、静まり返った国道をダクダクと進んでいく。
      目的地が見えてきた。──それは。

      「到着」
      立ち食いそばであった。
      手早く向かい側の駐輪場に愛車を停めて。
      「いざ」
      一切の迷い無く、動きに淀みを見せず券売機に小銭を投入。
      吐き出される半券を握りしめてカウンターへ。
      「三ツ矢そば」
      しばらくの待機。
      「へい、三ツ矢そば1丁」
      仏頂面の大将から丼を受け取り、カウンターの隅へと移動する。

      「──イタダキヤス」あとはただただ。
      ハフ!ハフ!ズルッ!!ズルルルル!
      喰らう、ただ喰らう。美味い。
      途中火照った口と体からのSOSに、お冷やを流し込む。
      たまらない。
      っと、立ち食いをしていたら。

      ──ドンッ!
      背中より伝わる衝撃。思わず、シタタとカウンターで腹を打つ。
      振り返る。断っておくが、元来立ち食いで他の客の顔を見るのはご法度である。しかし、自らの立ち食いを邪魔されたからには、その無頼漢の顔を拝まずには居られなかった。

      「熱いところを貰おうか」
      「おっと済まないね、ネギ抜きで頼むよ」

      俺は思わず息を飲んだ。
      「……月見の銀二、かけの完七……だと……」
      伝説の立喰士がそこには居た。
      「…お待ち。月見、かけね」
      丼を渡す大将の腕に玉のような汗が吹く。
      銀二と完七が食らう、月見とかけを食らう。
      その姿、その所作、立ち食いの究極形がソコには有った。
      見事という他無かった。
      立喰士とは成ろうと思って成るものでは無い。
      立喰士とは、おしなべて立喰士ゆえに立喰士と成り得るのだ。
      「ご馳走さん、寒い時はこれに限るね」
      銀二と完七が店を後にする。
      伝説の立喰士の立ち食い、思わず俺の頬にハラリと汗が伝った。

      「おい、そこの若いの」
      突如、出ていく銀二に話しかけられる。
      「そばが冷めちまうぜ」
      俺の心臓が早鐘を打つ。
      顔から吹き出るは滝汗、余りの羞恥に丼で顔を隠すが如く一気にそばもスープもキツネもタヌキも胃へと流し込む。
      「ご馳走さん」
      トボトボと俺も店を後にする。
      湯気が上がりそうなほどに温まった顔にヘルメットを被る。
      「──はぁぁぁ」
      顎ひもを締めるために見上げた夜空。

      ヘルメットで見切れた天頂にフォーマルハウトが輝いていた。


      #Z125PRO #俺RIDE #東○海平 #立ち食いそば
      #立喰士


    • マリン後輩さんが投稿した愛車情報(ZZR400)

      ZZR400

      2022年08月28日

      66グー!

      貴方と初めて会った日のことを、私は今でもよく覚えています。

      最新のSSを見に来ていた貴方。
      そんな貴方と店の片隅に追いやられていた私は目が合いました。
      一応は名車なんて呼ばれていた私、でもそれは過去の話で。
      当時ではもう昔のバイクなんて言われていましたね。
      そんな私を一目見て、貴方は……
      「これ買います!一目惚れしました!」
      と言ってくれて、お家に連れて帰ってくれましたね。

      貴方は私に、沢っ山の喜びを教えてくれました。
      ツアラーとして遠くまで走ってくれました。
      回るエンジンを限界まで回してくれました。
      格好いいパーツを一杯着けてくれました。
      もう溢れんばかりの、いや溢れて両手から溢れるほどに愛情を注いでくれましたね。

      旅先で私がトラブルを起こした時は、決まって貴方は笑っていましたね。
      「ありゃりゃ」「おいまたかいの!」「……へへ、このポンコツがぁよぉ~」
      もう私としては、そのまま永遠に沈黙したいほどに恥ずかしかったんですよ?
      でもそんな私を愛してくれた貴方。
      そんな貴方に応えたくて、私も結構頑張ってたんですよ?

      貴方の目が、手足が、シートにかかる重みが、貴方の全てが私は愛おしかった。
      ──だからね。

      どうか貴方は前に進んで下さい。
      貴方の旅路はこんなトコロじゃ終わらない。
      私はここまで、分かるでしょう?
      きっと貴方を幸せにしてくれる愛車が、貴方を待っている。
      お願いだから、ね?
      いい加減に過去の私に囚われるのは止めて、前を向いて下さい。

      私はツアラーで、貴方は旅人だから。
      貴方が疾走り続けてくれる限り、その旅路に終わりは無いのだから。
      距離も時間も飛び越えて、そんな貴方と疾走りたいから。
      今度は貴方の心に私を載せて、旅路に連れてって下さいな。

      貴方の笑顔は私の笑顔。
      貴方の幸せが私の幸せ。
      だから、たまにはそんな私を思い出してね。
      過去なんかじゃない、今の私(貴方)を愛してね?

      さぁ。
      明日は秋の晴れ模様。
      明日はどこに行こうかしら?


      #ZZR400 #俺RIDE #東○海平 #カスタムキャスト
      #とりあえず400万円欲しい

    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2022年05月21日

      53グー!

      「お父さんは認めません」
      父が私の懇願に憮然と言い放つ。
      「なんで!? 友達はみんな乗ってるし私もバイク乗りたい!」
      思わず声を荒げる。
      「ダメです。オートバイなんて認めません」
      「クマキチ君はオートバイで事故を起こして、大きな傷が残ったと言うじゃないか? そんなモノに娘を乗せようとするバカが居るか」
      ふんすッ! と父が鼻を膨らませる。
      「アレは違うよ、アレはクマキチが彼女とタンデムしながら乳繰りあおうとして事故ったんだよ」
      必死に説明。しかし。
      「乳繰りあうだとッ!? お前!そんなことをやろうと言うのか!」
      父のボルテージが上がる。
      「違わい!もういい! このバカ親父!」
      もう知らないッ!!!
      私は立ち上がり飛び出す!
      「コラッ!待ちなさい!」
      追いかけてくる父を振り切って。
      ド! ドドン!
      愛車のセローを叩き起こし!
      「わぁぁぁぁぁ!」
      私は走り出した。


      「なぁ、セロー買わんか?」
      始まりはゼミの先輩の言葉だった。
      「セロー? 何ですかそれ?」
      私は首を傾げる。
      「バイクだよ、バイク。スッゲェ楽しいぜ」
      先輩がニッコニコしながらバイクの魅力を語る。
      「あの私、バイクの免許持ってないですけど……」
      「まぢ? じゃあ取ろうぜ!」
      「ええ~、、、でも、、、」
      ちょっと困惑。
      「そだ!週末に山行くからさ、付いてこいよ」
      しかし、先輩はそんな私を無視し話を進める。
      「いや、だから」
      割とイライラ。
      「じゃあ日曜の朝な」
      先輩、満面の笑み。
      「……はぃ」
      押しきられてしまった。

      そして明けて日曜日。
      「お待たせ~」
      待ち合わせ場所に先輩がやって来る。
      「……え?」──これ?
      先輩の跨がる細っいバイクに面を食らった。
      「さ、さ!乗れ乗れ!」
      先輩がポンポンとシートの後ろ側を叩く。
      「───」
      平均台みたいに細いシート……
      恐る恐る乗ってみる。
      「ほな行くで~」
      トコトコと走り出す先輩にしがみつく。
      「恐いか? カシマぁ」
      頭を縦にブンブンと振る。
      「ガハハハハ!」
      先輩がスロットルを回す!
      ドンッ!セローが加速し、ずり落ちそうになる!
      「キャアアアア!」
      ○すぞ!
      気持ちを込めて、しがみつく手で先輩の横腹を握り込む!
      「わ!痛てぇ!痛てぇって!ワハハ」
      先輩は悲鳴をあげながら笑った。

      先輩にしがみつきながら山へと入っていく。
      途中で先輩の友達たちが合流。
      みんな細っいバイクに乗っていた。
      えっちらおっちら言いながら山を進んでいく。
      途中、先輩がコケる。
      私も巻き添えで濡れた地面にキスをする羽目になった。
      他の先輩たちにもタンデムさせてもらい、キャンキャン言いながら林道ツーリングなるものを味わわされる。
      最初はもうテンションダダ下がりで文句言って帰ろうと思った。
      でもいつの間にか。
      「ギャハハ」「ゲラゲラ」「ケタケタ」
      泥遊びにはしゃぐ子供のような先輩達と同じく。
      「ワハハ」
      私も笑っていた。
      途中……
      「カシマ、ここはお前が行け!」
      いきなり先輩が私に運転の交代を命令してきた。
      目の前には浅く抉れた轍の獣道。
      「やってやろうじゃないですか!」
      受けて立とう!
      無免許も忘れ、その場のノリに圧されセローに跨がる。
      *これはフィクションです*
      *無免許での運転は絶対に止めましょう*
      え? これ高ッ! 足が……足りん!
      ローに入れフラフラしながら進入!
      ガックン!ガックン!と揺さぶられながら。
      「わ!わ!わ!」ブィン!ブィン!
      見様見真似で獣道を進んでいく。
      「カシマ!ビビるな!」
      「そだ!カシマちゃんファイト!」
      「行け!行け!行け!」
      「は!はい!」
      ウルセェ! ○すぞ!
      ………………
      「──出来ちゃった」
      しゃにむにやってたら獣道を走破した。
      振り返り自分が走った獣道を見る。
      ものの数十メートルの道、でもそれはとてもとても輝いて見えた。
      「やったなぁ!カシマ」
      先輩たちが私に追い付いてくる。

      「ヤァッッッタァー!」
      思わず両手を上げてガッツポーズ!
      だがしかし。

      ガックン!

      ハンドルから手を離したためにエンスト。
      そのままセローと共に地面へと倒れる。
      「カシマ!」
      先輩たちが私に駆け寄る。
      「大丈夫か!?」
      先輩たちが私を救助し私の顔を覗き込む。
      「ヘヘヘ」
      私は笑った。


      「──うん」
      「─はい。気が済んだら帰ります」
      「分かってる。私こそごめんね」
      飛び出した後、鬼のように掛かってきていた父の電話に出る。
      怒声、困惑、そして心配。
      電話越しの押し問答。
      少しばかり上擦った父の声に心がヂクヂクと痛んだ。
      「……うん。じゃまたねパパ」
      電話を閉じる。
      「ハアァァ~」
      飛び出し登った山の上、眼下の絶景を見ながらため息。
      なかなかコッチも前途多難ですね。
      他人事のように漏らして、セローの横に座り込む。
      ふとセローを見ると、小さな傷が目に付いた
      傷を優しく撫でる……
      「ん?」
      ふと視界の端に何かが映る。
      ナズナの花が咲いていた。
      失礼して一房を手に取ってみる。
      「知ってるか?ナズナって食べられるんだ」
      いつぞや父とピクニックに行った時の記憶がよみがえる。
      「春の七種にも使われるくらいで、生で食べるととっても甘いんだ」
      「………えい!」 パクッ!
      ナズナを思いきって頬張る!
      「ンうぇッ!」ペッペッペッ!
      すんごく不味かった。
      口を水筒のお茶で濯ぎ、えずきに溢れた涙を拭う。
      「文句言ったろ」
      ヘルメットを被り帰宅の準備を始める。
      ──ポッ
      スマホの画面にメールが届く。

      今日の晩御飯はお前の好きなのも
      早く帰ってきな

      「ぷはっ!」
      パパのメールに苦笑。
      しょうがないなぁ~、
      登ってきた道をゆっくりと下っていく。
      下る道の途中、見落としていた花が咲き誇る場所を見つける。
      ツツジの花が咲いていた。


      #セロー250 #SEROW250 #私RIDE #俺RIDE #東○海平
      #セロー乗ってはしゃぐ29歳児

    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2022年05月19日

      67グー!

      ただいま! 待った? 待ったよね?
      ちょっと入院が長引いて遅くなっちゃったッ!?
      ごめんね!ホッントごめんね!
      でももう大丈夫ッ!
      これからたっっっっくさん!
      疾走ろうね!!!!


      雄叫びを上げるエンジン!
      1万4千回転の金切り声を鳴らして、峠を上っていく!
      みるみるうちに近付くコーナー、暴れる車体と路面の感触。
      すくむ心を奮い立たせて、気合いでコーナーの先へ愛車をねじ込んでいく。
      途端、眼前に広がる美味しそうなワインディング。
      早鐘を打つ心臓にアドレナリンが流れ込む。
      「くはぁ」
      呼吸も忘れ、右へ左へ車体を翻して甘美な喜びを全身で味わい尽くす。
      あぁ~なんて……なんて……
      「楽しんだぁこりぁ」
      ……
      …………


      若い頃、ZXR250に乗っていた。
      ニハンで直4、2眼でフルカウル。
      在りし時代の過激で素敵な愛車だった。
      昼夜飽きもせず走って直して走って直して~そして。
      「あ」
      走り慣れた峠、俺の世界がひっくり返る。
      迫るガードレール、眼前に迫る焼けたアスファルト、真っ暗になった視界に散る火花。
      「ああ、こりゃもうダメじゃ」
      ぼんやりと聞こえる誰かの声。
      「…………」
      呆気なく俺のZXRともいバイク人生は幕を閉じた。


      たくさんの人に迷惑をかけて。
      筆舌に尽くしがたい辛いリハビリを乗り越えて。
      なんとか人並みの生活を取り戻した。
      当たり前な日常、1人前の人生、五体満足で不自由のない日々を謳歌する。
      たまにバイクの話になれば~。
      「昔はヤンチャしたもんだ」──なんて。
      恥ずかし半分で言ってみたりして、1日1日を生きていく。
      いや、生きていた。

      そんなある日に。
      「ぷぁ~、仕事終わりのコーラ最高~」
      仕事終わりで、二車線のまばらな国道を車に乗りながら帰っていると、追い越しから聞きなれた音にブチ抜かれた。
      思わず眼で追うが、当にソレは遥か彼方で。
      耳をつんざく炸裂音だけが耳にこびりついていた。
      「…………」
      コンビニに立ち寄り、スマホでソレの正体を検索する。
      ──そうか……。
      アレはZX-25Rと言うのか………。
      そうか~、なるほどね~。
      傍らのすっかり炭酸が抜けたコーラを無理やり飲み干す。
      胸の古傷がチクッと傷んだ。


      「──ふぅ。疲れた」
      山の頂上の駐車場、熱々の愛車の脇に座り込んで、冷え冷えのコーラを飲む。
      「うぅ、げっぷぅ」うめぇ。
      眼を閉じて深呼吸。
      聞こえる鳥の声と木々のざわめき、じんわりと汗ばんだ体に風が心地よい。
      ──しばしの静寂。
      「よっしゃ!」
      カッと眼を開き、コーラを飲み干して立ち上がる!……おっとっと。
      思わず立ちくらみ。
      よろけながらゴミ箱に空き缶を投げ入れて、戦闘体制を整える。
      「第2ラウンドと行こうか」


      もう~! 相変わらず下っ手くそだなぁ~
      ていうか、老けたね~
      そして重たくなった?
      あぁ、違う違う!そうじゃない!
      イン側に力入りすぎだって、がちがちじゃん?
      ほらもっと腰を落として……そうそう、そうだよ!
      やれば出来るじゃん!?

      って! ああああ!!!!
      ブレーキ!ブレーキ!
      違うギアチェンじゃない!
      びゃああああ!!!


      お前に乗ってどこまでも。
      貴方を乗せていつまでも。
      コーナーの向こう側に夢を見て。
      ストレートの彼方に喜びを歌って。

      「ガハハハハ」
      疾走ろうじゃないか~。

      おっとっと! 安全第一でね。


      #ZX-25R #ZXR250 #俺RIDE #東○海平 #先日峠で25Rにチギられました

    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2021年08月18日

      71グー!

      (そのバイクって何て言うんですか?)
      「これはオフロード、あぁ正確に言えばエンデューロだな」
      (どこのバイクですか?)
      「KTMってとこの250ccのヤツだよ。なぁ、おい見てくれよ。チャンバー!スゴいだろう? この時代に2ストロークだぜ?」
      (──え?すいません、2ストロークって何ですか?)
      「はぁ? おい、マジか参ったなぁ……まぁ良いや。スゴいエンジンが乗ってるってことだよ」
      (なるほど。では最後に愛車の名前を教えて頂けますか?)
      「250EXC TPI」
      「めっちゃ軽くてめっちゃ過激でめっちゃ楽しいバイクだよ」

      愛車から快音と白煙を撒き散らし、ぬかるみを走破していく!
      「ん! ─ン!」
      滑るタイヤをケツで感じ経験と勘を頼りにスロットルを操作。
      ハンドルを振り回し、雨に歪むゴーグルの視界に睨みを効かせる。
      「おい、イケるか?」
      インカムからキンノスケの問いが跳んでくる。
      「おう! イケるイケる!……たぶん」
      短く返事。
      「たぶんて、、、おい頼むぜリンタロウ」
      キンノスケの声。
      知るか! こっちは豪雨のゲロ道を走っとんじゃ! お前みたいに……
      「そっちはエエの! 車で!」
      軽く後ろを振り返る。
      キンノスケの駆るジムニーのヘッドライトに目が眩んだ!
      「ぐあッ! 目が、目がァ!」
      あのク◯ボケ! ハイビームにしてやがった!
      「ギャハハハハ! っうぉ!」
      途端、キンノスケが悲鳴を上げる。
      再び振り返る。
      ジムニーが見事にドでかいオアシスにダイブしていた。
      「アヒャヒャヒャヒャ!」
      俺はしこたま笑って速度を上げる!
      「あ、おい。待て!コラ!」
      おーい!……オラ!……この薄情モーン!

      キンノスケとは長い付き合いだ。
      出会いは地元のショップが催したオフツーだった。
      そこで意気投合し気がつけば10年が経っていた。
      お互い見事に年は30半ば、なのに山を駆け回るガキのように飽きもせず山を走っている。
      もとはお互いにバイクだった。
      でも、数年前にあのバカは谷底に落ちて完全に足をイワしてしまった。
      するとヤツは車で来るようになった。
      あぁ、なんと言うか。ホントに……
      最高なヤツだよ。
      まぁ、実際俺としてはジムニーに荷物とかガソリンとかレスキューアイテムとか詰め込めるから大助かりではあるんだが。

      「オラ、巻くぞ~」
      近くの太い木にウィンチを巻き付けて、キンノスケに合図を送る!
      そして。
      プァパパン! ブィーン!!!
      250EXCを叩き起こす!
      「せぇーの!」
      ミシミシミシミシ! プァァァン!
      軋みながら巻かれるウィンチ、フレームに巻いたハーネスでジムニーを引っ張り上げる。
      ジムニーのマフラーからモノ凄い量の白煙が上がる!
      250EXCも負けないくらいの白煙を上げる!
      「えーと、こういう時何て言うンだっけ?」
      「ああん?」
      「ほら。ふぁいとォ~!」
      あぁ、そういうことね。

      「「イッパァァァァーーーツ!!!」」

      「一時はどうなるかと思ったわ」
      タープの下、鹿番長のイスに座るキンノスケが呑気にコーヒーをすする。
      「よく言うぜ。お前、もしこれでフレーム歪んでたら弁償しろよな」
      俺は地面に置いていたカレーメシに湯を注ぐ。
      「はいはい。了解了解」
      「もしくは1290 Sアドベンチャー買ってくれ」
      「ハンッ!お前みたいな短足じゃ無理だよ」
      「ンだとコラ! テメェ、コーヒーにガソリン入れんぞ」
      悪態をつきながらキンノスケにおかわりを注いでやる。
      しばしの間、2人で空を眺める。
      気づけば降り続いていた雨が弱まってきていた。
      見える空の彼方、かすかに見えるアレは晴れ間か?
      「……ありがとうな」
      「…おう。」
      俺は出来上がったカレーメシにスプーンを入れる。
      「あ! テメェ。自分だけ飯作りやがったな!あ!? しかももう水、無ぇじゃねぇか!」
      どういうことだよ!?
      「ガハハハハ」
      俺はサッと立ち上がりカレーメシを持って逃げる。

      ジムニーや250EXCを壁にグルグルと追いかけっこ。
      よこしなさいよ!
      嫌だよ! バーカ!

      「じゃあ、また競争な」
      「OK。ゴールはてっぺんの見晴らし台で」
      互いに愛車にガソリンを飲ませて戦闘態勢に入る。
      スタートは雲から太陽が出たら……
      ん!? 興奮で開いていた口に大粒の雨が入った。
      思わずえづく。俺は目を背ける。
      「今!」
      並んだキンノスケがフライングをかます!
      巻き上がった泥と砂利が俺を襲う!
      「テメェ! ズリィぞ」
      「勝てば良かろうなのだ」
      こなぁ◯ソォ!
      ゴーグルを乱暴に拭い俺もロケットよろしく出発した。
      木々の間を縫っていく。
      思わず口もとが緩む。
      良いねぇ~

      「「楽しくなってきた!!」」


      #250EXC #俺RIDE #東◯海平 #カレーメシ!

    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2021年08月17日

      64グー!

      全神経を研ぎ澄ませて峠を走り抜けていく!
      右─左─ギアを1へ踏み落とす!
      途端、回転数が跳ね上がりエンジンが雄叫びを上げてマフラーから絶叫が木霊する!
      カーブを抜けてストレートへ。
      スロットルを根性で開けていく!
      迫りくるキツい右カーブ。
      ふと前方に父親とその愛車、CBR929RRのテールランプが見えた。
      「イケる!!!」
      早鐘を打つ心臓に、さらにアドレナリンが流れ込む!
      ビリビリとした恐怖、一寸先に見える◯の狭間に指がブレーキへと伸びる。……グッと堪える。
      ──まだ。
      眼前に迫るカーブ!
      刹那、糸ほどの細い光るラインが見えた。
      今!!!
      ブレーキを握り込む!
      ジャックナイフ寸前の綱渡りのようなタイトブレーキ、恐怖と興奮に歯が割れそうなほどに食い縛ってラインをなぞっていく──
      見事にパス、眼前に長いロングストレートが広がる。
      そのわずか先にCBRのテールランプを捉えた。
      フルスロットル! 身を屈めてロケットのようにソレ目掛けて跳んでいく。
      1000ccクラスのフル加速、轟音と針の穴ほどに狭まっていく世界で
      テールランプの赤を睨み付ける。
      ……だけど。
      「あ」
      これはどういうことだ?
      文字通りスルスルとソレは。
      父親とCBRが私から遠ざかっていた。
      スロットルを緩める。そしてガス欠でもしたのように路肩へと愛車を停める。
      「………」
      ヘルメットを脱ぎ、前方を眺める。
      遥か前方、峠を上っていく父の背中とCBR929RRの後ろ姿が陽炎に消えていった……

      バイクに乗り始めたのは父親の影響だった。
      古くさいバイクを、まるで宝物のように取り扱う父親、その姿を今でも覚えている。
      私はそんな父の姿が子供のように思えて嫌いだった。
      なんで他の所のお父さんは外車とか、キラキラした高級車に乗ってるのに家のお父さんはバイクなんて乗ってるんだろう……
      上手く言えないけど、ソレが恥ずかしかった。
      「そんなガラクタ売ってよ、他の所のお父さんみたいにベンツとかレクサス乗ろうよ」
      そんな事を言ったこともあった。
      「ああ、そのうちな」
      すると父は決まってそんな事を言うのであった。
      そして月日は流れて、私は高校を卒業し社会人になった。
      そんなある日に、仕事から帰ってきてボンヤリと眺めていたニュース、それは訪れた。
      ホンダのバイクレーサーの訃報を告げるモノだった。
      生前の彼の人生や輝かしい戦歴が詳しく説明される。
      その中の1枚の写真、ソレが私の目に焼き付いた。
      カラフルなマシンを駆る彼の姿、ソレが父の姿と重なったのだ。
      私の中に竜巻のようなうねりが生まれる。よく分からない強い強いチカラが私を支配する。

      ──バイクに乗ろう。
      そう思った。

      それからは早かった。
      目を白黒させる母をよそに、テキパキと教習を済ませ。
      チカラに導かれるようにホンダのショップへと足を運び、書類にポンポンと印鑑を押して。
      私の元にCBR1000RR SP SC77がやって来た。
      「本当に大丈夫ですか?」
      心配そうなショップのお兄さん。
      「あらら~」
      なぜか納車に付いてきた母親。
      「では! 行ってきます」
      会釈して私はおニューの装備に身を包んで1000ダボ? と駆け出した。

      走って走って腕を磨いていく。
      別に速くなることが目的じゃ無かったように思う。
      走ることが楽しかった。
      でも目標は有った。
      にこやかに笑い父が私を追い抜いて走り去っていく……
      「お父さんに勝ちたい!」
      「あのニチャニチャした笑顔をギャフンと云わしたい!」
      そう思ったんだ。

      ガックリと肩を落とし、ゆるりゆるりと帰っていく。
      「また勝てなかったなぁ」
      ぶつくさと文句を垂れながら家路を走っていく。
      おかしいなぁ~
      排気量でもパワーでも勝ってんだけどなぁ~
      やっぱアレかな~
      まだまだ下手っぴなんだろうなぁ~

      ファァァァァーンッ!!!
      父のCBRの雄叫びが遠く聞こえた。

      ……ちくしょう。
      絶対に次は勝ってやる!

      ・・・・・
      「ただいま」
      私は家の倉庫、父のCBRの横に自分のCBRを停めて母に声をかける。
      「おかえり。遅かったね」
      母がスイカを切りながら答える。
      「どう? 今回は勝てた?」
      「ダ~メ。途中まで食い下がったけど、最後の伸びで千切られちゃった」
      スイカを2つほど拝借。食べながら母に結果を報告する。
      「あの人速かったもんね~」
      「奥大山のパープルイエロースターだったっけ?」
      私は言いながら笑いそうなる。
      「そうそう! ホント、馬鹿よね~」
      母が懐かしそうに言って、笑って、ちょっと顔を背ける。
      「だね~」
      私は拝借したもう一つのスイカを皿に移す。
      「だそうですよ」そして。

      「パープルイエロースター」
      私はスイカを仏前の笑う父に供えた。
      オマケで割り箸を突き刺したキュウリとナスも供える。

      網戸の向こう側、倉庫に並ぶ2台のCBRの方より風が吹き込む……

      「来年は負けないからね」
      スイカと特製の自信作を前に笑う父、私も笑いかけてやった。


      #CBR1000RR #CBR929RR #私RIDE #俺RIDE #東◯海平 #お盆

    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2021年08月17日

      75グー!

      「まわるよ~まわる、地球はまわる~」
      ご機嫌に歌を口ずさみ俺は走っていく。
      「泣きたくなるよな時も、君に会いに行きたくなっても~」
      スロットルを開け、心地よいトラクションを感じ、グッと力強い加速に身を任せていく。
      「強がるだけ 今は何も。何もわからな~い」
      眼前に西日が彩るオレンジ色の世界が広がる。
      ──おお。
      絶景なんじゃあ~ねぇの!

      この度、少し早めに人生のセミリタイヤをすることにした。
      別にこの世が嫌になってアレを絶とうって訳じゃあ無い。
      ただ、昨今のウィルスとか生活の変化とかその他の色んなしがらみってヤツにホトホト疲れたんだ。
      8年勤めた会社の合理化を好機と考えて軍資金を調達し、旅に出ることにした。
      相棒はTMAX、持ち物は財布とスマホ、そしてシート下に入るだけの着替えと歯ブラシ。
      期限は無い。宛も無い。軍資金か俺のパワーが尽きるまでの旅。

      「………」
      眼前に広がる茜色の空と海に言葉が出てこない。
      この瞬間だけは心と体が解放される。
      自分が今、生きているという実感が俺の全てを光のように打ちのめしていく……
      「……帰るか」
      目にしっかりと光景を焼き付けて駐車場へと踵を返す。
      ──あ。
      そしてふと気付く。
      帰るも何も俺には帰る場所なんて無かったわ。
      「ダハハハハ」
      短く爆笑。

      ではどこに行こうか? 自分の心に問う。
      フランス行きたいな
      そんな声が聞こえた気がした。
      じゃあ行こう。
      俺は次の目的地へと出発した。

      TMAXは最高だ。
      一部ではビクスクは云々だとか言われてるが、コイツは違うんだ。
      本当に楽しい。そりゃモノホンのツアラーとかストファイとかオフロードだとかには敵わないかもしれないけれど、コイツは最高なんだ。
      この旅の中でソレを改めて理解させられた。
      バイクの楽しさと喜びってコレじゃね? なんて考えていた。

      「Excuse-moi où allez-vous?」
      ふと道端の駐輪場でパンを齧りながらスマホを見ていると話しかけられた。
      「Je pense aller voir le fameux champ de lavande」
      俺はグーグル翻訳を使いながら答える。
      「Est-ce un champ de lavande en Provence ?」
      「Probablement ainsi」
      「Alors c'est le meilleur maintenant
      Beaucoup de lavande devrait être en fleur」
      俺の翻訳に、洒落たジェンヌが身振りしながら答えてくれる。
      「Merci beaucoup j'ai hâte」
      「Bon voyage au revoir」
      ジェンヌが煌びやかに去っていく……
      「はぇ~、、、こりゃ令和の渋沢栄一だな」
      眼福、いや感服。では──
      「行きませう」
      俺は目的地を目指して出発した。

      見知らぬ道をナビに従いながら走っていく。
      右側通行におっかなびっくり。
      道すがらの坊っちゃんに手を振られ、にこやかに振り返す。
      ──そして。
      二、三度ほどナビとにらめっこをして──
      ……おおお!
      ついに俺はたどり着いた。
      夢だったプロヴァンス、そのラベンダー畑
      眼下に広がる紫の世界
      体を通り抜けていく華やかな香りを胸いっぱいに吸い込んでみる。
      ──ああ。

      「幸せだ」
      心のそこからそう思った。


      #TMAX #俺RIDE #東◯海平 #1/6の夢旅人

    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2021年07月29日

      67グー!

      わりと早い段階で嫌な予感はあった。
      ウンともスンとも言わないロドスタを前に思案。
      とりあえず一服……
      「……んぁ?」
      アイコスを取り出して気付く。
      ──マジかよ。
      充電切れしていた。
      もう嫌になってドカッと路肩に座り込んで、空を眺める。
      晴れた空に、ワシャワシャとセミの声が響いていた。

      ことの始まりは有給の消化だった。
      貯まっていた有給の為に、平日の水、木なんていう微妙な日程で休みを取る。
      寝て過ごそうとも考えたが、駐車場で寂しそうに佇むロドスタを見て、出掛けることにした。
      「よう、久しぶり」
      カバーを引っ剥がし、久方ぶりに愛車、XL1200CXロードスターに日光を浴びさせる。
      テラテラと艶消しのブラックが輝いていた。
      ────ドドド!ッドッドッド!
      少しばかりの間を置いて、エンジンが始動する。
      思えば、コイツに乗るのはどれくらいぶりだろうか?
      「……?」
      マジで思い出せん。
      上司の課す納期に追われ、雨にお預けをされていたライダーの脳ミソは完全に錆びているようだ。
      ハハハ! 思わず苦笑し頃合いを見て俺はツーリングに出掛けた。

      心地良く弾む愛車にテンションを上げながら走っていく。
      特に目的地は無い。なんとなく彼方の道の駅に行こうかと考えて走っていた。
      ぬるい風が俺を撫でては通りすぎていく。
      季節は7月の下旬、ようやく梅雨が明けてシーズンが始まろうかというところ。
      「夏のバイクは気持ちいいでしょう」
      「風を切って走るってどんなです?」
      会社の同僚や後輩が言う。
      「ああ。良いもんだよ」
      俺は柔和な笑みを浮かべてソレに答えた。
      ……実際は頬を引きつらせているのだが。
      信号待ちで止まる。すると。
      「お?」
      ミラーにフルカウルバイクが映った。
      そして器用にスルスルと車の間を抜けて、信号待ちの先頭へと並んだ。
      フルカウルのライダーが仰ぐように信号を眺める。
      信号が変わる。
      ブアァァァァン!
      けたたましい爆音、一気にライダーが彼方へと加速していった。
      俺も発進する。
      「めっちゃ熱い(気持ち)いいだろうな~」
      そう呟いて、俺は滴る汗を舐めた。

      そんな楽しいツーリングの道中。
      ふと良さげな風景があり、ロドスタを停めて写真を撮ったところで。
      ソレは起こった。
      ─カカカ! チンッ!
      「ん?」
      出発しようとセルを回すと変な音がする。
      「──?」
      バッテリー上がりか?いやでもそれなら回らない筈だし、ならどっかのハーネスか?でもでも……
      動かなくなった愛車を前に悪戦苦闘。
      そして。
      ─────
      ついにウンともスンとも言わなくなかった。

      「…………」
      今さらながら、スマホで似たような不具合を調べる。
      画面が日光を反射し眩しい……
      炒られる肌が痛い……
      てか暑い……あぁ、もうセミがうるせぇよ
      「……あぁ、そもそもが朝の段階で何かヘンだったんだよなぁ」
      チクショウ、これなら部屋で寝とくんだったわ。
      ──なんて、考えてスマホを乱暴にポケットに詰め込んで、ふと気付く。
      「あれ?」
      コイツ、いつガソリン入れたっけ?
      立ち上がり、愛車を左右に揺する。ほんのわずかに水音が鳴った。続いてタンクを開ける。

      「あ」

      タンクの中、乾いたアルミのシルバーがキラリっと光っていた。
      「ダハハハハッッッ!」
      顔を手で覆い爆笑!!!
      おいおいおいおい(笑)
      こいつぁ傑作だ。
      よりにもよって、コレかよ!?
      テメェ何年バイク乗ってんだ?
      マジか引くわぁ。
      「ンフフフフフフフッ」
      頭ん中に幾つもの思いが駆け巡り、笑いが止まらなくなる!

      「おい、兄ちゃん大丈夫かん?」
      ふと道路を見れば
      軽トラに乗ったおじさまが怪訝そうに俺を見ていた。
      「いや、、、んふ!失礼、その─フフフ」
      ダメだ、ツボった。
      「……?。あ、 こりゃアレばい」
      「婆さん、飲みもんば買って来ちゃって。このアンちゃん熱さでヤラれとらすぞ」
      おじさまが何かを感じ、助手席のおばさまと話している。

      「あ、いや、すいません」
      「大したことでは無いんですが」
      俺はプルプルと震える口を引き締めて、毅然とおじさま達に視線を向ける。
      「すいません、この近くにガソスタは有りませんか?」
      俺はおじさま達に尋ねる。

      「え?たまスタ?」
      おじさまが首を傾げる。
      「タマスタなら、この先ばってんが、あ、今日、試合しとらすばい」
      おばさまが前方を指差す。

      「。゚(゚^Д^゚)゚。」
      俺は笑った。
      セミの声がワシャワシャと響く。
      晴れた空、その下に俺の笑い声も響き渡った。


      #XL1200CX #俺RIDE #東◯海平 #欲しい写真見つらず

    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2021年04月12日

      75グー!

      「ンフッ!! ンフッ!!」
      ずるずると滑る地面。
      鼻息を荒げ、全身の筋肉を総動員しカタナを操っていく。
      「あーぁ!やっぱ来ンじゃなかったぜ!」
      自分の無謀に後悔。
      しかし、嘆いていてもしょうがない、気合いと根性でバババババッて登っていく。
      悪戦苦闘すること30分。

      「っしゃ! 着いた!」
      ようやく山頂に到達した。
      尻が汚れるのも構わず地面にドカッと座る。
      自前のコーヒーセットを広げてブレイクタイム。
      「……ふぅ」
      疲れた体にコーヒーが美味い。
      ちと気圧でぬるい気がせんでもないが、それも愛嬌。
      地面から愛車を見上げる。
      「良いねぇ~」
      後光を背負いスクランブラーカタナが威風堂々としていた。

      なんつーか、世間ってヤツに付いていけなくなった。
      変わっていく時代、変わっていく生活、そんな周りのアレコレに合わせていくのに疲れたんだ。
      イレブンカタナに乗り始めて幾星霜。
      最初は憧れから乗り始めた、それから一通りカスタムを重ねて、良い感じにフルカスタムなカタナとなった。

      ツーリングにも行った。
      ミーティングにも行った。
      スピードだって良い感じに出て、速く走れるようになった。

      そんな時に。
      とあるカタナミーティングに行った際に、俺のバイクライフを激変させる出来事が起こった。
      「あれ? 俺のカタナどこだったっけ?」
      ずらりと並んだカタナ、それに埋もれて自分の愛車が分からなくなったのだ。
      仕方ないと言えば仕方ない。
      だってカスタムしてるとは言え、全てカタナなのだ。
      自分はマイノリティーだと思っていた、しかし実際には狭いコミュニティでマジョリティーと化していたことを思い知らされた。
      トンカチで頭をカチ割られるような衝撃だった。

      まずはカタナを純正に戻した。
      どノマールのカタナを眺めて考える。
      俺のやりたいことは?
      俺はコイツで何をしたかった?
      カタナってのは──

      何だ?

      「──そうだ」
      頭の中にビビッとイナズマが走る!
      俺の中に芯が通る!
      頭に浮かんだヤツを紙に起こす!
      うまく書けずに、書いては消して書いては消して、何度も繰り返すもんだから紙がクシャクシャになる。
      ……でも。
      「出来た」
      俺は黒ずんだ手で顔を拭い、笑う。
      銀の車体、差し色の赤、ドコだって走れそうなタイヤ、そして。
      ターミネーターな俺。
      追い求めいた俺の究極がそこにはあった。

      ところ変わって夜の港。
      俺の究極のカタナ、そして究極の俺。揺れる水面、2人のシルエットが映る
      「良いじゃん!」
      心からそう思った。


      新型のカタナを買った。
      理由という理由は……無い。
      あえて言うなら、コイツに乗りたかったからであろうか?
      「…………」
      カタナに跨がり、暮れる夕日をボンヤリと眺める。
      「──帰るか」
      ミラーに掛けていたメットを被りカタナを起こす。
      ドドォンッ!!!
      SS譲りの元気なエンジンが雄叫びを上げる!
      オレは夕日に向かっては走り出した。

      昔から自分に自信ってヤツが持てなかった。
      何でもそつなくこなせたが、全て無難な結果。
      何でも出来た、でもオレにしか出来ないっていうモノは無かった。
      スペシャルではなくオーディナリー。
      何て言うのかな~
      それに気づいた時、こう、、、
      何かがさ、ポキって折れたんだよ。

      そんな時に。
      「あっ」
      街中で信号待ちをするライダー。
      その姿とバイクに釘付けになった。
      銀色の車体、エッジの効いたフォルム、ストファイならではの獰猛なスタイル。
      「──コイツなら」
      オレも 成れる かもしれないと思ったんだ。

      夜の港。
      三脚を立てて、オレとカタナを撮影する。
      今宵、この瞬間この世界で主人公はオレだ!
      酔う。酔いしれる。
      あぁ~最高だあぁ。

      そんな時に。
      「う!」
      突如差し込む閃光!
      目映い光がオレとカタナを射す!
      クソ、誰だよ。こんな時に、、、、
      目を細め、精一杯に光の方を睨み付ける。

      「あ、ごめん」
      スクランブラーなイレブンカタナとライダーが居た。
      「ああ、いえ。こちらこそ……」
      お互いにペコっと会釈。
      ついでどちらともなく、愛想笑いを浮かべた。

      「へぇ~! コイツぁスゴいや」
      スクランブラーカタナに跨がりオレは感嘆をもらす。
      やベェな、こいつはとんでもないぜ。
      「いやいや。君のカタナも良いじゃないの♪ 新型カタナってどう~」
      スクランブラーカタナのライダーが、オレのカタナに跨がりニコニコ。
      「あぁ、新型カタナはですね~」
      オレは現在、スクランブラーカタナのライダーさんの営むバーに来ていた。
      (バーニング・ラム)
      おしゃれで良い店ではないか!
      マンゴージュースを飲みながら、カタナトークに花を咲かす。
      そうだよ。こういうのだよ。
      年も世代も飛び越えて、語り合う。
      オレは(俺達は)こういうのを待っていたんだよ!!!

      「おお! マスター、ノリノリやん」
      常連であろうか? 小太り角刈りのおじさんがオレ達を眩しそうに眺める。
      「そうなんよ」「そうなんすよ」
      オレ達の言葉がハモる。
      思わず互いを見る。
      「「ダハハハハ!」」
      爆笑。
      「仲良いのぉ~。あ、そうだ、写真撮っちゃるわ」
      おじさんがスマホを構える。
      「ハイ、行くよ~お二人さん!」

      「ハイ、カッタ~ナっ!」
      カシャッ!

      カタナ万歳!!!!


      #GSX1100S #刀 #KATANA #カタナ#刄 #俺RIDE #東◯海平 #カタナがゲシュタルト崩壊

    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2021年04月10日

      58グー!

      「あ、桜だ」
      俺はふと、満開に咲く桜を見上げて呟く。
      思わずスマホを構えて撮る。
      青い空にピンクの花びらがとても映えていた。
      「綺麗~」
      タンデムシートに座る年下の彼女も桜を見上げてウットリと呟く。
      「あぁ。そうだなぁ」
      俺達は近くのベンチに座る。
      俺は目を閉じる。
      心地よい風のそよぎと、香る春の香りに身を委ねる……
      遠いあの日が甦る──

      始まりは確か、高校2年生の春であった。
      俺は昔から勉強が出来た。
      連立方程式も古文も英文も化学も、人並みよりは理解が早く、特に復習することもなく気が付けば学年1桁代の成績となっていた。
      まぁ、アレだ。いわゆる頭が良いってヤツだ。
      ただ、俺は言われたことをやってるだけなのだがな。

      そんな時にふと、バイクに乗りたくなった。
      尾崎豊ではないのだが、ただ今を自分ってヤツを変えたかったんだと思う。

      持ち前の頭を使い、反対する両親を説き伏せて中型免許の教習をかち取る。
      そして学校に隠れて、教習を重ねて中型を取得した。
      放課後にバイト、連休に鬼シフトのバイトを組み、金を貯める。
      ニンジャ250R SEを買った。

      休日にスモークシールドのメットを被り遠出する。
      学校にはバレなかった。
      俺には友達が居たが、秘密を共有出来るような親友やバイク乗りは居なかった。
      そんな平日は優等生、休日はライダーという2面相な忍者のような生活をしていたある日のこと。

      「松重シノブです。今日からしばらくお世話になります」
      学校に研修として若い教習見習いの女の子先生がやって来た。
      「松重先生」「シノちゃん先生」
      なんて言われながら皆と打ち解ける。
      俺もやんやりと教材を運ぶのを手伝ったり、黒板を消したりとしていた。
      先生とは言え、俺達と7つしか年が変わらない。先生というよりお姉ちゃんって感じだった。

      で、とある休日に2つ隣の道の駅に行った時のこと。
      俺はベンチでソフトクリームを食べながら、愛車を眺めていた。
      「……カッケェ」
      なんて、 バイクに浸っていたら……

      「あ゜」
      俺を見て女性ライダーが声を上げる。
      「あ゛」
      俺も女性ライダーを見て固まる。
      ジャケットスタイルなシノちゃん先生がソフトクリームを持って、そこには居た。

      「ユウジ君、バイク乗ってたんだね~」
      シノちゃん先生がソフトクリームを頬張りながら尋ねる。
      「ええ、はい。まあ」
      やベェよやべぇよ。
      背中に脂汗が伝う。
      うちの高校はバイク禁止だ。
      バレないために俺は優等生を演じていた。
      加えて、バイクに乗る条件の1つに学校にバレないってのが有った。
      どうしようどうしようどうしよう。
      「ああ、そんなに怯えないで。大丈夫、学校になんか言わないよ」
      シノちゃん先生が俺の様子を察し、俺にそう言って笑いかける。
      「……ホントですか」
      「うん♪ 逆に嬉しいよ」
      ……嬉しい?
      「いや、だってユウジ君みたいな真面目な子もバイク乗るんだなぁって思ったらね」
      シノちゃん先生がコロコロと笑う。
      ──あ、これ大丈夫らしい。
      俺は胸を撫で下ろす。
      「愛車はニンジャ?」
      「はい。ですね、あのシノちゃん先生──あ、松重先生は」
      「シノちゃん先生で良いよ」
      シノちゃん先生が遠くに停まった大型バイクを指差す。
      「……マジすか」
      「うん!私の愛車!」
      ソコにはGPZ900Rが停まっていた。
      「あ、そうだ! これから一緒に走らない?」
      「ええ、でも250と大型じゃ」
      「関係無いよ! 私、乗るだけでアップアップだしヘーキヘーキ♪」
      「同じニンジャ乗り同士!仲良くしようよ♪」
      シノちゃん先生が眩しく笑う
      「──ウッス!」
      俺も笑った。

      それからは楽しかった。
      どこか息苦しかった学校も楽しく思えるようになった。
      学校ではお互い、バイクのことを尾首にも出さず、休日になると場所を選び2人でツーリングに出かける。
      ちょっとした火遊びとでも言えば良いか?
      「姉弟ツーリングですか?」
      そんなことも道中のライダーに言われたこともあった。
      なるほど、遠からずといった感じだ。

      いつからだろうか?
      そんなことを続けていくうちに。
      「あのシノちゃん先生!」
      俺の中に募るモノが有った。
      夕日を背にしシノちゃん先生を呼ぶ。
      「うん?」
      シノちゃん先生が振り返る。
      「あの──」
      上手く口が動かない!
      ええい! クソ! こんな時に!
      固まる口を、筋肉を引っ剥がすように強引に動かす!

      「俺と付き合って下さい!」

      声を上擦らせ、頭を深々と下げる。
      言った! 言っちまった!
      心臓がレブるエンジンのようにバクバクと脈打つ。
      どうだ? どうだ? どうなんだ?
      俺は少しだけ顔を上げて、シノちゃん先生を伺う……

      「……ごめんなさい」
      シノちゃん先生はそう言って頭を下げた。

      ──ああ。そうか。
      俺は体を起こし空を眺める。
      「──ですよねぇ~」
      「──うん」
      「あぁ、マジかぁ~」
      腰に手を当て深呼吸。
      そりゃそうだ。コッチは17そこらのガキ、シノちゃん先生は20半ばの大人。
      そりゃ~そうだろうよなぁ。。。

      「でもね。ユウジ君嬉しかったよ」
      シノちゃん先生が夕日を眺める。
      「俺がもう少し大人だったらOKでした?」
      「う~ん。それでもダメかな」
      「おいおいおい」
      マジかよ。大惨敗ではないか。
      「君が忍者に乗ってたらOKだったかも」……なんて。
      シノちゃんが悪戯っぽく笑う。
      2人で爆笑。

      「あ、流れ星」
      シノちゃん先生が空を指差す。
      俺は空を眺める。
      その時に

      あっ

      俺の頬にナニかが優しく触れた。
      「………」
      「………」
      「さ、帰ろうか! 少年よ!」
      シノちゃん先生がピョンピョンと跳ねながら歩いていく……
      「──ウッス」
      俺も付いていった。

      シノちゃん先生は無事に研修を終えた。
      サプライズで俺は花束を送った。
      シノちゃん先生は泣いて喜んでくれた。
      俺は学校を卒業した。
      そして大型免許を取り、忍者を買った。
      長いこと乗った。で遊び尽くして
      今度はニンジャ1000を買った。

      そして現在の俺は──
      「……ふぅ~」
      目を開ける。身に映るのは桜と大切な存在。
      俺はニンジャ250に乗っていた。

      「ユウジ君~」
      年下の彼女が俺を呼ぶ。
      「一緒に写真撮ろうよ~」
      桜の下、彼女がピョンピョンと跳ねる!
      「おう。今行くわ」
      俺は髪をかき上げて、彼女の元へと向かう。

      季節は春。
      俺はこれからもずっと。
      「いくよ~3、2」
      いつまでもずっと。
      「1!」
      何度でもずっとずっと。
      パシャっ!

      お前と共に。


      #ニンジャ250R #GPZ900R#ニンジャ1000 #ニンジャ250 #俺RIDE #東◯海平 #桜とカワサキ

    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2021年04月10日

      49グー!

      時速150キロ越えで走っていく。
      ミラーを一瞥。
      遥か後方、小さくヘッドライトの光りが見えたような気がした。

      「ン!」
      さらにスロットルを開ける!
      途端に絶叫するエンジン!
      タコメーターの針が躍り、一瞬で速度が200キロへと達する!
      ミラーを再び見る。
      「………」
      もうそこには何も映っちゃいなかった。
      俺は中指を立てた。

      昔から偉そうにしてる奴ってのが嫌いだった。
      やれ、あーだこーだと持論を声高らかに唱えては、気に入らない人や物をこき下ろす。
      そういった輩がもう虫酸が走るほどに大嫌いだった。
      だから。
      「え? それどう意味ですか?」
      「いや、それ違うでしょう?」
      「ん? 何か言ってること変わってませんか?」
      見つけ次第、そいつの矛盾や、お高く留った持論ってヤツを完膚無きまでに叩き壊してやった。

      そして俺はバイクが好きだった
      ──だけど。
      最近のバイクは~
      「4気筒が~」「 2気筒なんて~」
      「俺の若い頃はな~」「昨今の若いライダーは~」
      悲しいかな。
      俺の好きなバイクこそ、そういう輩が多かった。

      反吐が出た。

      バイク万歳と叫びながらも、その実はカビの生えたような考えを押し付けて。
      激変する時代に必死に生き残ろうとするバイクメーカーや、バイクに乗ろうとする新米ライダーの足を引っ張っているのだ。
      一言、老害である。

      ──だから。
      「あの」
      そんな老害(やつら)を見つける度に。
      「へぇ~。そうなんですね」
      おだてて、煽って。
      「じゃあ、そのご自慢のバイク見せてくださいよ」「え?逃げるんですか? っハ!しょうもな!」
      おちょくって。
      勝負をした。

      G◯Zだけを◯者と呼ぶ会
      空冷4発愛◯会
      ◯会、北◯団、◯◯塾
      色んなチームやライダーを叩き落としてやった。
      口先だけの わけ知り顔どもを叩き落とすのは痛快だった。
      そして、そんな通り魔のような事を続けていたら──

      「ん!? ブラックバード!?」
      「撃墜王だ!」
      「黒い凶星!逃げろ! 殺されるぞ!」

      ブラックバード、撃墜王、黒い凶星。
      そんなあだ名を付けられるようになった。
      おかしいな。
      ただ、俺は気に入らないヤツを黙らせてるだけなのに……

      「おい! オッサン!」
      ふと、夜明けのSAで声をかけられる。
      「あんた、ブラックバードだろ!? 俺と勝負しろよ」
      声を荒げ、若いライダーが俺に勝負を吹っ掛ける。
      「……そういうンじゃないんだ」
      消えろ。っと手でライダーを追いやる。
      「はぁ!? テメェ舐めてんのか!」
      ライダーが俺のジャケットの襟を掴む!
      「………」
      参ったな。
      「もうお前さんの勝ちで良いから」
      「ふざけんな!逃げんじゃねぇよ!」
      「もう今日だけで3人墜としてんだ、察しろクソガキ」
      俺は愛車のCBR1100XXスーパーブラックバードへ、アゴをしゃくる。
      ブラバのシートには都合3枚のチームステッカーが貼られていた。
      「上等だよ! お前墜せばソックリそのまま俺のモンじゃねぇか!」
      「………」
      「……ンだよ」
      俺の無言の眼差しにライダーが怯む。

      「お前、愛車は?」
      「あん? お前と同じ前期型のブラックバードだよ」
      「チームは?」
      「入ってねぇよ、群れるのは嫌いだ」
      「お前、なんでバイクで勝負してんだ?」
      俺はライダーに質問を続ける。

      「そりゃ、あれだよ。口だけの奴らを黙らせるためだよ!いつまでも老害どもにデカイ顔されてて堪るかよ」
      「……老害か」
      「あん? だってそうだろ。お前だって──」
      「……分かった」
      俺の言葉にライダーが目を光らせる。
      「でも。今からはダメだ」
      途端にライダーがいきり立つ!
      俺は自分のジャケットのワッペンを剥がしライダーに渡す。
      ワッペンには日本を咥えた鷹の絵が描かれていた。

      「あ、えっと、あのこれは」
      状況が理解出来ないのか、ライダーが しどろもどろに口ごもる
      「夜までお前に預けるから、それを人質に12時間後に またココに来てくれや」
      「……」
      「な」
      「……はい。──じゃねぇ!分かったよ。逃げんなよ!」
      ライダーが何度か振り返りながら去っていく。

      「いつの間にか俺が老害か」
      なるほど、やってるこたぁ~
      アイツらと同じ価値観の押し付けだもんなぁ
      何とも皮肉なモンだ。
      「スゥ~~………ハアァ~」
      レッグバックからタバコを出して一服。
      夜明けの空に煙を吐く。
      愛車のブラックバードに朝日が差す。
      ──さてと。
      立ち上がって愛車へと近付く。
      「だからって墜されるわけにゃいかんよなァ」
      マダマダな。

      そして翌日。
      SAに雄叫びが木霊する!
      「準備良いかい? 坊や」
      「おう来いや! オッサン」
      2台のブラックバードが熱気に陽炎を揺らめかせる。
      ヘルメットのシールドを共に閉じる。
      ブリッピングしボルテージを上げていく……

      「「行くぞ」」
      激しいスキール音!
      ロケットスタートで2匹の黒い大怪鳥が飛び出した!


      #CBR1100XX #SuperBlackBird #俺RIDE #東◯海平 #HONDAのHONKI

    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2021年04月10日

      54グー!

      「ステイ!」
      私の言葉にボーダーコリーのシューぺリアと、バーニーズのトラバントが伏せて私の顔を伺う。
      「ジャンプ!」
      私は高く手を掲げる、2匹が勢いよく立ち上がり、ピョ~ン♪と跳ねて、私の手にタッチを行う。
      「バンッ!」
      私は指でピストルを作り、2匹に向けて放つ。
      (ワフッ)(ウォフ)
      2匹がコロンと寝転がる。
      シューぺリアとトラバントが流し目に私を見る……

      「良し!」
      (ワンッ!)(ンフッ!)

      私の言葉を聞くやいなや、ピョンピョン跳ねながら、2匹がじゃれついてくる。
      「グー! ベリーグーね♪良し良~し♪」
      ご褒美の生ジャーキーを配りながら2匹を撫でる。
      「流石っすね~。見事なもんですわ」
      近くに居た同僚のポンタが顔を、柴犬のラオウに舐められながら喋る。
      「そりゃドッグトレーナーですから──っぁ!」
      大型犬の2匹にじゃれつかれ、私は倒れて。
      「キャ~!!!」
      ここぞとばかりに、顔や手を舐められてベロンベロンになった。

      「シュペ~、トラ~」
      気品のある飼い主さん夫婦が現れて、2匹を呼ぶ。
      2匹がそれに気付き、飼い主さん達の元へ走っていく。
      リードを優しく付けられ、2匹の尻尾が嬉しそうに揺れる。
      「では、また木曜日に」
      「はい。今日もありがとうございました」
      にこやかに飼い主さん夫婦が笑う。
      (ワフッ♪)(ウォフ♪)
      シューぺリアもトラバントも笑った。

      私はドッグトレーナーだ。
      昔から犬が好きだった。
      小さい頃から、たくさんの家族を飼ってきた。
      そんな中で、訳有りな わんこと会った。
      暴れん坊だった、気にはなっていたけど、、、
      自分や家族が噛みつかれるのが恐くて手が出せなかった。
      しばらくして、その子は飼い主に噛みついてしまった。
      ──救えなかった。
      だから、次は救いたいと思った。

      「ところで姐さん」
      ポンタが私を愛称で呼ぶ。
      「週末楽しんできて下さい」
      ポンタが言って笑う。
      「そうね。久しぶりだもんね~」
      私も週末のことを考えて笑った。

      「ども~、予約してた──」
      新たなお客様がやって来て
      ワンワンワンワン!!!
      ワンコが弾丸のように飛んできて
      「わぁ~~!!!」
      「おぉ~~!!!」
      2人でタジダジになった。

      ドドドドドドドド!!!!!
      4台で連なって走っていく。
      今日は仲間内のツーリングだ。
      愛車は皆、イントルーダー400クラシック。
      マシンは一緒だがカスタムは様々、ナローやインスパイアなど4台4人で思い思いのスタイルを作っていた。
      「到着~」
      先頭を走る私は言って、後方に手信号を出し、道の駅へと入る。
      「ふぃ~」「お疲れッす」「あ、豚串美味そ~」
      みんなでガヤガヤしながら楽しむ。
      楽しい。
      みんなも楽しそうだ。
      仕事でもプライベートでも世話を焼く。
      性分なのだろうか。たまらなく、それが楽しかった。
      そして。
      また連なって走っていく。
      そんな時に
      「うおっ!」
      仲間の1人の声がインカムを遠し聞こえた。
      それと同時に。
      ───ヒュイン!!!
      「きゃっ!」
      凄まじい速さで、私達を何かが追い抜いて行った。
      それは、さらに前方でテールランプを光らせて追い抜いていく。
      少し古いスポーツバイクだろうか?
      「あっぶねぇ」「頭沸いてんか?」
      インカムで愚痴が飛び交う。
      「だね~」
      私も愚痴った。

      そんなある日。
      「あの、よろしくお願いします!」
      バイクのチームに新たな仲間が加わった。
      小柄な可愛らしい女の子がペコペコと頭を下げる。
      「うんうん!」「ひゅ~♪」「俺、マサヒコ」
      野郎達が色めき立つ。
      「スミレです!」
      彼女、スミレちゃんも勿論、インクラ乗りだ。
      大きな車体に小柄な彼女、とても微笑ましかった。
      どう言ったら伝わるだろうか、、、
      「ポメラニアンみたい」
      仲間内の1人が呟く。
      なる程、言い得て妙だなと思った。
      ツーリングに出かける。
      野郎達がインカムを通してスミレちゃんに話しかける。
      あぁ姫よ、蝶や花よ、といった感じだった。
      「アハハ」
      思わず乾いた笑いが出た。
      現金なものである。

      少しずつチームの形が変わっていく。
      今までは私が皆を引っ張る感じだった。
      ──それが。
      「ねぇスミレちゃん知ってる?」
      「あのね、スミレちゃんこれはね」
      「あ、そうだスミレちゃん」
      スミレちゃん スミレちゃん スミレちゃん

      「…………」
      気が付けば私は1人で温泉街に来ていた。
      足湯に浸かりながら景色を眺める。
      「……たのしいな」
      誰に言うでもなく呟く。
      ふと、湯槽の水面を見る。
      映るのは、据わった眼力と力仕事に鍛えられたソレ。
      ロットワイラーがそこには居た。
      「あの」
      話しかけられる。
      「隣いいすか? 」
      言われて相手を見る。
      「あっ」
      相手が声を上げる。
      「え」
      私も声を上げた。
      「姐さん」「ポンタ」
      カジュアルライダーな姿のポンタが、そこには居た。

      「やっぱ~、みんなソッチの方が良いよね~」
      私は何となく、思ってたことを素直にポンタに喋る。
      「あぁ~、ですかね~」
      ポンタがバツが悪そうに目を伏せる。
      「………」「………」
      お互いそれ以上は話が続かず、足湯に浸かり、温泉街を眺める。
      「姐さんはどうしたいんです?」
      ポンタが尋ねる。
      「……分かんない」
      私は答えられなかった。
      「ポンタはどうしたら良いと思う?」
      今度は私がポンタに尋ねる。
      「う~ん。俺の口からは何とも」
      ポンタはそう言って。
      「っでも!」
      勢い良く立ち上がった!

      「俺は好きですよ」

      「……え?」
      私は思わず思考が止まる。
      「あの、その……何て言うか」
      ポンタが改まる。
      「俺は愛玩犬より頼れる番犬の方が好きです」
      「………」
      「あ、中でもロットワイラーとか大好きですね」
      言うが先か、ポンタの顔がみるみるうちに赤くなっていく──

      「じゃそういうことなんで!あの姐さん、お大事に!」
      ポンタが急いで靴を履き、足早に走っていく。
      そして遠くに止まっていたバイクに跨がった。
      ──あれはGSX-R400だろうか。

      ブォン! ブォブォブォブォッ!
      ペコペコと幾度も私に会釈をして
      ブォォォォォォオン!!!
      ポンタは去っていった。

      「ふーん、なるほどね」
      私はそう呟いて。
      「よいしょ」
      立ち上がる。そして。
      クンクン!
      私は鼻を使い辺りの匂いを嗅ぐ。

      ふむふむ、なるほどね
      香る硫黄の香り、その中に仄かに漂うアイツの匂い。

      「ワンワンワォーン!」
      愛車のインクラに跨がり、愛車を起こす。
      ドドン! ドドドドドドド!
      ゆっくりと、匂いを追って走り出す。

      鼻と耳をそばだてる。
      待ってなさい、きっとすぐに捕まえてあげるから。

      「逃がさないからね」
      絶対に逃がさないんだから!


      #イントルーダークラシック400 #俺RIDE #私RIDE #東◯海平 #これじゃ番犬じゃなくて狂犬だよ

    • マリン後輩さんが投稿した愛車情報(ZZR400)

      ZZR400

      2021年03月23日

      75グー!

      その昔、ZZRというカワサキのバイクが有った。
      シャチみたいにヌルッとした車体に、元気なエンジン。
      300キロに届くような過激なツーリングから、街乗り、何泊もするようなロングツーリングまで、何でも出来る万能なマシンだった。
      まぁ、今じゃソレも彼岸の彼方に追いやられ続けているんだが……

      「~♪~♪」
      鼻歌でBGMをつけながら走っていく。
      「フンフ~ン♪ランララ~♪」
      カワサキの4気筒とBEETが織り成す極上のサウンドに酔いしれながらのツーリング。
      最高だ!
      「おっ!」
      そんな感じで、ご機嫌なっていると、これまた良さげな風景が広がった。
      愛車を路肩に安全に停めて、バックからカメラを取り出し構える。
      ピピ! パシャッ!撮影。
      「ん~♪ 良いねぇ~」
      最高の写真が撮れた。やったぜ!
      そして再び愛車、ZZR400に跨がって走り出す……

      俺の愛車、ZZR400は特別なバイクだ。
      と言っても、何かワンオフとか限定モデルって訳では無い。
      コイツは俺が親父から譲ってもらった、、、いや、受け継いだバイクだった。

      親父はバイクが好きだった。中でもカワサキ車が好きで、とりわけZZRシリーズにゃ目が無かった。
      「あ! 1100!あれは600!モホホ400じゃねぇの! こらまた250ですか!」
      50近いオッサンが子供のように目を輝かせて、はしゃいでいたのを覚えている。
      「おとーしゃん! じーじーあーる」
      そんな親父を見ているうちに俺もZZRが好きになった。
      よく親父のツーリングにも付いていった、フカフカのタンデムシートに乗り、親父のジャケットの脇のベルトにしがみついていたなぁ~
      時代遅れのキャブの息づかい、ガソリンの匂い、構造がアナログ、ラフゆえのドコか温もりを感じさせた乗り心地。
      「懐かしいなぁ~」
      思わず声が出た。
      「でも」──でも

      「◯んじまったんだよなぁ~」
      親父はもう虹の向こうへとロンツーに出ちまった。

      ……え? 何故かって? 理由?
      「カニ食ってイっちまったんだよ」

      スベスベマンジュウガニをよ!

      忘れもしない6年前の夏、あの日は親父と俺とお袋の3人で海にキャンプに行っていた。
      楽しかった。海で遊んで、バーベキューで焼きそばも食べて、そして夕方に3人で浜辺に座り、沈む夕日を見ていたんだ。
      ……そしたらよ。
      「あっ! カイト見てみろ! カニが居るぞ」
      親父が大袈裟に声を上げ、近くを歩いていた小さなカニを掴んだ。
      そして……
      「どれどれ食べてみよう!」
      食った。
      おそらくは俺とお袋を笑わせようとフザけたのだろう。
      しかし残念ながら、そのカニはオフザケでは済まない毒を持っていて……
      「う!」
      顔がサツマイモのように変色する親父、しつこくフザけているんだろうと思った。
      でも、それはリアルガチマジで。

      「……お父さんイっちゃった」
      「うん。バイバイしたね」
      お袋と俺は葬式の会場で呆けていた。
      親族や親父の友達、バイク仲間も同様だった。
      坊さんのお経が粛々と響く……
      「……すべすべまんじゅうがに」
      俺がポツリと呟く。
      「んくッ!」「んお!」
      お袋と誰かが吹いた。
      会場の大半がプルプルと肩を震わせる、、、
      ピリピリとした緊張が走る、そして。
      「ブハハハハハハ!」「んフフフフフフフ!」「おま! トバしてイったんじゃなく、カニて!」
      爆笑が会場を包んだ。もうめちゃくちゃだった。
      笑いをこらえ目尻を拭うお袋、笑ってモモを叩く親族、お経を詠みながら肩を震わせる坊さん。
      あぁ、ホントもうメチャクチャだよ……

      「先ほどは大変失礼をいたしました」
      「伏してお詫び申し上げます」
      「本当に申し訳ありませんでした」
      式の後、大人達がお袋と俺に深々と頭を下げる。
      「いえいえ、良いですよ! 今日はあんな阿呆の為に~」
      お袋が断りながら、ペコペコと頭を下げる。
      「あ、そうだ! バイクどうしましょう」
      ──え? 今? ここで?
      お袋が訳の分からないことを言い出した。
      大人達もあーだこーだと何故か乗り出す。
      「私が乗りますよ」「いえ、自分はご主人に生前は本当にお世話になりました! だから自分が」
      「私にご主人のZZRを譲って頂けませんか?言い値で構いません! 例え200万でも300万でも出させて頂きます!」
      ワチャワチャと大人達が騒ぐ。

      ん? ふと親父の眠る棺桶を見る。
      「あ」
      半透明の親父が棺桶に座り、コッチを見ていた。
      「──」
      親父も気付いたのか、俺に手を振る。
      「おとうさん」
      「───」
      親父が口を動かす、しかし声は聞こえない。
      ……でも、俺には親父の言葉が伝わった。
      俺は親父に頷く、おとうさんは満足そうに笑った。
      「あの!」
      大人達へと振り返る。
      「おとうさんのじーじーあーるは僕がのります」
      しっかりと言葉を伝える。
      そして。
      「おかあさん」
      俺はおかあさんの手をしっかりと掴む。
      「僕が運転するから、また一緒にツーリング行こうね!」
      お袋に気持ちを伝える。
      その瞬間、お袋は初めて泣いた。
      お袋と俺、抱き合ってオンオンと泣く。
      つられてみんな泣いた。

      ヴォォォォーンッ!……rrr。
      宿泊する宿にZZRを停めて、電話をかける。
      「あ、もしもしお袋? 付いたわ、無事到着です」
      「あらそう、お疲れ様。今回はドコに行ってるの?」
      「広島」
      「ふーん。じゃお土産は桐葉菓でヨロシクね」
      「okok! じゃまた、そっち帰る時に連絡するわ」
      「うん。気をつけてね」
      「ういうい、じゃあ」
      電話を切り、宿の受付へと歩いていく。
      「あの、17時から予約していた者ですが」
      一通りの手続きを済ませる。
      「今日はどちらから来られたんですか?」
      受付のお姉さんが俺に尋ねる。
      「◯◯からです」
      「あ、そうですか。バイクですか?」
      俺はロビーの下に佇むZZRを見る。
      「はいッ!」
      胸を張って答えた。
      「あ、そうですか。お気を付けて」
      柔和な笑みを浮かべるお姉さん。
      俺もニッコリと笑った。
      ZZRをもう一度見る。
      心なしかZZRも笑っているように見えた。
      「あ、そうだ。ご夕食ですが……」

      「海鮮カニ御膳と広島牛御膳、どちらになさいますか?」
      「……」
      「……」
      「広島牛御膳でお願いします」
      俺は両手でピースをし、そう答えた。


      #ZZR400 #俺RIDE #東◯海平 #1000投稿 #ZZRちかっぱ隊

    • マリン後輩さんが投稿した愛車情報(Ninja ZX-12R)

      Ninja ZX-12R

      2021年03月22日

      93グー!

      思えば今年で40になろうとしていた。
      あぁ、年月ってヤツは早いもんだ。
      そんなことを考えながらスロットルを開けて走っていく……

      「うおッ!」
      スクリーンから顔を出しては引っ込める。
      現在、俺は愛車のZX-12Rに乗って鹿児島を目指していた。
      目的地は佐多岬。
      理由は無い。強いて言えば、なんとなく行かなくてはと思ったからであろうか?

      メーターの針は時速250キロ越え。
      轟音と振動の中を、スクリーンとカウルに守られて貫いていく……

      あと600キロ。
      スマホのナビを一瞥し、ただ黙々と山陽自動車道を走っていく。
      思えば12Rとの付き合いも15年、距離にして16万キロを突破した。
      新車で買ったコイツも、もう立派な旧車(ロートル)だ。
      何度もコケた、何回も修理した、もはやエンジンなんて3機目、新車(あの頃)から残っているのはフレームとメーターぐらいのモノである。

      500。
      SAにて180キロ毎の給油をしながら、ミラーに映った自分の顔を見る。
      メットの中の浅黒く焦げた肌、目尻のシワ、、、
      「……フ、老頭児か」──笑えんな。
      そう呟いて──良し。
      並々と注がれたハイオク、腹ごしらえをした愛車のダミータンクを撫でて、メットのシールドを閉じる。
      「おん?」
      ふと隣に入ってきたライダーと目が合った。
      乗ってるバイクは現行のSS。
      そして乗ってるライダーもメットから見える目と肌がピチピチに見えた。……現行車(者)か
      「ガハハ!」
      声高らかに笑い、そして互いにペコッとお辞儀をして。
      ヴォヴォヴォヴォ、バァンッ!
      ヴゥゥゥゥアァァァァンッ!
      耳をつんざく爆音をかき鳴らして再び走って行く。

      300。
      中国道から九州自動車道へ。
      「ぬぬぬ!」
      ラグナセカばりのテクニカルカーブに悪戦苦闘、時速300キロにも耐えうる剛性が仇となり、カーブの度に凄まじいGに全身の筋肉が悲鳴を上げる!
      踏ん張る足の親指がつる!
      ハンドルにしがみつく腕の上腕がピキピキと震える。
      右へ左へと移り行く状況に目が追いつ──
      「舐めんな! そんなにジジイじゃねぇ!」
      気合いと根性でねじ伏せていく!
      昔の俺よ、ほら見ろ!
      まだまだぁ!俺ぁまだ耄碌しとらんぞ!
      170キロ越えで走って行く……

      100キロ。
      九州最南端の桜島SAを横目に通過し、下道へ。
      再び愛車にハイオクをがぶ飲みさせて桜島フェリー乗り場へと急ぐ!
      しばし休憩。
      愛車の上に突っ伏す。待合室には行かない、寝そうだった。
      そして時間になりフェリーの中へと進んでいく……

      短い航路。
      名物のやぶ金うどんを無心で食べる。
      「おおぅ~! ふぁぁぁ」
      見えてきた陸に心が踊る、鎌首をもたげる睡魔に目蓋が痙攣する。
      では行かん!
      カタパルトから飛び出すガンダムが如く桜島へと勇み入る!

      90
      海沿いの224~269号線を目薬とエナジードリンクをキメて走っていく。
      「おう!」「おお!」「おんおん!」
      すれ違うライダー達とヤエーを交わす。
      気持ちの良いワインディング、思わずスロットルをラフに開け──
      ……かけて。
      「──」
      思い留まる。
      見れば田園風景の合間、側道にパンダカラーのア奴らが待機していた。
      「~♪~♪」
      鼻歌混じりに走っていく~
      もう少し……もう少しで……
      そして。

      「ハァァァ」
      モニュメントの前に愛車、ZX-12Rを停める。
      騒ぐ風と磯の香りを全身で感じる。
      しばし目を閉じて、心が凪ぐまで静かに待つ。
      「………」完了。
      気持ちを切り替えて出発する。

      ──そして。
      「到着」
      ついにあの大きな木の下へと着いた。
      緩い傾斜の駐輪場に愛車を停めて、岬のベンチにドカッと座り込む!
      「があああ」
      オッサンのようなタメ息とも言えぬトンチキな言葉。
      続いて、自販機で買った白熊ジュースを胃に流し込む。
      「あっま!」だがそれが良い。
      思えば遠くに来たもんだ。
      見れば日も暮れ始めているではないか。
      目を細めて大海原に沈む夕日を眺める……

      ボンボンボンボンボンッ!
      ふと、聞こえてきたバイクの排気音に振り返る。
      「あ」
      思わず声を上げる。
      「あ!」
      向こうのライダーも声を上げる。
      先のガソスタで会った現行車(者)がソコには居た。

      「昔、父が12R乗ってましてね」
      若いライダーが俺の12Rを眺めながら、しみじみと言葉をつむぐ。
      「いやぁ、君のバイクにゃ敵わないよ」
      俺はライダーのSSを見て、謙遜する。
      かたや型落ちの時代に忌み嫌われた忌み子、かたやメーカー最先端の鬼の子、比べるまでも無いだろう……
      「バイクって良いですよね」
      ライダーが俺の言葉を無視し喋る。
      「何十年経っても色褪せないんです」
      「色褪せない?」
      「だってオジさ……兄さん12R好きでしょう?」
      「ああ、好きだよ」
      俺は即答した。
      「俺もいつかそうなりたいです」
      若いライダーが西日を受けながら、自分の愛車のSSを眺める……

      その姿に昔日のあの日の俺が重なる。

      「……どうしました?」
      ライダーが首を傾げる。
      「いや、何でもない」
      ……何でも……無いさ。
      「あ! そうだ!ちょっと待ってて下さい!」
      若いライダーが小走りにどこかへと走っていく。
      「ハァハァ、さ!どうぞ!」
      そして走って帰って来て俺に何かを差し出す。
      ……なるほどね。
      「再会を祝して!」
      白熊ジュースがソコには合った。
      「アリガトウ」
      笑ってソレを受けとる。
      「「乾杯」」
      ジュースをぶつけ合い、杯を交わす。
      甘ったるい味、のど越しに悪戦苦闘。
      「っぷはぁ~うめぇ~ッ!」
      若いライダーが一気に飲み干し空き缶を高らかに掲げる!
      「若いな~」
      俺も遅れて、3度に分けて飲み干し空き缶を高らかに掲げた。

      バイクに乾杯! ライダーに乾杯!
      嗚呼、オートバイに乾杯!


      #ZX-12R #俺RIDE #東◯海平 #鹿児島リベンジしたい #999投稿目 #12Rかばち隊

    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2021年03月20日

      81グー!

      朝日が眩しく地平を照らす早朝。
      ゆっくりと愛車をガレージより引っ張り出す。
      「………はぁ~」
      吐く息がほのかに白い。
      春とは言え、まだまだ冷えるなぁと思った。
      そのまま大通りまで、ゆっくりと散歩でもするかのように愛車を押していく……
      カァカァとカラスの声が聞こえる。
      見上げれば、電柱と送電線の上でカラスが鳴いていた。
      ──もう良いであろうか?
      住宅街を抜けたところで、 辺りを見渡す。
      ーー良し!
      「っと!」
      愛車、スーパーレッジェーラV4に跨がる!
      次いでキーを回す。
      煌びやかにメーターが踊る!
      「──ふぅ……」
      しっかりとメットのシールドを閉じて、イグニッションon

      筆舌に尽くしがたい爆音!
      いや炸裂音が鳴り響く!!

      カラス達が一斉に飛び立つ!
      「……では行こうか」
      俺は朝日に向けて走り出した。

      環状線を2✕✕キロ近くで流していく!
      交通量は まばら。
      軽やかに車の合間をパスしていく!
      タイトなブレーキと芸術的と呼べるほどの車体性能、そして特大のカナードが可能にする挙動。
      視界は当に針の先ほどと化すほどに狭まっている!
      まさに針に糸を通すが如き技、ソレを可能にするのがコイツだ。
      スーパーレッジェーラV4。
      乾燥重量159kg、最高出力224馬力の極限のSS。もはやmotoGPマシンと言っても差し支えないバイクだ!
      値段は1200万! 俺は全てを失う覚悟でコイツを買った。

      ふと車線が開ける。
      「オオオオオ」一気に加速する!
      瞬きをする間に速度は2✕✕後半へ。
      あまりの急加速にウィリーしようとする車体が、カナードによるダウンフォースによって強制的に車体が地面へと叩き付けられる!
      エンドルフィンに脳が溺れそうになる。

      「っむ!」
      ふとミラーが後方からのライトによって眩しく光った。──来たか!
      「ボンクラッ!」
      俺は思わず叫ぶ!
      それと同時に俺の横にソレが追い付いてきた。
      見なくても分かる。
      赤い車体、黒いカナード、筆舌に尽くしがたい爆音!

      スーパーレッジェーラV4だ!

      「!!!」「───」
      俺とボンクラのチェイスが始まった。

      ヤツはボンクラ。
      俺と同じレッジェーラV4に乗るライダーだ。
      ヤツも環状線を走る者……気に食わない。
      おそらくはヤツも俺が気に食わないのだろう。
      俺とボンクラが出会うと必ずチェイスとなってしまう!
      三車線をフルに使い、互いに前へ前へと走っていく。
      出し抜き、出し抜かれて、まるでガキの追い駆けっこのように道路を走り回る!
      「む!」
      数100メーター先、三車線中の二車線が並走するトラックによって阻まれていた。
      ボンクラがブレーキランプを光らせる。
      「甘いわ! タコ!」
      俺はスロットルを握り込む!
      一気にトラックへと矢の如く飛んでいく!
      そして──ヒュンッ!
      肝が凍りつくほどの風切り音、トラックの合間を抜け、俺は前へと躍り出た!
      「どやぁ! 」
      勝ちを確信しボンクラへと振り返る……が。
      「ってなにぃ!?」
      ボンクラが路肩を狂気の速さで駆け抜け俺の前へと飛んできていた。
      「そんなん有りかい!?」
      反則やろ! ……なんて。
      毒づきながらも俺は口が吊り上がった。
      そのまま共に環状線を降り、下道へと降りていく。

      互いに何も言うこと無く、同じようにガソスタへと入る。
      俺は左、ボンクラは右、給油機を挟んでレッジェーラにハイオクを食わせる。
      「………」「………」
      そしてほぼ同時に給油を終え、道路へと競うように躍り出る!
      最終ラウンドだ!!!

      眠くなるような渋滞を抜け、峠へと入る!
      スキールしかけながらエグいカーブをパスしていく……
      車体が膨らみ、ガードレールに左膝を擦りかける。
      溢れ出る脳内麻薬に脳がチリチリと焼ける!
      「まだ……まだ!」
      先行するボンクラのケツに必死に食らいつく!
      緊張と集中の糸を何とか繋ぎ止め、刻を待つ……
      左、右、ショートストレート、緩い右──

      今!

      「どらぁ! ◯ソボケェ!」
      緩い左で一気にスロットルを捻り、ボンクラの左の土手っ腹に一撃を入れる!
      見事、膨らんでいたボンクラの左に入り込むことが出来た!
      そのままジリジリと前へと出ていく。
      サイドバイサイド!
      並走状態で次のロングストレートへと
      「ガアアァァァ」「ヌウゥゥゥゥ」
      我先にと疾走って──

      「「良し!」」
      目的地へと到着した!!!
      急いで愛車から降り、ダッシュ!!!
      「待たんか! ヌケサク!」
      「誰が待つか! ボンクラ!」
      そして店へと入り。
      「「すんません! レモンケーキと紅茶のセットで!!!」」
      コール。
      「……はい♡ご注文ありがとうございます♡」
      店員のママさんがスマイルで出迎えてくれた。

      「いやぁ~お前、路肩は反則だろ」
      俺はフォークでボンクラを指差す。
      「やかましいわ、お前こそトラックの間ぶち抜くとか正気か」
      ボンクラがティーカップスプーンで俺を指差す。
      そのままテーブルで睨み合いながらケーキを頬張る。
      「……美味い」「分かる」

      「何やってるんですか……」
      呆れたように喋りながら女の子が俺達に紅茶のおかわりを注ぐ。
      ホナミちゃん。このケーキ屋さんの娘さんだ。
      俺達はこの、山の上のケーキ屋さんをゴールにチェイスをしていた。
      買った方がケーキと紅茶を奢る、
      ならば勝つしかないだろう。
      ホナミちゃんにそれまでの経緯を説明する。
      「……ハァ~。もう大の大人が何してんですか」
      心底ガッカリしたようなタメ息が返ってきた。
      「もう何で、こんな変な人しか来ないのよぉ……」
      「変な人?」「お前がな」
      俺とボンクラが互いを指差す。
      「まぁまぁ、良いじゃない」
      ママさん、ホマレさんが俺達に小さい紙カップを持ってくる。
      上がる湯気と良い匂い、これを待っていた!
      2人してソレをすする。
      「「みそ汁サイコー!」」
      やはり〆はコレだよな。
      「……もうホントあり得ない」
      ホナミちゃんが小さく毒づく。
      「ケーキ食べたら塩っけが欲しくなるんだよ」
      「なぁ~」
      俺とボンクラの言葉にホナミちゃんは、どこか遠い目をして眼下に広がる海を眺めた。
      ヴォヴォヴォヴォヴォ!ゴゴゴゴゴ!
      地鳴りのような、けたたましい音がコチラに近づいてくる!
      「む? あれは」
      俺は立ち上がり音の方を見る、、、あっ!
      「アオベエ! キンタロー! スケキヨ!マサオミ!」
      いつぞやの仲間達がゾロゾロとやって来ていた!

      「もう嫌ぁーーーッ!」
      ホナミちゃんの悲鳴。
      今日は快晴、さてさて。
      もう一勝負行ってみるかな?


      #SuperleggeraV4 #スーパーレッジェーラV4 #俺RIDE #東◯海平 #幸せは糖で出来ている

    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2021年03月17日

      71グー!

      連絡を受けたのは仕事終わりに、コンビニに寄った時であった。
      聞けば親友が結婚するという。
      「マジか! 行くわ!」
      二つ返事に答え、言われたファミレスに向かう。
      「そうかぁ~タツロウも結婚かぁ~」
      1人しみじみと呟きながら走る……

      オレとタツロウは幼稚園から高校まで共に育った幼馴染みだった。暇な時は2人で遊び、互いの家に入り浸って、で同じようにバイクに興味を持ち免許を取った。2人とも我先にとバイクを買った。タツロウはカワサキ、俺はヤマハ。ヤマハに惚れた。デザインとかスペックとか色々有ったけど、何て言うか主人公感みたいなのを感じたんだ!

      思い出す風景、、、
      「ドラ!◯ソォ!!!」
      タツロウがニンジャ250SLをフル加速させる!
      俺はメットの中、軽く上唇を舐める。
      「ドッセエェェェェイッ!」
      俺もハンドルにしがみつき、YZF-R25をフル加速させた!

      ウゥ~ッ!
      その直後、後方よりサイレン、そして紅い点滅が俺達を追ってきた──

      眼下の愛車、YZF-R25を一瞥。
      バカやってたなぁ~。
      しかしソレも就職を機に段々と疎遠に、気付けば何年も連絡を取っていなかった。
      ……まぁ、でも。
      「ドッセェェェェイッ!」
      俺はバイパスを、フルスロットルで駆けていく。
      タツロウ待ってろよ~!!!

      日付も変わろうかという時間にファミレスに到着する。
      店に入り、店内を見回す。
      「お~い!」タツロウがこちらに手を振る。
      「お~う。久しぶりじゃん、生きてたか?」
      「お前こそ、、あら?」
      向かい側に座ろうとして気付く。
      「ヘヘ! 紹介するわ、嫁のランコ!」
      「どうも」
      タツロウに肩を抱かれながら、ランコさんが小さく一礼する。
      「ぼぇ~!? めっちゃ別嬪さんじゃんか! どこで拐ってきたんや?」
      「あぁ、それはな。詳しくは言えんが……ってなんでや!?」
      そんな俺とタツロウの会話に、ランコさんがクスクスと笑う。
      久しぶりに会う親友とのお喋りに花が咲く。
      あったあった!そうなんか? そうかそうか!
      なんて中身も無いような話が楽しくて楽しくてしょうがない。
      時間も忘れて語り合う。
      そんな感じで、話に一区切りが付いたところで。ふと……

      「そういえば今、タツロウ仕事で出世とかしたの?」
      タツロウに尋ねてみる
      「俺? 今、係長だぜ!毎日部下や上司に取引先に~もうクタクタだぜ」
      「そこで知り合ったんだよね」
      ランコさんがタツロウを見る。
      「「ねぇ~」」2人が笑う。
      「……ハハハ」
      一抹の、こう……ザワザワとした感じが俺を襲う。
      「お前は?」
      タツロウが手元のハンバーグを食べながら尋ねる。
      「俺はレストランで働いてるよ」
      コーヒーをすすりながら、答える。
      「へぇ~どこどこ?」
      「◯◯◯」
      「えっ! 最近、雑誌で取り上げられたイタリアンじゃないですか! 私行きました!」
      ランコさんが目を輝かせながら、スマホをいじり、俺に写真を見せる。
      名物にしているマロンとレモンが入ったドリアが写っていた。
      「ご利用ありがとうございました。またの来店お待ちして降ります」
      営業スマイルでお返しする。
      3人で爆笑した。

      夜もさらに更けて
      「じゃあ今度、、、ん?」
      タツロウがふと窓の外を見る。
      「あれ? あの赤いバイクってお前のヤツか?」
      「ああ、そうだぜ。」
      「まだ乗ってたんやなぁ」
      「勿論! ってか、タツロウ。お前はこれからハーレーとか乗るんか?クルーザーとかの方がタンデムが──」
      「あぁ、ゴメン。俺バイク辞めたんよ」
      タツロウが半分笑いながら喋る。
      ──あぁ、そうか。
      「あぁ、別にバイクがどうこうじゃないぜ? ただ~……その、いつまでの遊んでちゃ……ね?」
      タツロウがバツが悪そうに目を伏せる。視線の先にはランコさんの左手の……
      「やっぱもしも時が怖いんです」
      ランコさんがタツロウの手をギュッと握る。
      「……だよなぁ。そうだよ、何だよ、俺に気を使うなよ」
      俺はおどけてみせる。
      「当たり前だよ。いやぁ、こっちとしては羨ましいわ!こっちは万年、物言わぬ鉄の塊が恋人なんだぜ? そんな同情なんかせんでぇ~」
      「ハハハ! そう?」
      「そうだよ。いやぁ、ホント。タツロウにはガキの頃も、そして今も先を越されるなぁ~」
      俺は窓の外の白んできた空を見て、時間を確認する。
      「あぁ! ゴメン。俺そろそろ行くわ」
      財布から万札を出し、2人に差し出す。
      2人がアワアワしながら断る。
      「結婚祝い! 寂しい独り身に良い格好させてくれよ」
      顔が引きつったようなウィンクをする。
      タツロウとランコさんが何とか受け取ってくれた。
      「じゃ、また。ちゃんと結婚式呼んでくれよ」
      店の外へと出ていく。
      ランコさんがペコペコと頭を下げる。
      R25に跨がりメットを被り、店に振り返る。
      店内からタツロウとランコさんが手を振ってくれていた。
      軽く会釈、小さく手を上げる。

      アクセルフルスロットルで走っていく!
      「ああああああ」
      明日が休みで良かった!
      アクセルフルスロットルで走っていく!!!
      「アアアアアアアアアア」
      出来るだけ遠くに! 遠くに遠くに走っていく!!!
      「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
      メットの中で叫ぶ! ありったけの声を上げて胸の中のザワザワしたモノを吹き飛ばす!
      「くそぅ! 何だよ!めっちゃ雨入ってくんだけど!」
      「めっちゃシールド曇るッ! 前がよく見えねぇ!!!」
      走る。走って走って走って走って!

      「あっ」ガシャンッ!
      視界が90°傾く。信号待ちで俺はぶっ倒れた。
      跳んできた周りの車のドライバーや歩行者に支えられながら、近くのバス停に避難。

      左側に倒れたR25を引き起こす。
      「はい。大丈夫です」頼む
      「問題ないです」お願いだから
      「心配おかけしました」俺に優しくしないでくれ
      いっぱいいっぱいの体で何とか走っていく。

      たどり着いたのは海辺だった。
      思い返せば昨日から寝てない、ここはどこだ? 俺は何をしてるんだ?ボーっとする頭で、海を眺める。
      ヴォヴォヴォヴォヴォ!
      独特なパルス音を響かせバイクが、俺のR25の近くに停まる。
      現行のYZF-R1だった。
      ライダーがAGVのメットを脱ぎ、一息。革ツナギの格好で海辺のベンチに腰かける。
      「あの、R1カッコいいですね」
      精一杯にこやかに話しかける
      「あぁども」
      ライダーが俺を一瞥、そして拒絶するようにスマホをイジりだす。

      あ、もう無理。

      俺の目からドバドバと涙が出てくる。
      「──ッは? ええッ!? わ、ちょっ! おま、え、泣くなよ~」
      ライダーがスマホを放り投げて俺に駆け寄ってきてくれた。
      人目も憚らず、嗚咽を漏らし泣く。
      「ああ!もう! はいはい」
      ライダーが泣きじゃくる俺をベンチに座らせる。
      「ワカル! ワカルよ~ うんうん! そうだな」
      えずく俺の背中をライダーがポンポンと撫でる。
      情けなくて、、、悔しくて、、、悲しくて。
      もうオンオンとガキのように泣きじゃくった。

      「失礼しました」
      散々泣き腫らした後、どこかスッキリした気持ちでライダーさんに深く頭を下げる。
      「ああ、もう良いわ」
      ライダーさんがタバコを吸いながら、疲れた目で俺を見る。
      「まぁ、アレだな。アンタはその友達の結婚に際して、ちょっと色々思ったんだな」
      「そう、、、なりますね」
      ズビズビと鼻を噛みながら喋る。
      そこからお互い喋らず、無言で2人で海を眺める。
      ──どれぐらいそうしただろうか?
      「自分はどうすれば良いんですかね?」
      俺はライダーさんに尋ねる
      「知らん、分からんね」当然の答え。
      「……でも」 ……でも?
      「自分の気持ちに素直になれば良いんじゃない? 好きだから乗る、飽きたから降りる、そんなものまで他人に左右されるとかバカじゃねぇの?」
      「………」
      「バイク好きなんだろ?」
      頷く。
      「自分の人生の主人公は手前でしょ? やりたいようにすれば? 知らんけど」
      「…………」
      俺は無言で海を眺める。
      ライダーさんが一息に一気にタバコを吹かす。
      「悪ぃ、何か俺がしんどくなってきた。そろそろ行くわ」
      言うが先か、そそくさとメットを被る。
      「無責任な言葉かもしれんが、何とかなるって。ガンバんな」
      ライダーさんが軽く俺に手を上げ去っていく。
      クロスプレーンの音が木霊し遠ざかっていく。

      「ンあぁ~っ!」
      ベンチに寝っ転がり、縮み上がった体を伸ばす!
      腫れた目で空を見上げる。そして。
      「ッしゃあ!」
      勢い良く飛び起きる!
      「帰りますかな」まずは~
      「お前の修理だな」
      左側に思いっきりガリ傷の入ったR25を優しく俺は撫でた。

      朝の遅刻前のアラームが鳴り響く。
      壁に掛けていた服に身を包む。
      っとヤバいヤバい。
      急いで支度。
      アパートの階段を下りて──
      そして。
      「よっこらせ!」
      カバーをめくり、愛車の。
      「おはよう」YZF-R1Mに挨拶。
      R1Mに火を入れる!
      ヴォヴォヴォヴォッ!
      野太いファンファーレを鳴らす!
      そして。
      「どっせい!」
      もう1つのカバーをめくって。
      「行ってくるな」YZF-R25にも挨拶。
      その素敵なフェイスを撫でる。

      ん~やはり、2台持ちってのは無理が有ったか、、、なんて。
      「まあ、何とかなるっしょ!」
      ふと、いつぞやに聞いたヤマハのバイクの誇りを思い出す。
      ヤマハ車ってのはコーナーの先なんだ。
      ストレートで負けてても、コーナーで追い付いて、そしてコーナー先で先頭に立つ。
      皆があたふたしてる中をぶち抜くんだ。まさに俺じゃないか!
      なんたって俺は。

      「主人公なんだからな」
      愛車と共に俺は今日も走っていく。

      #YZF-R25 #YZF-R1M #俺RIDE #海刊オートバイ

    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2020年06月20日

      47グー!

      (では~今日はこの辺で)
      (良ければ高評価とチャンネル登録お願いします)
      (ではでは~)
      すっかり夜も更けた真夜中。
      私は動画を視聴しパソコンを閉じる。
      「まぁ、こんなもんかな。 ん?」
      そして簡単な感想を述べ、傍らの振動するスマホを手に取る。
      「ハ~イ、テツコだけど。どしたエリー?」
      「コンバンハ!動画見たよ、めっちゃ面白かったよぉ~♪」
      エリーがテンション高めに喋る。
      「そう?良かったぁ」
      「サイコーサイコー! また行こうね!じゃねSee you」
      「うん。また行こうねSee you」
      私は通話を切り、ベッドに横になる。
      ンフフ♪ 思わずニヤける。
      今回はどれくらい再生数いくかなぁ?
      5000? 10000?
      「おやすみなさい」
      私は証明を消し目を閉じる。
      明日の朝が楽しみだ。

      「お~い! テツコちゃん、こっち手伝って~」
      会社の上司が私を呼ぶ。
      「はーい!今行きまーす」
      私は手元の作業を中断し、上司の元へと急ぐ。
      「テツコ~」
      エリーが私を見つけ駆け寄ってくる。
      「私も手伝うよ」
      「Thank You~」
      私はエリーと共に振り分けられた仕事をこなす。
      エリー。外国人技能実習として会社に来た外国籍の女の子。そして私が指導員として一緒に仕事している会社の同僚。
      「私達の動画、メチャ再生されてたよ~」
      エリーがコロコロと笑いながら私に話しかける。
      「そうなん? やったね!沢山お金入ってくるよ」
      私もそれを聞いて顔がニヤける。
      私とエリーは2人でモトブログをやっている。
      お互いバイク好き、しかもオフロード! ましてやお互いにジェベルに乗っているといった感じにシンパシーを感じて意気投合。
      2人で走って動画を撮り、そしてソレを私が編集してアップする。
      「次はどこ行こうか?」
      「うーん……どうしょっかな~」
      与えられた資料をパソコンに入力していく。
      「私、アドベンチャーしたい!」
      エリーがそう言って目を輝かせる。
      「アドベンチャー……オフロード……」
      私は動画映えしそうなスポットを考えてみる。
      「お~い。テツコちゃんエリーちゃん終わったかーい?」
      上司がせっかちに私達に尋ねる。
      「はい! もうすぐ終わりますよ」
      とりあえず返事を飛ばす。
      「休日行こうね」
      「オーキードーキー! 楽しみにしときます」
      私とエリーはクスクスと笑い仕事へと戻った。

      「うわっ」
      休憩時間に動画のコメント欄を見て私は声を上げる。
      「? どしたのテツコ」
      エリーが私のスマホを見てくる。
      「Oh……」
      そして困ったように声を上げた。

      ザッコww(^q^)
      卑しいモトブログですね
      Motorcycle is poor

      「………」「………」
      アンチコメを前に2人とも顔が引きつる。
      「テ、テツコ! fight!fight!」
      エリーが励ますようにファイティングポーズを取る。
      「……そだね。ファイトだね」
      私もファイティングポーズを取った。
      「エリー。コーヒー買いに行こうか」
      私はスマホをポケットにしまい休憩室から出る。
      そんな私にエリーがトコトコと付いてくる。
      ~♪~♪
      っと、出たところで休憩終了のチャイムがなってしまった。
      「残念、次の休憩時間ね」
      私は肩をすくめて、小さく舌を出す。
      「Oh……残念ですね」
      エリーも肩をすくめて、ペロッと可愛く舌を出してくれた。

      「うひゃ~! 恐い!ムリ!ムリ!」
      私は激しく上下する視界に悲鳴を上げる!
      「頑張れテツコ! もうちょい!もう少し!」
      先行するエリーが派手に泥砂利を上げながら進んでいく。
      私達は休日を使い地元の林道に来ていた。
      最初はいつも通りの緩いツーリングだったのだが。
      「? あれ?」
      どこかで道を間違えたのか。
      「Why? 電波入んないよ」
      気が付けばジャングルのような酷道へと足を踏み入れていた。
      「ハァ……ハァ……エリー……待って……待って……」
      ぬかるんだ路面にタイヤを取られる。
      「テツコ! 止まったらダメ!GO!GO!GO!」
      2人汗だくになって何とか進んでいく。
      しばらく走って。
      「ちょっと休憩!」
      道の傍らに座り込み、持ってきたポカリをラッパ飲みする。
      「ーク!ーク!ップハァ!」
      横で同じようにポカリをラッパ飲みするエリーを見る。
      流石は外国人! その姿すらも様になっていた。
      「大丈夫?」
      「うん平気。テツコは?」
      「私も何とか……あ」
      私は目の前に広がる景色に思わず声を漏らす。
      「どしたのテツコ……」
      連れて景色を見たエリーも言葉を失う。
      曇っていた空が晴れて、眼下に光輝く海が広がっていた。
      「綺麗………」「ーーBeautiful」
      私は思い出したように手元のゴープロで風景を撮影する。
      青々とした木々とキラキラと輝く海。
      しっかりと目とカメラに写す。そして。
      「お!?」
      私はゴープロの録画をスマホで確認し声を上げる。
      「電波復活してる! ええと、この後はーー」
      スマホで道を確認する。
      良かった、このまま進んで行けば何とか県道に繋がるようだ。
      「行けそう?」
      エリーが心配そうに私を見る。
      「OKみたい。 じゃ次は私は先導するね」
      私はスマホとゴープロをハンドルにセットする。
      「Here we go!」
      そしてバイクに跨がり出発ーー
      カシュン!
      思いっきりエンストした。
      たまらずバランスを崩す。
      「△△△△ッ!」
      エリーが思わず母国語を叫び私に駆け寄る!
      ガチャン!
      私は立ちゴケした。
      「痛っ~!エリーヘルプミー~」
      足がジェベルの下敷きになってしまった。
      エリーに覆い被さるジェベルを起こしてもらう。
      「大丈夫?」
      エリーが心配そうに私の足を優しく撫でる。
      「ん、、、ちょっとヤバいかも」
      足がジンジンと痛み、思わず顔をしかめる。
      そんな私を見てエリーがオロオロと周りを見渡す。
      「ーーあの」
      ふと聞きなれない声がした。
      私もエリーも声の方を見る。
      「大丈夫ですか?」
      オレンジ水玉のアパレルに身を包んだオフスタイルの女の子が立っていた。

      「いやぁ助かったよ。ありがとね」
      私は女の子に深々と頭を下げる。
      「こちらこそお役に立てて光栄です。いえいえ! オフロードは助け合いですよ」
      女の子、カシマさんがオーバーにリアクションして私に笑いかける。
      カシマさん。たまたま通り掛かって親切に手を貸してくれた女性オフライダー。
      あの後、私達はカシマさんに手助けされて何とか県道まで出ることが出来た。
      私がエリーのジェベルにタンデムし、そしてカシマさんが私のジェベルに乗って、三人でーー
      「わぁ!わぁ! コケるコケる!」「ちょっと待って!エリー!キャーッ!」「ええ! ジェベルシート高ッ! わっちょ!ひゃ~ッ!」
      ワチャワチャしながら何とかここまでたどり着くことが出来た。
      「ホントありがとうね」
      「いえいえ。では私はこれで」
      カシマさんがペコリと頭を下げ、踵を返して歩いていく。
      「今度は一緒に走ろうね!」
      私は手を大きく振って叫ぶ。
      「~♪」
      カシマさんも手を大きく振り返してくれた。
      「……さて、私達も」ーーぅふ!
      エリーが中腰になり私にくっつく。
      「ーー!ーー!」
      そしてグリグリと体を押し付けてきた。
      「え? え? なに?」ってか足痛いんーー
      ああ、そっか。
      「I can never thank you enough」
      私はそう言ってポンポンとエリーの頭を撫でる。
      「Thank you.Any time」
      エリーはニカッと笑った。
      そして2人で近くのバス停のベンチに座り、泥だらけになった2台のジェベルを眺める。
      「ねえエリー、あのアンチコメなんだけどさ」
      独り言のようにエリーに語りかける。
      「私どうでもよくなっちゃった」
      「きぐぅ~、私も」
      「誰に何を言われたって関係ない、まして赤の他人の言葉なんて。エリーと(誰かと)楽しく走って笑う、それだけで十分だね」
      ピェ~。どこからか同意するように草笛が聞こえた。
      「さて、今回の動画は傑作になるよ~」
      私はやる気を示すように腕を回す。
      「期待してますよぉ」
      エリーがマネーと親指と人差し指で輪っかを作る。
      「コラ! この銭ゲバ!」
      「HAHAHA~!」
      2人で笑いあってゆっくりと帰り支度を始める。

      ーーっと忘れてた。
      「では~今日はこの辺で」
      「良ければ高評価とチャンネル登録お願いします」
      「ではでは~」ヾ( ・∀・)ノ


      #DJEBEL250 #海刊オートバイ #俺RIDE #私RIDE #東○海平 #完全妄想オンローダー

    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2020年06月08日

      69グー!

      東本先生のRIDEをパクって始めた
      俺RIDE。
      皆さんのグーやコメントを励みに続けた結果
      Kawasaki
      ・ZX-12R ・ZZR400 ・NinjaH2
      ・Ninja150RR・ZX-10R ・XANTHUS

      SUZUKI
      ・インパルス400 ・SV650X ・カタナ250
      ・GAG ・GSX-R750

      YAMAHA
      ・VOX ・WR250R ・Drag Star250
      ・FJR1300 ・FZ400

      HONDA
      ・CB400SF ・VTR1000SP ・VTR1000F
      ・VFR800 ・FORZA

      HARLEY-DAVIDSON Buell
      ・FLH1200 ・Firebort XB12R

      DUCATI BMW KTM
      ・999 ・R100GS ・690duke

      ヨシムラ
      ・隼 X-1 ・TORNADO S-1

      と、たくさんの車種について書くことが出来ました(*´▽`)v

      頂いたグーは1400を越え、皆さんの優しさに
      ただただ感謝するばかりですm(_ _)m
      最近はさらに勝手にオリジナルのヤツなんかも書いてますが、よろしければまたお付き合い下さい。
      明日から本格的に会社が営業を始め、また麗しの社畜生活に戻りますが……
      頑張りますU^ェ^U
      目指せモーター○ガジン社!

      本当にありがとうございました🤗


      #俺RIDE #感謝感激雨霰 #1427 #俺は地球や!

    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2020年06月06日

      51グー!

      俺RIDE
      あとがきのようなモノ

      ・FORZA
      学生時代、悪い友達がバリバリ言わせて走ってました。
      下品なイルミに安っぽいメッキの竹槍マフラー。
      あの当時はビビってましたが、今思うと可愛いもんだす(´ー`)
      あと一時期、ZZRがヤバいくらいに壊れまくってた時に代車で何度も借りました。
      乗りやすかったなぁ😚

      ・690duke
      良いですよねKTM。
      5年バイクに乗って、その魅力が理解出来始めました?
      軽さってのは、最も過激な武器と魅力ですね❗️
      長崎でのRIDEミーティングの帰り、これ見よがしにウィリーをカマしてくれたライダーさん。
      ドスの効いた直管シングルノーツ、ありがとうございました😇
      おかげでしばらく耳がワーンてなりましたよ💙


      ・XANTHUS
      まず名前がカッコいい❗️
      2本出しマフラーに角目っぽい丸目2灯、そしてレプリカ譲りの元気すぎる直4E/G。
      バイクの系譜さん曰くZの亡霊と戦ったバイク。
      ホント、バイクってのは面白いですね( ^ω^ )
      ちなみに、未だに名前を聞くと
      カ○キョー○ットマンRE○ORN!のキャラが思い浮かびます。
      世代ですね(笑)


      #FORZA #690duke #XANTHUS #俺RIDE #東○海平

    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2020年06月06日

      49グー!

      俺RIDE
      あとがきのようなモノ

      ・ZX-10R
      SBK、鈴鹿8耐で一喜一憂させてくれたカワサキのスゴいSS。2013年にSBKでサイクス兄貴がチャンピオンになった時はテレビの前でボロ泣きしました😭
      そろそろ顔もモデルチェンジ? 個人的には今の顔が気に入ってますが、僕はカワサキを全面的に応援します(*^ω^)

      ・GSX-R750
      まさかの4月に話書いてたら、本家RIDEが7月号で出してきた👀‼️
      ホントカッコいいです、当時のアマプロライダーさん達には思い出深い名車なんでしょうね~😁
      昨今のネオレトロの流れで復活しませんかね?
      オールドレプリカ、レトロエクステリア?
      メーカーさん、ジャンル名楽しみにしてまっせ🤤

      ・FZ400
      角目2灯ネイキッド、カッコいいです(*´ω`*)
      思えば昔、住んでたアパートに停まってました。
      僕はBEETでボンボン言わせ、FZオーナーはアサヒナ湾岸でブィンブィン言わせてました(早朝)
      あの当時の住民の皆様、大変お騒がせしました(^^;


      #ZX-10R #GSX-R750 #FZ400 #俺RIDE #東○海平

    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2020年06月06日

      63グー!

      「すいません。コーヒーのおかわりもらえますか?」
      朝のカフェ、俺はジャムトーストを食べながら、追加のコーヒーを注文する。
      「コーヒーですね。ミルクとお砂糖はどうしますか?」
      「2つ……あ~、いや」
      手元の山のようなミルクとシュガーの空き殻を確認。
      「ブラックで」
      「ーーはい」
      店員がオーダーを取り、空き殻を片付け厨房へと戻っていく。
      「今日はどこ行くんだい?」
      店長が俺の皿に焼いたウィンナーを載せる。
      「あの、これ頼んで……」
      「トーストだけじゃ足りんでしょ? 朝飯はちゃんと食わんと力が出んぞ」
      店長が窓の外を見て、そして俺に笑う。
      「アザます。今日は……」ーーいや。
      「今日でね」
      俺も窓の外を見る。
      「この町を出ていこうと思うんですよ」

      2週間前。
      ヤバいドジを踏んでしまった。
      プライベートでのヤラカシ、犯罪じゃないんだが、人生をやり直そうと思った。

      「今までお世話になりました」
      俺は馴染みの先輩の元に訪れ、別れを告げる。
      「ーーそうか」
      ソファーに座る先輩は深く息を吐き、静かに喋る。
      「アレはどうするんだ?」
      先輩がクイッと指で、奥の幌を被ったものを指す。
      俺はそれに近付いて、優しく幌をめくる。
      外装が無惨に割れたバイクが有った。
      完全なオーバースピード、火花を散らすバイク、口の中に広がる苦味。
      「また落ち着いたら連絡します」
      俺はバイクに幌を掛け直す。
      「……分かった」
      先輩は俺の言葉を聞き、少しだけ笑った。
      「なぁ、ヤス」
      先輩が俺の名を呼ぶ。

      「お前バイク好きか?」
      先輩からの問い。

      ーーそうですね。
      自分の心に聞いてみる。
      「好きですね。俺に何も教えてくれないけど、でも俺のこと分かってくれてて。ん~参ったな、上手く言えませんわ」
      俺は唇を噛む。
      「好きで好きでたまりません。いや困った、やっぱぁ、いざとなると……」
      しんどいっすわ。
      「ハハハハハ!」
      先輩が爆笑する。
      「そうか!そうか……」
      そして一通り笑い、立ち上がって。
      「ほれ」
      俺の上着のポケットに何かを突っ込む。
      「俺からの餞別だ、持ってけバイクバカ」
      ポケットを確認する。
      バイクのカギが入っていた。
      「外にザンザス有ったろ? 手続きは済ましといてやる。落ち着いたら住民票送れ」
      先輩は言うだけ言って、自分のバイクへと歩いていく。
      「悪いな、呼び出しだ。お前も早く行けよ?」
      先輩が手をヒラヒラと扇ぐ。
      「あの、ケンジさん!」
      俺は先輩、ケンジさんを呼ぶ。
      「ありがとうございました! 良いバイクライフを!」
      俺の言葉、言い終わる前にケンジさんは爆笑した。

      ぶち当たる風に身を屈める。
      10000回転の狂気の世界、ここまで回すと風の音しか聞こえない。
      ストリートファイターならではの体験。
      「ヒッヒッヒ!」
      アドレナリンとバイクの楽しさに溺れる。
      久しぶりの体験、やっぱバイクは
      楽しいなぁ~。
      ミラーが眩しく輝く。
      と、まずいまずい。
      俺はスピードと回転数を落とし、道のわきに寄る。
      その直後。
      フォン!フォン!フォン!フォン!フォン!フォン!
      凄まじい速さでバイクが数台通過していく!
      そして。
      「!」
      しんがりの青いライダーが俺にヤエーをしてくれた。
      「ハハハ」
      やっべ、速すぎだろ……。

      誰も居ない海辺の展望台。
      ずいぶんと遠くに来た。
      どっと疲れが押し寄せ、近くのベンチに座る。
      「しゃーない。今日はここで寝るか」
      のそのそとキャンプの設営を始める。
      しばらくの格闘。
      で。やっとこさ設営を終え、銀マットの上に寝転がる。
      グゥ~。
      「あ」
      腹の虫が鳴いた。
      朝食をすっかり使いきってしまったらしい。
      「……腹減ったな」
      飯でも食い行くか。
      ーーくぅーん。
      「ん?」
      また腹の虫?
      銀マットがグイグイと引っ張られる。
      「あ」
      ちっこい子犬が居た。首輪も無い、野良犬か?
      子犬が一生懸命にマットを引っ張る。
      「どれどれ~」
      枕元のバックから非常食の魚肉ソーセージを出し、子犬に差し出す。
      子犬がビクビクしながらも近付いてくる。
      「心配するな」ーー俺も野良だよ。
      子犬がチビチビとソーセージを食べる。
      そして食べ終わると俺の方に近付き、ペロペロと頬を舐めてきた。
      子犬を両手で抱え立ち上がる。
      「お前も一緒に行くか?」
      子犬に尋ねる。

      ーーゲフ。

      げっぷが返ってきた。
      「ハハハハハ!」
      俺は子犬をシャツの胸ポケットに入れる。
      無職に野良犬に野良バイク。
      「一気に大所帯だな」
      ジャケットを羽織り、チャックを上げる。
      ーーぶふぅ。
      子犬が苦しそうにチャックの隙間から顔を出す。
      子犬……う~む。
      「クロベエ掴まってろよ」
      キュルルッ! ブォォォーン!
      ザンザスが雄叫びを上げる。
      ーーアォアォーン!
      クロベエも雄叫びを上げる。
      「がおーっ!」
      俺も雄叫びを上げた。


      #XANTHUS #海刊オートバイ #俺RIDE #東○海平 #(U^ω^)

    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2020年06月05日

      69グー!

      今月の月刊オートバイ
      RIDEはGSX-R750でしたv( ̄S ̄)v

      やっぱ本家は違いますね~(´ε`)ゞ
      これは東○海平先生も喜んでるんじゃないでしょうか( *´艸`)

      目の付け所は良いとこ行ってたみたいです🤗
      でも違うんですよね!
      構図といい、文章の重みがダンチですわ(^^;
      いやでも嬉しいなぁ~🤤
      東本先生と同じマシンについて考えたというだけで感無量です(*>∀<*)

      本編、月刊オートバイの方も面白かったです
      新車情報、そしてバイク擬人化菌書
      変わらず秀吉先生トんでるわ~🤣


      #RIDE #GSX-R750 #俺RIDE #月刊オートバイ #バイク擬人化菌書 #まさかのネタカブリ

    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2020年04月17日

      53グー!

      バイクってのは軽ければ軽いほど良い。
      馬力とかトルクとか空力とか色々有るかもしれんが、運転してて最も実感するのは軽さだ。
      「オラァッ!」
      俺はこれ見よがしに690dukeでウィリーをかます!
      ほら、軽いと簡単にこれが出来ちまうんだ。
      これめっちゃカッコいいだろう?

      朝飯は馴染みのカフェに愛車で向かうことにした。
      道ながらドンドンと力強いビックシングルのパルスに手が痺れる。
      「ーふぅ」
      信号待ちで手を揉んでは次に備える。
      そして青信号と共にスタートダッシュ!
      暴力的な加速に前輪が浮く。
      あぁ楽しい~。
      カフェに到着。
      「う~い。店長1人ね~」
      コーヒーの香る店内のカウンターに座る。
      「いらっしゃい。しかしお前のデューク五月蝿いな~」
      店長がお冷やとおしぼりを出してくる。
      「えぇ? アクラポでめっちゃ良い音と思うんだけどなぁ~。 あ、スペシャルホットドッグのセットで」
      「あいよ~」
      なんとなく店の外を見る。
      よく見れば店長の幌を掛けられた愛車と横に、もう1台幌を掛けられたバイクが停まっていた。
      「あれ? 店長バイク増車したの?」
      「あぁ、あれ? バイトの子のヤツだよ」
      「へぇ~」
      こんなライダーしか来なさそうなカフェでバイトとは、物好きなヤツも居たもんだ……
      「おい、何か失礼なこと考えてねぇか?」
      店長がマグカップに、なみなみと注がれたコーヒーを出してくる。
      「いえ。今日も良い天気だなぁって……熱ッ!」
      マグカップまで熱々にされていた。

      「で、軽さは武器だと思うんよね~」
      「そうだな~」
      ホットドッグを頬張りながら、店長とバイク談義に花を咲かせる。
      このカフェの店長は元ロードレースのプロレーサーだ。
      流石、元レーサーの店長。
      俺の考えを良く分かってくれた。
      「お前は本当にKTMが好きなんだな」
      店長がコーヒーをすすりながら、俺のデュークを見る。
      「もっと走り込めば店長よりも速くなっちゃうな~」
      「抜かせよ。寝言は寝て言うんだな」
      店長が俺のカップにおかわりのコーヒーを注ぐ。
      「さぁ。天気も良いんだし、こんなところで道草食ってねぇで、走ってこい」
      「こんなところって……」
      シュールな笑いをこらえながら、これまた熱々のコーヒーを飲む。
      「おはようございまーす」
      挨拶と共に綺麗な女の子がバンダナ姿でキッチンに出てくる。
      「ー!」
      マジか! 危うくコーヒーを吹くかと思った。
      「嘘でしょ、バイトって女の子だったの?」
      「アハハ、まぁな」
      何故か誇らしげな店長。
      「あ、いらっしゃいませ」
      女の子が俺に微笑む。
      「……どもっす」
      俺は姿勢を正し挨拶する。

      「あ、そうだ。ホマレ、ちょっとコイツと走ってやってくれないか?」

      「え?」「え!」
      店長がとんでもないことを言い出した。
      「ちょっと店長ーー」
      いや、待てよ。これチャンスじゃないか?
      「え、でも……」
      女の子、ホマレさんが困ったように店長に目配せをする。
      「ーーー」ヤツノタカッパナヲヘシオッテヤレ
      店長が何かをホマレさんに耳打ちする。
      「分かりました。じゃ、ちょっと待っててもらえますか?」
      ホマレさんが裏に消える。
      「店長、アザます!」
      俺は店長に手を合わせる。
      「そういえば、ホマレさんは何に乗ってるんですか?」
      「ん? あぁ、VTRだよ」
      「そうですか……」
      250のVツインかな? 頑張ろうと思った。
      「頑張れよ」
      店長が俺にサムズアップを示す。
      「ウスッ!」
      俺は一足先に店の外で相棒に火を入れて、戦闘態勢に入る。
      「行くぜデューク!」

      「お待たせしました~」
      ホマレさんがブカブカの革ツナギで現れる。
      店長のお下がりかな?
      「お手柔らかに」
      ホマレさんが再び俺に微笑む。
      「うぃすッ!」
      テンションとやる気が鰻登る。

      READY TO RACE!!
      今こそその時!
      我が世の春が来た!


      #690duke #海刊オートバイ #俺RIDE #東○海平 #その戦闘力は軽くなく

    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2020年04月13日

      51グー!

      「本当に買われるんですか?」
      ショップの店員が半信半疑に尋ねてくる。
      「はい。コイツをお願いします」
      俺は迷わず答える。
      目の前に有るのは、下品なピンクに塗られたホンダのフォルツァ。
      素人の俺から見ても酷い様だ。
      缶スプレーで塗装面はボロボロ、安っぽいメッキパーツは所々サビを吹いている。唯一の救いはシートだけはピカピカなことか……
      「ま、張り直すけどね」
      「え? あ、やっぱ止められますか?」
      「ん? いえいえ買いますよ」
      テーブルに移動し購入の手続きを進める。
      相場よりも随分と安く買うことが出来そうだった。
      見たところ、エンジンやサスなどは至って正常。やはり見た目だろうか……
      「では、来週辺りに点検が終わると思いますんで」
      「あ、はい。それでお願いします」
      サービスで貰った缶コーヒーを飲みながら店を後にする。
      ピンクのフォルツァと目が合う。
      見てて何だか。
      「ハハハ」
      笑いが出てしまった。

      「ふぅ~ぅ」
      ガレージの中、塗装用防護マスクを外し、一息をつく。
      俺はフォルツァを納車と同時に全バラにした。
      エンジン系は予想通り健康そのものだった。
      件のカウルのピンクを落とし、下地を塗り直して黒に染める。
      「なかなか良いんじゃないか」
      結構いい感じに仕上げることが出来た。
      カウルを壁に吊るし換気扇を全開にして、キャプテンスタッグの椅子に座り込む。
      傍らに転がる鉄屑が目に入る。
      焼け焦げて真っ黒になったソレ。
      煤けて焼き付き見るも無惨な姿。
      「ーーー」
      昔日の風景を思い出す。
      こちらに突っ込みヘコんだ車、延々と燃え盛る炎、ギャーギャーと喚く周囲、遠くから響くサイレン。
      地べたに這いつくばり、目に焼き付けられる愛車の末期……
      「すまんな」
      鉄屑に手を伸ばす。
      「直ぐにとはいかんが、、、必ず」
      直してやるからな。
      「さて、と」
      俺は立ち上がり、素っ裸になったフォルツァのハンドルを握る。
      「ヨロシクな黒スケ」
      期待を込めて名前を付けてやる。
      アイツの分までしばらくは頑張ってくれよな?

      「~♪~♪」
      ヘルメットに仕込んだスピーカーより流れる音楽に鼻唄を乗せる。
      今日は黒スケ
      での初めてのツーリング。
      ゆったりと、たまにキビキビと目的地まで走っていく。
      「おぉ良いじゃん」
      走っていく黒スケと俺の影に惚れ惚れする。
      ビッグスクーターは良い。
      見た目と裏腹に以外と小回りが効き、そして人も荷物も沢山載せて、走る喜びを実感できる。
      「黒スケお前最高だな!」
      バイクの楽しさにテンションが上がる。
      「お!」
      そんなことを考えてたら、左に絶景が広がった。
      後ろを確認して路肩に停め、シートに腰掛けて絶景を楽しむ。
      後ろを走っていた複数台のバイクたちが、振り返りながらも通りすぎていく……
      一般のバイクは、おいそれと停まれんもんなぁ……
      「ハハハ! うまッ!」
      笑って、ドリンクホルダーのコーラに舌鼓をうつ。
      「~♪~♪」
      音楽に合わせて軽くモモを叩いてリズムをとる。
      「気持ちいいな~♪」
      目的地も忘れ今を楽しむ。

      バイクに乗れるという楽しさ
      走ることの喜び
      ライダーという最高の幸せ
      それを今、俺は全てをもって感じているんだ……


      #FORZA #海刊オートバイ #俺RIDE #東○海平 #頭ハッピーセット

    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2020年04月13日

      66グー!

      「ヒカリちゃん今までご苦労様でした」
      店長が私に花束を渡してくる
      「ヒカリお疲れ様」「先輩お世話になりました」「新しい場所でも頑張って下さい」
      同僚や後輩たちが拍手と共に応援の言葉をかけてくれる
      「ありがとうございます」
      私は何度も何度も頭を下げる。
      ありがとうありがとうありがとうありがとう。っと握手を交わす
      「ではありがとうございました~」
      店を後にする……

      「……ハァ」
      緊張が解け、思わずため息が出た。
      渡された花束を見る。
      「苦手なのよね。こういうの」
      何ともし難い居心地の悪さを感じながら、駐車場までの街灯に照らされた夜道を歩いていく……
      皆の顔が頭の中でストロボのように流れる。
      皆が私との別れを悲しんでくれた。
      「まぁ、だからと言って戻りはしないんですけどね」
      駐車場に着いた。
      愛車のFZ400のシートに花束をネットでくくりつける。
      「………」
      花束が見事にひしゃげてしまった。
      いや、流石にこれはイカンでしょ……
      着ていたパーカーのファスナーを開け、体との間に花束を押し込む。
      「うぅ」
      濃厚な花の香りにむせそうになる。
      て言うかむせた。
      FZに火を入れる。
      ブォンブォンと直4の良い音が刻まれる。
      ヘルメットを被り空を見上げる。
      花の香りに包まれながら見る夜空は、いつもよりも綺麗な気がした。

      昔から人付き合いが苦手だった。
      男女の中はもとより、同性間でも友達であっても苦手だった。
      仲良くは出来る、しかし長いこと付き合っていると、自分や相手のアクが見えてきて疲れてしまう。
      「お前さ繊細すぎ。思春期かよ」
      元カレはそんな私を見て、大層めんどくさそうに呟いた。
      「あんた、そんな人に言えるほど大した人間なの?」
      友達の辛辣な言葉。
      「分かってる」
      分かっているんだけど、、、

      「はぁぁ」
      深夜の空港のフライトロード。
      その道路脇に座り、タバコをふかす。
      これからどうしたものか。
      どこに行こうか? 次の仕事は何をすれば? そもそも、いつまでこんな人生の逃避行を続けるのか?
      不安で心が押し潰されそうになる。
      「ねえ、君はどう思う?」
      FZに問いを投げる。
      FZ400。いつぞやの職場で誘いを断れず免許を取らされて、これまた提案を断れずに買ってしまったバイク。
      最初は嫌だった。でも気付けば今でも乗っているほどには気に入ってしまった。
      そんな私の愛車。
      「ーー」
      無論、FZは何も言わない。
      「しょうがない。とりあえず走るか」
      タバコを地面に押し付け、携帯灰皿に入れる。
      「どこ行きたい?」
      FZに行き先を尋ねる。
      「そっかそっか」
      グローブを着け、ジャケットを羽織る。
      物言わぬバイクに1人話しかけるなど端から見れば立派なーー
      「メン○ラだね」

      県を南から北へ上っていく。
      途中、何度かコンビニに寄って缶コーヒーと暖を取る。
      そしてオマケでタバコをふかしてはFZと会話。
      少しずつ東の空が明るくなっていく。
      「あ、やっば」
      県境を越す手前でガソリンが心許なくなってきた。
      最寄りのガソスタで、FZに奮発しハイオクを満タンに見舞う。
      「どうだ。ハイオクは美味いか!?」
      再び北上していく。
      回転数高めでFZの音を存分に楽しむ。
      しかし目的地に近づくにつれ、肌寒くなってきた。
      「寒い! 私を風から守って~」
      体を屈めてFZの小さなビキニカウルに潜り込む。
      そして……

      「到着~!」
      山の展望台の広い駐車場、私は思わず声を上げる。
      何とか間に合った。
      まばゆい朝日が真っ正面から差し、私とFZを照らす。
      眩しさに目を細める。
      寒い山の朝。
      夜通し走ったこともあり、すっかり体が冷えてしまった。
      FZのエンジンに手を近付けて暖をとる。
      「はぁ……綺麗」
      見える朝日はあまりにも綺麗だった。
      人生の逃避行。
      この旅の終わりはまだ見えないけど。
      今は少しだけ、この瞬間を楽しもうと思った。
      「ふぅ~」
      エンジンで温まった手をタンクに添える。
      これからも私を支えてね。
      走ってる時は私が君を支えるから。
      ーーだから。
      「これからもヨロシクね」
      FZのタンクを撫でる。
      私とFZの旅は終わらない。
      行こう。
      決意の朝を何度も迎えて。
      今日もアクビをひとつ
      変わらずタバコを吹かしてーー

      待ってろよ。
      私はなかなか手強いぞ。
      次こそは負けないからな。


      #FZ400 #海刊オートバイ #俺RIDE #私RIDE #東○海平 #人生楽ありゃ苦もあるさ

    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2020年04月12日

      63グー!

      今年の春で息子が社会人になった。
      祖父の代より住んでいる我が家、私と妻とでは手広になってしまった。
      「久しぶりに乗ってみるか」
      ふと、このところご無沙汰だった相棒に会いに行こうと思った。
      トラクターを納めている倉庫の中、幌をかけられた相棒から幌を引っ剥がす。
      「よう、久しぶり」
      相棒、GSX-R750に久方振りの日光が眩しく差す。
      その当時、アマチュアからル・マン、WGPで活躍するスズキに惚れ込み、カツカツにローンを組んで手に入れた相棒。
      あの頃は将来も考えず、草レースにツーリングに明け暮れていた、、、
      「若かったなぁ~」
      忘れていた熱いモノが、昔日の興奮と共に甦ってくる。
      最後に乗ったのはいつだったか……
      座り込み相棒のコンディションを確認する。
      タイヤはオシャカ、移動を試みればキチキチと異音、E/Gもタンクも覗けばドロドロ。
      この数年は、なにかと忙しく放置してしまっていた。
      「まずは、お山のカミさんに相談だな」
      私は思い立ち、出掛けることにした。

      「もう一度、バイクに乗ろうと思うんだ」
      私は妻に、献上品のケーキを差し出しながら申し出る。
      「ふぅん。そう」
      妻は興味無さげ言って、ケーキを皿に移す。
      「反対しないのか?」
      「子供も1人立ちしました。私や家計への負担を抑えるなら良いんじゃないです?」
      「……そっか」
      肩透かしながら、テーブルで小さくガッツポーズをとる。
      「事故だけはしないでね」
      妻がケーキを頬張りながら小さく、しかし確りと聞き取れる声で私に釘を刺す。
      「ああ。約束する、ありがとう」
      私も確りと頷いた。

      「うわ! ジスペケナナハンじゃないすか!」
      相棒を持ち込んだショップの兄ちゃんが目を輝かせる。
      「知ってるのかい?」
      「知ってるも何も、初代で~、油冷で~、油冷によって~、他メーカーよりも軽さで~」
      兄ちゃんがまるで宝物を見つけたように饒舌に言葉を紡ぐ。
      「………」
      驚いた。よもや相棒よりも年下であろう若い子たちが、コイツの歴史を語るとはーー
      「そうだよ、そうなんだよ」
      思わず年甲斐もなく子供のように語り合う。
      「しかし、750ってまだ売ってるんだね~」
      ショップに並ぶ最新のSSの中に混じるGSX-R750を見て驚く。
      てっきり、レギュレーションと共に1000ccに駆逐されたと思っていたが……
      「スズキですよ。浮沈を支えた750を切るわけありませんよ」
      「ははは。そうかそうだね」
      その言葉に思わずにやける。
      「あ、そういえば。その750買いたいってお客さん来たんすよ」
      「へぇ~」
      「買われるのも時間の問題っすね~」
      ーーそうか。
      「じゃお願いします」
      相棒を預け、丁寧に見送りまでしてくれた兄ちゃんに手を振る。
      ふと振り返り、並んでいたGSX-R750のことを考える。
      「大事にしてもらえよ」
      老婆心ながら750に檄を飛ばした。

      ボオォォォン!
      水冷には無いガラガラ音と共に喧しい音を奏でる。
      近所の軽いワインディング、久方ぶりの興奮だ。
      懐かしい音、匂い、振動、熱。
      クラッチを握り、軽くスロットルを煽る
      ボォン!ボォン!
      3000回転から始まるタコメーターの中、忙しく針が跳ねた。
      「ハハハハ」
      仕事に追われ、子育てに苦心し、当たり前の大人になるために、いつの間にか忘れていたモノ。
      「帰っていたぜ」
      少しだけ速度を上げる。

      「ふぅ」
      開けた海岸線の駐車場。
      新調したヘルメットを脱ぎ、相棒の横に座る。
      疲れてしまった。
      やはり、こればかりは20年前と一緒とはいかないか、、、
      額から頬に伝う汗を袖で拭う。
      傍らの相棒がチリチリと音を立てる。
      「………」
      見ればカウルやタイヤに所々、剥がれが見えた。
      「お互い年食ったなぁ……」
      ブオオオオォォォン!
      けたたましい音が鳴り響く。
      見れば海岸線の向こうにバイクが見えた。
      ヘッドライトの光が近づいてくる……
      そして、同じように駐車場に入ってきた。
      「え?」
      しかも、何を思ったのか相棒の横に止めてくる。
      不審に思いながら立ち上がる。
      見れば先日の最新のGSX-R750だった。
      跨がるライダーがミラーシールドのヘルメットを脱ぐ。
      「うぃーす」
      ライダーが私に微笑んでくる。
      「ーーは?」
      私は思わず声を上げる。
      「久しぶり父さん」
      ライダーが私をそう呼ぶ。

      はにかむ息子がそこに居た。

      「お前バイク乗ってたのか」
      「うん。実は免許取ったんだ」
      息子と缶コーヒーを飲みながら、久しぶりに語り合う。
      「驚いたよ」
      「驚かせたかったからね」
      聞けば、以前よりバイクに興味はあったらしい。
      しかし、言えば反対させると思い我慢していたとのこと。
      そして社会人となって免許を取り
      、意気揚々とバイクを買ったという。
      「ホントは父さんのジスペケ乗りたかったんだけどね」
      「ほう」
      「でも、コイツに惚れちゃって」
      息子が自分のジスペケを愛おしそうに眺める。
      そうか。お前も相棒を見つけたか……
      「じゃ次は嫁さんだな」
      「うるさいやい」
      「母さんみたいな美人さんを捕まえるんだぞ」
      「はいはい」
      「相手は居らんのか?」
      「あぁ~。さて、そろそろ走るかなぁ!」
      息子がいそいそと準備をし、足早にジスペケに火を入れる。
      「あ、待て。バカ息子!」
      私も急いで準備し、相棒に火を入れる。
      時代を越えて、形を変えて。
      しかし変わらぬ名前と思いを抱いて。
      2台のGSX-Rが雄叫びを上げる。


      #GSX-R750 #海刊オートバイ #俺RIDE #東○海平 #E/Gのボアストローク変わってないとかマジ!?

    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2020年04月08日

      59グー!

      空高く10Rが舞う。
      砕け散るライムグリーン、相棒がバラバラに破壊されていく。
      見上げれば地面、空と地面がひっくり返る。
      ついで全身をグラベルに叩きつけられる。
      「ふぇ」
      衝撃に息が止まる、ヘルメットのシールド越しに高速で地面がスライドしていく。
      「終わった」
      昼間にも拘わらず、暗い闇の中へと落ちていく。

      「あぁ、痛って」
      俺は悪戦苦闘し車から降りる。そして足を引きずりながら後部座席から松葉杖を取り出し、一歩一歩前へと進む。
      「ちはっ」
      松葉杖をつき、ショップに顔を出す。
      「お~う、久しぶり。生きてたか」
      店長が大破したバイクをいじりながら手を振る。
      ヨボヨボと近づいていく。
      「ボロボロだな」
      「体に何本かボルト入れたもんで」
      「ロボ○ップ?」
      「人間です」
      傍らのバイクを見る。
      「……ひどいっすね」
      「廃車やな、てかこれお前のやろがい!」
      目の前のバイク、俺の10Rは見るも無惨な姿になっていた。
      フロントカウルは垂れ下がり、シートは抉れ、リアに至っては完全に歪んでドラッグマシンのよう。
      かろうじてライムグリーンでカワサキ車と分かるのが関の山だった。
      「空高く舞い上がったらしいな」
      「ええ、見事にハイサイドしました。ドローンの気分を味わえましたよ」
      傷だらけの愛車に触れる。
      あの瞬間の恐怖がよみがえり、冷たいモノが体に走った。
      「……直すか?」
      「ーー直せますか?」
      「高くつくが、、、出来るっちゃ出来る」
      「………」
      「俺としては買い換えを勧めるの。……そっちの方が儲かるし」
      「おいジジイ」
      「ハハハ!」
      10Rの千切れなかった片割れの目と目が合う。
      リフレクターに写るは、ヘボライダー。
      「ちょっと考えてみます」
      ヨボヨボと車まで戻る。
      「養生せえ、それまでは預かっといちゃるわ」
      店長の言葉に軽く手を上げ答える。

      「ふ~む」
      雑誌でバイクのインプレを読む。
      赤い200馬力オーバーのヤツ、青いレーサーレプリカ、ストファイにモタード。
      動画も見て確認する。
      ストレートの伸び、コーナーでの猫足、電子制御によるGPライダー並みのライディング。
      「これとか良くね!」「メガスポ!メガスポ!」「2st!250!セパハン!チャンバー!ドッグファイト! 」
      バイク仲間が、ここぞとばかりに自分の愛車をプッシュしてくる。
      「う~む」
      なかなかしっくりと来ない。
      ま、そう言いながらも、まだ傷も癒えておらず跨がることも出来ないんだが。
      「ひぃ……ひぃ……」
      リハビリがてら近くのワインディングを歩く。それだけで青色吐息になった。
      「あ無理」
      バス停のベンチに座り込む。
      バイクで走れば、あっという間なのになぁ………
      しばしの間、ぼんやりと風景を眺める。
      頭に浮かぶのは昔日の10Rでのクラッシュ
      サーキットでのライディング。
      間近に迫るカーブ、ギアを落とし1万回転でカーブに進入。
      脱出につれて徐々にスロットルを開けていく。
      確かなタイヤの感触、地面に吸い付くように地面にバンク。
      裏ストレートに差し掛かる!
      一気にフルスロットル!
      脳ミソが置いていかれそうな加速ーー
      が。
      「!」
      突如、イン側よりバイクが膨らんでくる。
      「ウソだろ!」
      ガッツリとブレーキを握り込んでしまう。
      車体が左にスライドしていく……
      そして勢いにより体がカタパルトのように空へ投げ出される。
      眼下で10Rが錐揉みに地面に叩きつけられ激しくバウンド。
      そして俺はーー

      「こええ」
      寒気にブルッと震えた。
      ブオオオオォォォン!
      目の前を1台のSSが凄まじい速さで通過していく。
      「………」
      目で追うも、あっという間に遥か彼方へと消えていく。
      なるほど。ーー良いじゃないか。
      「よっしゃ」
      声を出し、勢いよく立ち上がる。
      スマホを取り出す。
      「あの~、店長。10Rのことなんですがーー」

      4台での連隊走行。
      ○○キロ越えでワインディングを走っていく。
      「ーー」
      先頭の俺はエスケープゾーンへと入る為、後方に手を振る。
      「ふぅ」
      愛車たちを並べて一息つく。
      「おつかれっした」「やっぱ速ぇっすね」「体もう大丈夫なんすか?」
      久しぶりのバイク、良い汗をかくことが出来た。
      「しかし驚きましたよ~」
      後輩の1人が俺のバイクを見ながら、俺に話しかけてくる。
      「まさか、もう一度10R買うとは……」
      ほかの2人も俺のバイクをジロジロと覗き込む。
      俺はもう一度10Rを買った。
      色々考えたが、結局はコイツになった。
      理由という理由は無い。
      強いて言うならば……
      「コイツじゃなきゃダメだったんよ」
      それだけで十分。色んな葛藤や迷いは吹き飛んでしまった。
      「しかし、またイン側空いてましたね」
      「うるせぇ!」
      「ちょっとビビっとんちゃいます?」
      「やかましいわッ!カマ掘んぞ!」
      「おお~こわッこわッ」
      後輩たちが蜘蛛の子散らすようにガードレールの向こうに避難する。

      「じゃ、そろそろ行くか」
      俺はヘルメットのアゴひもを絞め直す。
      「次、俺が前行っても良いすか?」
      「おう、バチバチに煽ったるわ」
      「ひょえ~!!」
      俺とコイツの前を走ることは誰であろうと許さない。
      俺が最強、コイツが最速。
      道端の石くれと化すまで、スロットルを開け続けろ!!
      速きこと、これだけが我が存在証明なり。


      #ZX-10R #海刊オートバイ #俺RIDE #東○海平 #今年の8耐楽しみです

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