マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

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    連絡を受けたのは仕事終わりに、コンビニに寄った時であった。
    聞けば親友が結婚するという。
    「マジか! 行くわ!」
    二つ返事に答え、言われたファミレスに向かう。
    「そうかぁ~タツロウも結婚かぁ~」
    1人しみじみと呟きながら走る……

    オレとタツロウは幼稚園から高校まで共に育った幼馴染みだった。暇な時は2人で遊び、互いの家に入り浸って、で同じようにバイクに興味を持ち免許を取った。2人とも我先にとバイクを買った。タツロウはカワサキ、俺はヤマハ。ヤマハに惚れた。デザインとかスペックとか色々有ったけど、何て言うか主人公感みたいなのを感じたんだ!

    思い出す風景、、、
    「ドラ!◯ソォ!!!」
    タツロウがニンジャ250SLをフル加速させる!
    俺はメットの中、軽く上唇を舐める。
    「ドッセエェェェェイッ!」
    俺もハンドルにしがみつき、YZF-R25をフル加速させた!

    ウゥ~ッ!
    その直後、後方よりサイレン、そして紅い点滅が俺達を追ってきた──

    眼下の愛車、YZF-R25を一瞥。
    バカやってたなぁ~。
    しかしソレも就職を機に段々と疎遠に、気付けば何年も連絡を取っていなかった。
    ……まぁ、でも。
    「ドッセェェェェイッ!」
    俺はバイパスを、フルスロットルで駆けていく。
    タツロウ待ってろよ~!!!

    日付も変わろうかという時間にファミレスに到着する。
    店に入り、店内を見回す。
    「お~い!」タツロウがこちらに手を振る。
    「お~う。久しぶりじゃん、生きてたか?」
    「お前こそ、、あら?」
    向かい側に座ろうとして気付く。
    「ヘヘ! 紹介するわ、嫁のランコ!」
    「どうも」
    タツロウに肩を抱かれながら、ランコさんが小さく一礼する。
    「ぼぇ~!? めっちゃ別嬪さんじゃんか! どこで拐ってきたんや?」
    「あぁ、それはな。詳しくは言えんが……ってなんでや!?」
    そんな俺とタツロウの会話に、ランコさんがクスクスと笑う。
    久しぶりに会う親友とのお喋りに花が咲く。
    あったあった!そうなんか? そうかそうか!
    なんて中身も無いような話が楽しくて楽しくてしょうがない。
    時間も忘れて語り合う。
    そんな感じで、話に一区切りが付いたところで。ふと……

    「そういえば今、タツロウ仕事で出世とかしたの?」
    タツロウに尋ねてみる
    「俺? 今、係長だぜ!毎日部下や上司に取引先に~もうクタクタだぜ」
    「そこで知り合ったんだよね」
    ランコさんがタツロウを見る。
    「「ねぇ~」」2人が笑う。
    「……ハハハ」
    一抹の、こう……ザワザワとした感じが俺を襲う。
    「お前は?」
    タツロウが手元のハンバーグを食べながら尋ねる。
    「俺はレストランで働いてるよ」
    コーヒーをすすりながら、答える。
    「へぇ~どこどこ?」
    「◯◯◯」
    「えっ! 最近、雑誌で取り上げられたイタリアンじゃないですか! 私行きました!」
    ランコさんが目を輝かせながら、スマホをいじり、俺に写真を見せる。
    名物にしているマロンとレモンが入ったドリアが写っていた。
    「ご利用ありがとうございました。またの来店お待ちして降ります」
    営業スマイルでお返しする。
    3人で爆笑した。

    夜もさらに更けて
    「じゃあ今度、、、ん?」
    タツロウがふと窓の外を見る。
    「あれ? あの赤いバイクってお前のヤツか?」
    「ああ、そうだぜ。」
    「まだ乗ってたんやなぁ」
    「勿論! ってか、タツロウ。お前はこれからハーレーとか乗るんか?クルーザーとかの方がタンデムが──」
    「あぁ、ゴメン。俺バイク辞めたんよ」
    タツロウが半分笑いながら喋る。
    ──あぁ、そうか。
    「あぁ、別にバイクがどうこうじゃないぜ? ただ~……その、いつまでの遊んでちゃ……ね?」
    タツロウがバツが悪そうに目を伏せる。視線の先にはランコさんの左手の……
    「やっぱもしも時が怖いんです」
    ランコさんがタツロウの手をギュッと握る。
    「……だよなぁ。そうだよ、何だよ、俺に気を使うなよ」
    俺はおどけてみせる。
    「当たり前だよ。いやぁ、こっちとしては羨ましいわ!こっちは万年、物言わぬ鉄の塊が恋人なんだぜ? そんな同情なんかせんでぇ~」
    「ハハハ! そう?」
    「そうだよ。いやぁ、ホント。タツロウにはガキの頃も、そして今も先を越されるなぁ~」
    俺は窓の外の白んできた空を見て、時間を確認する。
    「あぁ! ゴメン。俺そろそろ行くわ」
    財布から万札を出し、2人に差し出す。
    2人がアワアワしながら断る。
    「結婚祝い! 寂しい独り身に良い格好させてくれよ」
    顔が引きつったようなウィンクをする。
    タツロウとランコさんが何とか受け取ってくれた。
    「じゃ、また。ちゃんと結婚式呼んでくれよ」
    店の外へと出ていく。
    ランコさんがペコペコと頭を下げる。
    R25に跨がりメットを被り、店に振り返る。
    店内からタツロウとランコさんが手を振ってくれていた。
    軽く会釈、小さく手を上げる。

    アクセルフルスロットルで走っていく!
    「ああああああ」
    明日が休みで良かった!
    アクセルフルスロットルで走っていく!!!
    「アアアアアアアアアア」
    出来るだけ遠くに! 遠くに遠くに走っていく!!!
    「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
    メットの中で叫ぶ! ありったけの声を上げて胸の中のザワザワしたモノを吹き飛ばす!
    「くそぅ! 何だよ!めっちゃ雨入ってくんだけど!」
    「めっちゃシールド曇るッ! 前がよく見えねぇ!!!」
    走る。走って走って走って走って!

    「あっ」ガシャンッ!
    視界が90°傾く。信号待ちで俺はぶっ倒れた。
    跳んできた周りの車のドライバーや歩行者に支えられながら、近くのバス停に避難。

    左側に倒れたR25を引き起こす。
    「はい。大丈夫です」頼む
    「問題ないです」お願いだから
    「心配おかけしました」俺に優しくしないでくれ
    いっぱいいっぱいの体で何とか走っていく。

    たどり着いたのは海辺だった。
    思い返せば昨日から寝てない、ここはどこだ? 俺は何をしてるんだ?ボーっとする頭で、海を眺める。
    ヴォヴォヴォヴォヴォ!
    独特なパルス音を響かせバイクが、俺のR25の近くに停まる。
    現行のYZF-R1だった。
    ライダーがAGVのメットを脱ぎ、一息。革ツナギの格好で海辺のベンチに腰かける。
    「あの、R1カッコいいですね」
    精一杯にこやかに話しかける
    「あぁども」
    ライダーが俺を一瞥、そして拒絶するようにスマホをイジりだす。

    あ、もう無理。

    俺の目からドバドバと涙が出てくる。
    「──ッは? ええッ!? わ、ちょっ! おま、え、泣くなよ~」
    ライダーがスマホを放り投げて俺に駆け寄ってきてくれた。
    人目も憚らず、嗚咽を漏らし泣く。
    「ああ!もう! はいはい」
    ライダーが泣きじゃくる俺をベンチに座らせる。
    「ワカル! ワカルよ~ うんうん! そうだな」
    えずく俺の背中をライダーがポンポンと撫でる。
    情けなくて、、、悔しくて、、、悲しくて。
    もうオンオンとガキのように泣きじゃくった。

    「失礼しました」
    散々泣き腫らした後、どこかスッキリした気持ちでライダーさんに深く頭を下げる。
    「ああ、もう良いわ」
    ライダーさんがタバコを吸いながら、疲れた目で俺を見る。
    「まぁ、アレだな。アンタはその友達の結婚に際して、ちょっと色々思ったんだな」
    「そう、、、なりますね」
    ズビズビと鼻を噛みながら喋る。
    そこからお互い喋らず、無言で2人で海を眺める。
    ──どれぐらいそうしただろうか?
    「自分はどうすれば良いんですかね?」
    俺はライダーさんに尋ねる
    「知らん、分からんね」当然の答え。
    「……でも」 ……でも?
    「自分の気持ちに素直になれば良いんじゃない? 好きだから乗る、飽きたから降りる、そんなものまで他人に左右されるとかバカじゃねぇの?」
    「………」
    「バイク好きなんだろ?」
    頷く。
    「自分の人生の主人公は手前でしょ? やりたいようにすれば? 知らんけど」
    「…………」
    俺は無言で海を眺める。
    ライダーさんが一息に一気にタバコを吹かす。
    「悪ぃ、何か俺がしんどくなってきた。そろそろ行くわ」
    言うが先か、そそくさとメットを被る。
    「無責任な言葉かもしれんが、何とかなるって。ガンバんな」
    ライダーさんが軽く俺に手を上げ去っていく。
    クロスプレーンの音が木霊し遠ざかっていく。

    「ンあぁ~っ!」
    ベンチに寝っ転がり、縮み上がった体を伸ばす!
    腫れた目で空を見上げる。そして。
    「ッしゃあ!」
    勢い良く飛び起きる!
    「帰りますかな」まずは~
    「お前の修理だな」
    左側に思いっきりガリ傷の入ったR25を優しく俺は撫でた。

    朝の遅刻前のアラームが鳴り響く。
    壁に掛けていた服に身を包む。
    っとヤバいヤバい。
    急いで支度。
    アパートの階段を下りて──
    そして。
    「よっこらせ!」
    カバーをめくり、愛車の。
    「おはよう」YZF-R1Mに挨拶。
    R1Mに火を入れる!
    ヴォヴォヴォヴォッ!
    野太いファンファーレを鳴らす!
    そして。
    「どっせい!」
    もう1つのカバーをめくって。
    「行ってくるな」YZF-R25にも挨拶。
    その素敵なフェイスを撫でる。

    ん~やはり、2台持ちってのは無理が有ったか、、、なんて。
    「まあ、何とかなるっしょ!」
    ふと、いつぞやに聞いたヤマハのバイクの誇りを思い出す。
    ヤマハ車ってのはコーナーの先なんだ。
    ストレートで負けてても、コーナーで追い付いて、そしてコーナー先で先頭に立つ。
    皆があたふたしてる中をぶち抜くんだ。まさに俺じゃないか!
    なんたって俺は。

    「主人公なんだからな」
    愛車と共に俺は今日も走っていく。

    #YZF-R25 #YZF-R1M #俺RIDE #海刊オートバイ

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