ハッシュタグ 東◯海平のカスタム・ツーリング情報12件

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    「東◯海平」の投稿は12枚あります。
    東◯海平俺RIDE私RIDE1/6の夢旅人カタナがゲシュタルト崩壊 などのタグがよくつけられています。投稿されたツーリングスポット情報・カスタム事例など東◯海平に関する投稿をチェックして参考にしよう!

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    東◯海平の投稿一覧

    • 1
    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2021年08月18日

      71グー!

      (そのバイクって何て言うんですか?)
      「これはオフロード、あぁ正確に言えばエンデューロだな」
      (どこのバイクですか?)
      「KTMってとこの250ccのヤツだよ。なぁ、おい見てくれよ。チャンバー!スゴいだろう? この時代に2ストロークだぜ?」
      (──え?すいません、2ストロークって何ですか?)
      「はぁ? おい、マジか参ったなぁ……まぁ良いや。スゴいエンジンが乗ってるってことだよ」
      (なるほど。では最後に愛車の名前を教えて頂けますか?)
      「250EXC TPI」
      「めっちゃ軽くてめっちゃ過激でめっちゃ楽しいバイクだよ」

      愛車から快音と白煙を撒き散らし、ぬかるみを走破していく!
      「ん! ─ン!」
      滑るタイヤをケツで感じ経験と勘を頼りにスロットルを操作。
      ハンドルを振り回し、雨に歪むゴーグルの視界に睨みを効かせる。
      「おい、イケるか?」
      インカムからキンノスケの問いが跳んでくる。
      「おう! イケるイケる!……たぶん」
      短く返事。
      「たぶんて、、、おい頼むぜリンタロウ」
      キンノスケの声。
      知るか! こっちは豪雨のゲロ道を走っとんじゃ! お前みたいに……
      「そっちはエエの! 車で!」
      軽く後ろを振り返る。
      キンノスケの駆るジムニーのヘッドライトに目が眩んだ!
      「ぐあッ! 目が、目がァ!」
      あのク◯ボケ! ハイビームにしてやがった!
      「ギャハハハハ! っうぉ!」
      途端、キンノスケが悲鳴を上げる。
      再び振り返る。
      ジムニーが見事にドでかいオアシスにダイブしていた。
      「アヒャヒャヒャヒャ!」
      俺はしこたま笑って速度を上げる!
      「あ、おい。待て!コラ!」
      おーい!……オラ!……この薄情モーン!

      キンノスケとは長い付き合いだ。
      出会いは地元のショップが催したオフツーだった。
      そこで意気投合し気がつけば10年が経っていた。
      お互い見事に年は30半ば、なのに山を駆け回るガキのように飽きもせず山を走っている。
      もとはお互いにバイクだった。
      でも、数年前にあのバカは谷底に落ちて完全に足をイワしてしまった。
      するとヤツは車で来るようになった。
      あぁ、なんと言うか。ホントに……
      最高なヤツだよ。
      まぁ、実際俺としてはジムニーに荷物とかガソリンとかレスキューアイテムとか詰め込めるから大助かりではあるんだが。

      「オラ、巻くぞ~」
      近くの太い木にウィンチを巻き付けて、キンノスケに合図を送る!
      そして。
      プァパパン! ブィーン!!!
      250EXCを叩き起こす!
      「せぇーの!」
      ミシミシミシミシ! プァァァン!
      軋みながら巻かれるウィンチ、フレームに巻いたハーネスでジムニーを引っ張り上げる。
      ジムニーのマフラーからモノ凄い量の白煙が上がる!
      250EXCも負けないくらいの白煙を上げる!
      「えーと、こういう時何て言うンだっけ?」
      「ああん?」
      「ほら。ふぁいとォ~!」
      あぁ、そういうことね。

      「「イッパァァァァーーーツ!!!」」

      「一時はどうなるかと思ったわ」
      タープの下、鹿番長のイスに座るキンノスケが呑気にコーヒーをすする。
      「よく言うぜ。お前、もしこれでフレーム歪んでたら弁償しろよな」
      俺は地面に置いていたカレーメシに湯を注ぐ。
      「はいはい。了解了解」
      「もしくは1290 Sアドベンチャー買ってくれ」
      「ハンッ!お前みたいな短足じゃ無理だよ」
      「ンだとコラ! テメェ、コーヒーにガソリン入れんぞ」
      悪態をつきながらキンノスケにおかわりを注いでやる。
      しばしの間、2人で空を眺める。
      気づけば降り続いていた雨が弱まってきていた。
      見える空の彼方、かすかに見えるアレは晴れ間か?
      「……ありがとうな」
      「…おう。」
      俺は出来上がったカレーメシにスプーンを入れる。
      「あ! テメェ。自分だけ飯作りやがったな!あ!? しかももう水、無ぇじゃねぇか!」
      どういうことだよ!?
      「ガハハハハ」
      俺はサッと立ち上がりカレーメシを持って逃げる。

      ジムニーや250EXCを壁にグルグルと追いかけっこ。
      よこしなさいよ!
      嫌だよ! バーカ!

      「じゃあ、また競争な」
      「OK。ゴールはてっぺんの見晴らし台で」
      互いに愛車にガソリンを飲ませて戦闘態勢に入る。
      スタートは雲から太陽が出たら……
      ん!? 興奮で開いていた口に大粒の雨が入った。
      思わずえづく。俺は目を背ける。
      「今!」
      並んだキンノスケがフライングをかます!
      巻き上がった泥と砂利が俺を襲う!
      「テメェ! ズリィぞ」
      「勝てば良かろうなのだ」
      こなぁ◯ソォ!
      ゴーグルを乱暴に拭い俺もロケットよろしく出発した。
      木々の間を縫っていく。
      思わず口もとが緩む。
      良いねぇ~

      「「楽しくなってきた!!」」


      #250EXC #俺RIDE #東◯海平 #カレーメシ!

    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2021年08月17日

      64グー!

      全神経を研ぎ澄ませて峠を走り抜けていく!
      右─左─ギアを1へ踏み落とす!
      途端、回転数が跳ね上がりエンジンが雄叫びを上げてマフラーから絶叫が木霊する!
      カーブを抜けてストレートへ。
      スロットルを根性で開けていく!
      迫りくるキツい右カーブ。
      ふと前方に父親とその愛車、CBR929RRのテールランプが見えた。
      「イケる!!!」
      早鐘を打つ心臓に、さらにアドレナリンが流れ込む!
      ビリビリとした恐怖、一寸先に見える◯の狭間に指がブレーキへと伸びる。……グッと堪える。
      ──まだ。
      眼前に迫るカーブ!
      刹那、糸ほどの細い光るラインが見えた。
      今!!!
      ブレーキを握り込む!
      ジャックナイフ寸前の綱渡りのようなタイトブレーキ、恐怖と興奮に歯が割れそうなほどに食い縛ってラインをなぞっていく──
      見事にパス、眼前に長いロングストレートが広がる。
      そのわずか先にCBRのテールランプを捉えた。
      フルスロットル! 身を屈めてロケットのようにソレ目掛けて跳んでいく。
      1000ccクラスのフル加速、轟音と針の穴ほどに狭まっていく世界で
      テールランプの赤を睨み付ける。
      ……だけど。
      「あ」
      これはどういうことだ?
      文字通りスルスルとソレは。
      父親とCBRが私から遠ざかっていた。
      スロットルを緩める。そしてガス欠でもしたのように路肩へと愛車を停める。
      「………」
      ヘルメットを脱ぎ、前方を眺める。
      遥か前方、峠を上っていく父の背中とCBR929RRの後ろ姿が陽炎に消えていった……

      バイクに乗り始めたのは父親の影響だった。
      古くさいバイクを、まるで宝物のように取り扱う父親、その姿を今でも覚えている。
      私はそんな父の姿が子供のように思えて嫌いだった。
      なんで他の所のお父さんは外車とか、キラキラした高級車に乗ってるのに家のお父さんはバイクなんて乗ってるんだろう……
      上手く言えないけど、ソレが恥ずかしかった。
      「そんなガラクタ売ってよ、他の所のお父さんみたいにベンツとかレクサス乗ろうよ」
      そんな事を言ったこともあった。
      「ああ、そのうちな」
      すると父は決まってそんな事を言うのであった。
      そして月日は流れて、私は高校を卒業し社会人になった。
      そんなある日に、仕事から帰ってきてボンヤリと眺めていたニュース、それは訪れた。
      ホンダのバイクレーサーの訃報を告げるモノだった。
      生前の彼の人生や輝かしい戦歴が詳しく説明される。
      その中の1枚の写真、ソレが私の目に焼き付いた。
      カラフルなマシンを駆る彼の姿、ソレが父の姿と重なったのだ。
      私の中に竜巻のようなうねりが生まれる。よく分からない強い強いチカラが私を支配する。

      ──バイクに乗ろう。
      そう思った。

      それからは早かった。
      目を白黒させる母をよそに、テキパキと教習を済ませ。
      チカラに導かれるようにホンダのショップへと足を運び、書類にポンポンと印鑑を押して。
      私の元にCBR1000RR SP SC77がやって来た。
      「本当に大丈夫ですか?」
      心配そうなショップのお兄さん。
      「あらら~」
      なぜか納車に付いてきた母親。
      「では! 行ってきます」
      会釈して私はおニューの装備に身を包んで1000ダボ? と駆け出した。

      走って走って腕を磨いていく。
      別に速くなることが目的じゃ無かったように思う。
      走ることが楽しかった。
      でも目標は有った。
      にこやかに笑い父が私を追い抜いて走り去っていく……
      「お父さんに勝ちたい!」
      「あのニチャニチャした笑顔をギャフンと云わしたい!」
      そう思ったんだ。

      ガックリと肩を落とし、ゆるりゆるりと帰っていく。
      「また勝てなかったなぁ」
      ぶつくさと文句を垂れながら家路を走っていく。
      おかしいなぁ~
      排気量でもパワーでも勝ってんだけどなぁ~
      やっぱアレかな~
      まだまだ下手っぴなんだろうなぁ~

      ファァァァァーンッ!!!
      父のCBRの雄叫びが遠く聞こえた。

      ……ちくしょう。
      絶対に次は勝ってやる!

      ・・・・・
      「ただいま」
      私は家の倉庫、父のCBRの横に自分のCBRを停めて母に声をかける。
      「おかえり。遅かったね」
      母がスイカを切りながら答える。
      「どう? 今回は勝てた?」
      「ダ~メ。途中まで食い下がったけど、最後の伸びで千切られちゃった」
      スイカを2つほど拝借。食べながら母に結果を報告する。
      「あの人速かったもんね~」
      「奥大山のパープルイエロースターだったっけ?」
      私は言いながら笑いそうなる。
      「そうそう! ホント、馬鹿よね~」
      母が懐かしそうに言って、笑って、ちょっと顔を背ける。
      「だね~」
      私は拝借したもう一つのスイカを皿に移す。
      「だそうですよ」そして。

      「パープルイエロースター」
      私はスイカを仏前の笑う父に供えた。
      オマケで割り箸を突き刺したキュウリとナスも供える。

      網戸の向こう側、倉庫に並ぶ2台のCBRの方より風が吹き込む……

      「来年は負けないからね」
      スイカと特製の自信作を前に笑う父、私も笑いかけてやった。


      #CBR1000RR #CBR929RR #私RIDE #俺RIDE #東◯海平 #お盆

    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2021年08月17日

      75グー!

      「まわるよ~まわる、地球はまわる~」
      ご機嫌に歌を口ずさみ俺は走っていく。
      「泣きたくなるよな時も、君に会いに行きたくなっても~」
      スロットルを開け、心地よいトラクションを感じ、グッと力強い加速に身を任せていく。
      「強がるだけ 今は何も。何もわからな~い」
      眼前に西日が彩るオレンジ色の世界が広がる。
      ──おお。
      絶景なんじゃあ~ねぇの!

      この度、少し早めに人生のセミリタイヤをすることにした。
      別にこの世が嫌になってアレを絶とうって訳じゃあ無い。
      ただ、昨今のウィルスとか生活の変化とかその他の色んなしがらみってヤツにホトホト疲れたんだ。
      8年勤めた会社の合理化を好機と考えて軍資金を調達し、旅に出ることにした。
      相棒はTMAX、持ち物は財布とスマホ、そしてシート下に入るだけの着替えと歯ブラシ。
      期限は無い。宛も無い。軍資金か俺のパワーが尽きるまでの旅。

      「………」
      眼前に広がる茜色の空と海に言葉が出てこない。
      この瞬間だけは心と体が解放される。
      自分が今、生きているという実感が俺の全てを光のように打ちのめしていく……
      「……帰るか」
      目にしっかりと光景を焼き付けて駐車場へと踵を返す。
      ──あ。
      そしてふと気付く。
      帰るも何も俺には帰る場所なんて無かったわ。
      「ダハハハハ」
      短く爆笑。

      ではどこに行こうか? 自分の心に問う。
      フランス行きたいな
      そんな声が聞こえた気がした。
      じゃあ行こう。
      俺は次の目的地へと出発した。

      TMAXは最高だ。
      一部ではビクスクは云々だとか言われてるが、コイツは違うんだ。
      本当に楽しい。そりゃモノホンのツアラーとかストファイとかオフロードだとかには敵わないかもしれないけれど、コイツは最高なんだ。
      この旅の中でソレを改めて理解させられた。
      バイクの楽しさと喜びってコレじゃね? なんて考えていた。

      「Excuse-moi où allez-vous?」
      ふと道端の駐輪場でパンを齧りながらスマホを見ていると話しかけられた。
      「Je pense aller voir le fameux champ de lavande」
      俺はグーグル翻訳を使いながら答える。
      「Est-ce un champ de lavande en Provence ?」
      「Probablement ainsi」
      「Alors c'est le meilleur maintenant
      Beaucoup de lavande devrait être en fleur」
      俺の翻訳に、洒落たジェンヌが身振りしながら答えてくれる。
      「Merci beaucoup j'ai hâte」
      「Bon voyage au revoir」
      ジェンヌが煌びやかに去っていく……
      「はぇ~、、、こりゃ令和の渋沢栄一だな」
      眼福、いや感服。では──
      「行きませう」
      俺は目的地を目指して出発した。

      見知らぬ道をナビに従いながら走っていく。
      右側通行におっかなびっくり。
      道すがらの坊っちゃんに手を振られ、にこやかに振り返す。
      ──そして。
      二、三度ほどナビとにらめっこをして──
      ……おおお!
      ついに俺はたどり着いた。
      夢だったプロヴァンス、そのラベンダー畑
      眼下に広がる紫の世界
      体を通り抜けていく華やかな香りを胸いっぱいに吸い込んでみる。
      ──ああ。

      「幸せだ」
      心のそこからそう思った。


      #TMAX #俺RIDE #東◯海平 #1/6の夢旅人

    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2021年07月29日

      67グー!

      わりと早い段階で嫌な予感はあった。
      ウンともスンとも言わないロドスタを前に思案。
      とりあえず一服……
      「……んぁ?」
      アイコスを取り出して気付く。
      ──マジかよ。
      充電切れしていた。
      もう嫌になってドカッと路肩に座り込んで、空を眺める。
      晴れた空に、ワシャワシャとセミの声が響いていた。

      ことの始まりは有給の消化だった。
      貯まっていた有給の為に、平日の水、木なんていう微妙な日程で休みを取る。
      寝て過ごそうとも考えたが、駐車場で寂しそうに佇むロドスタを見て、出掛けることにした。
      「よう、久しぶり」
      カバーを引っ剥がし、久方ぶりに愛車、XL1200CXロードスターに日光を浴びさせる。
      テラテラと艶消しのブラックが輝いていた。
      ────ドドド!ッドッドッド!
      少しばかりの間を置いて、エンジンが始動する。
      思えば、コイツに乗るのはどれくらいぶりだろうか?
      「……?」
      マジで思い出せん。
      上司の課す納期に追われ、雨にお預けをされていたライダーの脳ミソは完全に錆びているようだ。
      ハハハ! 思わず苦笑し頃合いを見て俺はツーリングに出掛けた。

      心地良く弾む愛車にテンションを上げながら走っていく。
      特に目的地は無い。なんとなく彼方の道の駅に行こうかと考えて走っていた。
      ぬるい風が俺を撫でては通りすぎていく。
      季節は7月の下旬、ようやく梅雨が明けてシーズンが始まろうかというところ。
      「夏のバイクは気持ちいいでしょう」
      「風を切って走るってどんなです?」
      会社の同僚や後輩が言う。
      「ああ。良いもんだよ」
      俺は柔和な笑みを浮かべてソレに答えた。
      ……実際は頬を引きつらせているのだが。
      信号待ちで止まる。すると。
      「お?」
      ミラーにフルカウルバイクが映った。
      そして器用にスルスルと車の間を抜けて、信号待ちの先頭へと並んだ。
      フルカウルのライダーが仰ぐように信号を眺める。
      信号が変わる。
      ブアァァァァン!
      けたたましい爆音、一気にライダーが彼方へと加速していった。
      俺も発進する。
      「めっちゃ熱い(気持ち)いいだろうな~」
      そう呟いて、俺は滴る汗を舐めた。

      そんな楽しいツーリングの道中。
      ふと良さげな風景があり、ロドスタを停めて写真を撮ったところで。
      ソレは起こった。
      ─カカカ! チンッ!
      「ん?」
      出発しようとセルを回すと変な音がする。
      「──?」
      バッテリー上がりか?いやでもそれなら回らない筈だし、ならどっかのハーネスか?でもでも……
      動かなくなった愛車を前に悪戦苦闘。
      そして。
      ─────
      ついにウンともスンとも言わなくなかった。

      「…………」
      今さらながら、スマホで似たような不具合を調べる。
      画面が日光を反射し眩しい……
      炒られる肌が痛い……
      てか暑い……あぁ、もうセミがうるせぇよ
      「……あぁ、そもそもが朝の段階で何かヘンだったんだよなぁ」
      チクショウ、これなら部屋で寝とくんだったわ。
      ──なんて、考えてスマホを乱暴にポケットに詰め込んで、ふと気付く。
      「あれ?」
      コイツ、いつガソリン入れたっけ?
      立ち上がり、愛車を左右に揺する。ほんのわずかに水音が鳴った。続いてタンクを開ける。

      「あ」

      タンクの中、乾いたアルミのシルバーがキラリっと光っていた。
      「ダハハハハッッッ!」
      顔を手で覆い爆笑!!!
      おいおいおいおい(笑)
      こいつぁ傑作だ。
      よりにもよって、コレかよ!?
      テメェ何年バイク乗ってんだ?
      マジか引くわぁ。
      「ンフフフフフフフッ」
      頭ん中に幾つもの思いが駆け巡り、笑いが止まらなくなる!

      「おい、兄ちゃん大丈夫かん?」
      ふと道路を見れば
      軽トラに乗ったおじさまが怪訝そうに俺を見ていた。
      「いや、、、んふ!失礼、その─フフフ」
      ダメだ、ツボった。
      「……?。あ、 こりゃアレばい」
      「婆さん、飲みもんば買って来ちゃって。このアンちゃん熱さでヤラれとらすぞ」
      おじさまが何かを感じ、助手席のおばさまと話している。

      「あ、いや、すいません」
      「大したことでは無いんですが」
      俺はプルプルと震える口を引き締めて、毅然とおじさま達に視線を向ける。
      「すいません、この近くにガソスタは有りませんか?」
      俺はおじさま達に尋ねる。

      「え?たまスタ?」
      おじさまが首を傾げる。
      「タマスタなら、この先ばってんが、あ、今日、試合しとらすばい」
      おばさまが前方を指差す。

      「。゚(゚^Д^゚)゚。」
      俺は笑った。
      セミの声がワシャワシャと響く。
      晴れた空、その下に俺の笑い声も響き渡った。


      #XL1200CX #俺RIDE #東◯海平 #欲しい写真見つらず

    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2021年04月12日

      75グー!

      「ンフッ!! ンフッ!!」
      ずるずると滑る地面。
      鼻息を荒げ、全身の筋肉を総動員しカタナを操っていく。
      「あーぁ!やっぱ来ンじゃなかったぜ!」
      自分の無謀に後悔。
      しかし、嘆いていてもしょうがない、気合いと根性でバババババッて登っていく。
      悪戦苦闘すること30分。

      「っしゃ! 着いた!」
      ようやく山頂に到達した。
      尻が汚れるのも構わず地面にドカッと座る。
      自前のコーヒーセットを広げてブレイクタイム。
      「……ふぅ」
      疲れた体にコーヒーが美味い。
      ちと気圧でぬるい気がせんでもないが、それも愛嬌。
      地面から愛車を見上げる。
      「良いねぇ~」
      後光を背負いスクランブラーカタナが威風堂々としていた。

      なんつーか、世間ってヤツに付いていけなくなった。
      変わっていく時代、変わっていく生活、そんな周りのアレコレに合わせていくのに疲れたんだ。
      イレブンカタナに乗り始めて幾星霜。
      最初は憧れから乗り始めた、それから一通りカスタムを重ねて、良い感じにフルカスタムなカタナとなった。

      ツーリングにも行った。
      ミーティングにも行った。
      スピードだって良い感じに出て、速く走れるようになった。

      そんな時に。
      とあるカタナミーティングに行った際に、俺のバイクライフを激変させる出来事が起こった。
      「あれ? 俺のカタナどこだったっけ?」
      ずらりと並んだカタナ、それに埋もれて自分の愛車が分からなくなったのだ。
      仕方ないと言えば仕方ない。
      だってカスタムしてるとは言え、全てカタナなのだ。
      自分はマイノリティーだと思っていた、しかし実際には狭いコミュニティでマジョリティーと化していたことを思い知らされた。
      トンカチで頭をカチ割られるような衝撃だった。

      まずはカタナを純正に戻した。
      どノマールのカタナを眺めて考える。
      俺のやりたいことは?
      俺はコイツで何をしたかった?
      カタナってのは──

      何だ?

      「──そうだ」
      頭の中にビビッとイナズマが走る!
      俺の中に芯が通る!
      頭に浮かんだヤツを紙に起こす!
      うまく書けずに、書いては消して書いては消して、何度も繰り返すもんだから紙がクシャクシャになる。
      ……でも。
      「出来た」
      俺は黒ずんだ手で顔を拭い、笑う。
      銀の車体、差し色の赤、ドコだって走れそうなタイヤ、そして。
      ターミネーターな俺。
      追い求めいた俺の究極がそこにはあった。

      ところ変わって夜の港。
      俺の究極のカタナ、そして究極の俺。揺れる水面、2人のシルエットが映る
      「良いじゃん!」
      心からそう思った。


      新型のカタナを買った。
      理由という理由は……無い。
      あえて言うなら、コイツに乗りたかったからであろうか?
      「…………」
      カタナに跨がり、暮れる夕日をボンヤリと眺める。
      「──帰るか」
      ミラーに掛けていたメットを被りカタナを起こす。
      ドドォンッ!!!
      SS譲りの元気なエンジンが雄叫びを上げる!
      オレは夕日に向かっては走り出した。

      昔から自分に自信ってヤツが持てなかった。
      何でもそつなくこなせたが、全て無難な結果。
      何でも出来た、でもオレにしか出来ないっていうモノは無かった。
      スペシャルではなくオーディナリー。
      何て言うのかな~
      それに気づいた時、こう、、、
      何かがさ、ポキって折れたんだよ。

      そんな時に。
      「あっ」
      街中で信号待ちをするライダー。
      その姿とバイクに釘付けになった。
      銀色の車体、エッジの効いたフォルム、ストファイならではの獰猛なスタイル。
      「──コイツなら」
      オレも 成れる かもしれないと思ったんだ。

      夜の港。
      三脚を立てて、オレとカタナを撮影する。
      今宵、この瞬間この世界で主人公はオレだ!
      酔う。酔いしれる。
      あぁ~最高だあぁ。

      そんな時に。
      「う!」
      突如差し込む閃光!
      目映い光がオレとカタナを射す!
      クソ、誰だよ。こんな時に、、、、
      目を細め、精一杯に光の方を睨み付ける。

      「あ、ごめん」
      スクランブラーなイレブンカタナとライダーが居た。
      「ああ、いえ。こちらこそ……」
      お互いにペコっと会釈。
      ついでどちらともなく、愛想笑いを浮かべた。

      「へぇ~! コイツぁスゴいや」
      スクランブラーカタナに跨がりオレは感嘆をもらす。
      やベェな、こいつはとんでもないぜ。
      「いやいや。君のカタナも良いじゃないの♪ 新型カタナってどう~」
      スクランブラーカタナのライダーが、オレのカタナに跨がりニコニコ。
      「あぁ、新型カタナはですね~」
      オレは現在、スクランブラーカタナのライダーさんの営むバーに来ていた。
      (バーニング・ラム)
      おしゃれで良い店ではないか!
      マンゴージュースを飲みながら、カタナトークに花を咲かす。
      そうだよ。こういうのだよ。
      年も世代も飛び越えて、語り合う。
      オレは(俺達は)こういうのを待っていたんだよ!!!

      「おお! マスター、ノリノリやん」
      常連であろうか? 小太り角刈りのおじさんがオレ達を眩しそうに眺める。
      「そうなんよ」「そうなんすよ」
      オレ達の言葉がハモる。
      思わず互いを見る。
      「「ダハハハハ!」」
      爆笑。
      「仲良いのぉ~。あ、そうだ、写真撮っちゃるわ」
      おじさんがスマホを構える。
      「ハイ、行くよ~お二人さん!」

      「ハイ、カッタ~ナっ!」
      カシャッ!

      カタナ万歳!!!!


      #GSX1100S #刀 #KATANA #カタナ#刄 #俺RIDE #東◯海平 #カタナがゲシュタルト崩壊

    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2021年04月10日

      58グー!

      ㊗️3周年
      皆さんが呆れずに僕に構って下さったお陰で
      モトクル始めて3年目に入りました.
      +:。 ヾ(◎´∀`◎)ノ 。:+.

      ホントありがとうございます(っ´ω`)っ
      途中、何度かマジ辞めようかと考えたことも有りましたが
      皆さんのおかげで
      ココまで続けてることが出来ております💙

      今後とも、この阿呆を何卒ヨロシクお願いしま~す
      (*´ω`*)


      あ、そうだ(唐突)

      皆さんは東◯海平先生のヤツ、どう思いますか?
      面白いです? 楽しんで頂けてますか?

      で、なんですが。
      3周年を記念して、皆さんの愛車を
      3つばかり
      俺RIDE 私RIDEに出演させて貰えませんか?

      愛車との写真、5~8枚ほど
      愛車との思い出、ストーリーの脚本
      バイクを全面にプッシュ、ライダーをプッシュ
      指定が有れば粗方のストーリーを言ってもらえれば
      出来る限りで意向に沿わせて頂きます(^○^)


      ま、何と言いますか。
      よろしくお願いしま~す(* >ω<)(* >ω<)(* >ω<)


      #マリン後輩 #東◯海平 #感謝感激雨霰

    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2021年04月10日

      58グー!

      「あ、桜だ」
      俺はふと、満開に咲く桜を見上げて呟く。
      思わずスマホを構えて撮る。
      青い空にピンクの花びらがとても映えていた。
      「綺麗~」
      タンデムシートに座る年下の彼女も桜を見上げてウットリと呟く。
      「あぁ。そうだなぁ」
      俺達は近くのベンチに座る。
      俺は目を閉じる。
      心地よい風のそよぎと、香る春の香りに身を委ねる……
      遠いあの日が甦る──

      始まりは確か、高校2年生の春であった。
      俺は昔から勉強が出来た。
      連立方程式も古文も英文も化学も、人並みよりは理解が早く、特に復習することもなく気が付けば学年1桁代の成績となっていた。
      まぁ、アレだ。いわゆる頭が良いってヤツだ。
      ただ、俺は言われたことをやってるだけなのだがな。

      そんな時にふと、バイクに乗りたくなった。
      尾崎豊ではないのだが、ただ今を自分ってヤツを変えたかったんだと思う。

      持ち前の頭を使い、反対する両親を説き伏せて中型免許の教習をかち取る。
      そして学校に隠れて、教習を重ねて中型を取得した。
      放課後にバイト、連休に鬼シフトのバイトを組み、金を貯める。
      ニンジャ250R SEを買った。

      休日にスモークシールドのメットを被り遠出する。
      学校にはバレなかった。
      俺には友達が居たが、秘密を共有出来るような親友やバイク乗りは居なかった。
      そんな平日は優等生、休日はライダーという2面相な忍者のような生活をしていたある日のこと。

      「松重シノブです。今日からしばらくお世話になります」
      学校に研修として若い教習見習いの女の子先生がやって来た。
      「松重先生」「シノちゃん先生」
      なんて言われながら皆と打ち解ける。
      俺もやんやりと教材を運ぶのを手伝ったり、黒板を消したりとしていた。
      先生とは言え、俺達と7つしか年が変わらない。先生というよりお姉ちゃんって感じだった。

      で、とある休日に2つ隣の道の駅に行った時のこと。
      俺はベンチでソフトクリームを食べながら、愛車を眺めていた。
      「……カッケェ」
      なんて、 バイクに浸っていたら……

      「あ゜」
      俺を見て女性ライダーが声を上げる。
      「あ゛」
      俺も女性ライダーを見て固まる。
      ジャケットスタイルなシノちゃん先生がソフトクリームを持って、そこには居た。

      「ユウジ君、バイク乗ってたんだね~」
      シノちゃん先生がソフトクリームを頬張りながら尋ねる。
      「ええ、はい。まあ」
      やベェよやべぇよ。
      背中に脂汗が伝う。
      うちの高校はバイク禁止だ。
      バレないために俺は優等生を演じていた。
      加えて、バイクに乗る条件の1つに学校にバレないってのが有った。
      どうしようどうしようどうしよう。
      「ああ、そんなに怯えないで。大丈夫、学校になんか言わないよ」
      シノちゃん先生が俺の様子を察し、俺にそう言って笑いかける。
      「……ホントですか」
      「うん♪ 逆に嬉しいよ」
      ……嬉しい?
      「いや、だってユウジ君みたいな真面目な子もバイク乗るんだなぁって思ったらね」
      シノちゃん先生がコロコロと笑う。
      ──あ、これ大丈夫らしい。
      俺は胸を撫で下ろす。
      「愛車はニンジャ?」
      「はい。ですね、あのシノちゃん先生──あ、松重先生は」
      「シノちゃん先生で良いよ」
      シノちゃん先生が遠くに停まった大型バイクを指差す。
      「……マジすか」
      「うん!私の愛車!」
      ソコにはGPZ900Rが停まっていた。
      「あ、そうだ! これから一緒に走らない?」
      「ええ、でも250と大型じゃ」
      「関係無いよ! 私、乗るだけでアップアップだしヘーキヘーキ♪」
      「同じニンジャ乗り同士!仲良くしようよ♪」
      シノちゃん先生が眩しく笑う
      「──ウッス!」
      俺も笑った。

      それからは楽しかった。
      どこか息苦しかった学校も楽しく思えるようになった。
      学校ではお互い、バイクのことを尾首にも出さず、休日になると場所を選び2人でツーリングに出かける。
      ちょっとした火遊びとでも言えば良いか?
      「姉弟ツーリングですか?」
      そんなことも道中のライダーに言われたこともあった。
      なるほど、遠からずといった感じだ。

      いつからだろうか?
      そんなことを続けていくうちに。
      「あのシノちゃん先生!」
      俺の中に募るモノが有った。
      夕日を背にしシノちゃん先生を呼ぶ。
      「うん?」
      シノちゃん先生が振り返る。
      「あの──」
      上手く口が動かない!
      ええい! クソ! こんな時に!
      固まる口を、筋肉を引っ剥がすように強引に動かす!

      「俺と付き合って下さい!」

      声を上擦らせ、頭を深々と下げる。
      言った! 言っちまった!
      心臓がレブるエンジンのようにバクバクと脈打つ。
      どうだ? どうだ? どうなんだ?
      俺は少しだけ顔を上げて、シノちゃん先生を伺う……

      「……ごめんなさい」
      シノちゃん先生はそう言って頭を下げた。

      ──ああ。そうか。
      俺は体を起こし空を眺める。
      「──ですよねぇ~」
      「──うん」
      「あぁ、マジかぁ~」
      腰に手を当て深呼吸。
      そりゃそうだ。コッチは17そこらのガキ、シノちゃん先生は20半ばの大人。
      そりゃ~そうだろうよなぁ。。。

      「でもね。ユウジ君嬉しかったよ」
      シノちゃん先生が夕日を眺める。
      「俺がもう少し大人だったらOKでした?」
      「う~ん。それでもダメかな」
      「おいおいおい」
      マジかよ。大惨敗ではないか。
      「君が忍者に乗ってたらOKだったかも」……なんて。
      シノちゃんが悪戯っぽく笑う。
      2人で爆笑。

      「あ、流れ星」
      シノちゃん先生が空を指差す。
      俺は空を眺める。
      その時に

      あっ

      俺の頬にナニかが優しく触れた。
      「………」
      「………」
      「さ、帰ろうか! 少年よ!」
      シノちゃん先生がピョンピョンと跳ねながら歩いていく……
      「──ウッス」
      俺も付いていった。

      シノちゃん先生は無事に研修を終えた。
      サプライズで俺は花束を送った。
      シノちゃん先生は泣いて喜んでくれた。
      俺は学校を卒業した。
      そして大型免許を取り、忍者を買った。
      長いこと乗った。で遊び尽くして
      今度はニンジャ1000を買った。

      そして現在の俺は──
      「……ふぅ~」
      目を開ける。身に映るのは桜と大切な存在。
      俺はニンジャ250に乗っていた。

      「ユウジ君~」
      年下の彼女が俺を呼ぶ。
      「一緒に写真撮ろうよ~」
      桜の下、彼女がピョンピョンと跳ねる!
      「おう。今行くわ」
      俺は髪をかき上げて、彼女の元へと向かう。

      季節は春。
      俺はこれからもずっと。
      「いくよ~3、2」
      いつまでもずっと。
      「1!」
      何度でもずっとずっと。
      パシャっ!

      お前と共に。


      #ニンジャ250R #GPZ900R#ニンジャ1000 #ニンジャ250 #俺RIDE #東◯海平 #桜とカワサキ

    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2021年04月10日

      49グー!

      時速150キロ越えで走っていく。
      ミラーを一瞥。
      遥か後方、小さくヘッドライトの光りが見えたような気がした。

      「ン!」
      さらにスロットルを開ける!
      途端に絶叫するエンジン!
      タコメーターの針が躍り、一瞬で速度が200キロへと達する!
      ミラーを再び見る。
      「………」
      もうそこには何も映っちゃいなかった。
      俺は中指を立てた。

      昔から偉そうにしてる奴ってのが嫌いだった。
      やれ、あーだこーだと持論を声高らかに唱えては、気に入らない人や物をこき下ろす。
      そういった輩がもう虫酸が走るほどに大嫌いだった。
      だから。
      「え? それどう意味ですか?」
      「いや、それ違うでしょう?」
      「ん? 何か言ってること変わってませんか?」
      見つけ次第、そいつの矛盾や、お高く留った持論ってヤツを完膚無きまでに叩き壊してやった。

      そして俺はバイクが好きだった
      ──だけど。
      最近のバイクは~
      「4気筒が~」「 2気筒なんて~」
      「俺の若い頃はな~」「昨今の若いライダーは~」
      悲しいかな。
      俺の好きなバイクこそ、そういう輩が多かった。

      反吐が出た。

      バイク万歳と叫びながらも、その実はカビの生えたような考えを押し付けて。
      激変する時代に必死に生き残ろうとするバイクメーカーや、バイクに乗ろうとする新米ライダーの足を引っ張っているのだ。
      一言、老害である。

      ──だから。
      「あの」
      そんな老害(やつら)を見つける度に。
      「へぇ~。そうなんですね」
      おだてて、煽って。
      「じゃあ、そのご自慢のバイク見せてくださいよ」「え?逃げるんですか? っハ!しょうもな!」
      おちょくって。
      勝負をした。

      G◯Zだけを◯者と呼ぶ会
      空冷4発愛◯会
      ◯会、北◯団、◯◯塾
      色んなチームやライダーを叩き落としてやった。
      口先だけの わけ知り顔どもを叩き落とすのは痛快だった。
      そして、そんな通り魔のような事を続けていたら──

      「ん!? ブラックバード!?」
      「撃墜王だ!」
      「黒い凶星!逃げろ! 殺されるぞ!」

      ブラックバード、撃墜王、黒い凶星。
      そんなあだ名を付けられるようになった。
      おかしいな。
      ただ、俺は気に入らないヤツを黙らせてるだけなのに……

      「おい! オッサン!」
      ふと、夜明けのSAで声をかけられる。
      「あんた、ブラックバードだろ!? 俺と勝負しろよ」
      声を荒げ、若いライダーが俺に勝負を吹っ掛ける。
      「……そういうンじゃないんだ」
      消えろ。っと手でライダーを追いやる。
      「はぁ!? テメェ舐めてんのか!」
      ライダーが俺のジャケットの襟を掴む!
      「………」
      参ったな。
      「もうお前さんの勝ちで良いから」
      「ふざけんな!逃げんじゃねぇよ!」
      「もう今日だけで3人墜としてんだ、察しろクソガキ」
      俺は愛車のCBR1100XXスーパーブラックバードへ、アゴをしゃくる。
      ブラバのシートには都合3枚のチームステッカーが貼られていた。
      「上等だよ! お前墜せばソックリそのまま俺のモンじゃねぇか!」
      「………」
      「……ンだよ」
      俺の無言の眼差しにライダーが怯む。

      「お前、愛車は?」
      「あん? お前と同じ前期型のブラックバードだよ」
      「チームは?」
      「入ってねぇよ、群れるのは嫌いだ」
      「お前、なんでバイクで勝負してんだ?」
      俺はライダーに質問を続ける。

      「そりゃ、あれだよ。口だけの奴らを黙らせるためだよ!いつまでも老害どもにデカイ顔されてて堪るかよ」
      「……老害か」
      「あん? だってそうだろ。お前だって──」
      「……分かった」
      俺の言葉にライダーが目を光らせる。
      「でも。今からはダメだ」
      途端にライダーがいきり立つ!
      俺は自分のジャケットのワッペンを剥がしライダーに渡す。
      ワッペンには日本を咥えた鷹の絵が描かれていた。

      「あ、えっと、あのこれは」
      状況が理解出来ないのか、ライダーが しどろもどろに口ごもる
      「夜までお前に預けるから、それを人質に12時間後に またココに来てくれや」
      「……」
      「な」
      「……はい。──じゃねぇ!分かったよ。逃げんなよ!」
      ライダーが何度か振り返りながら去っていく。

      「いつの間にか俺が老害か」
      なるほど、やってるこたぁ~
      アイツらと同じ価値観の押し付けだもんなぁ
      何とも皮肉なモンだ。
      「スゥ~~………ハアァ~」
      レッグバックからタバコを出して一服。
      夜明けの空に煙を吐く。
      愛車のブラックバードに朝日が差す。
      ──さてと。
      立ち上がって愛車へと近付く。
      「だからって墜されるわけにゃいかんよなァ」
      マダマダな。

      そして翌日。
      SAに雄叫びが木霊する!
      「準備良いかい? 坊や」
      「おう来いや! オッサン」
      2台のブラックバードが熱気に陽炎を揺らめかせる。
      ヘルメットのシールドを共に閉じる。
      ブリッピングしボルテージを上げていく……

      「「行くぞ」」
      激しいスキール音!
      ロケットスタートで2匹の黒い大怪鳥が飛び出した!


      #CBR1100XX #SuperBlackBird #俺RIDE #東◯海平 #HONDAのHONKI

    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2021年04月10日

      54グー!

      「ステイ!」
      私の言葉にボーダーコリーのシューぺリアと、バーニーズのトラバントが伏せて私の顔を伺う。
      「ジャンプ!」
      私は高く手を掲げる、2匹が勢いよく立ち上がり、ピョ~ン♪と跳ねて、私の手にタッチを行う。
      「バンッ!」
      私は指でピストルを作り、2匹に向けて放つ。
      (ワフッ)(ウォフ)
      2匹がコロンと寝転がる。
      シューぺリアとトラバントが流し目に私を見る……

      「良し!」
      (ワンッ!)(ンフッ!)

      私の言葉を聞くやいなや、ピョンピョン跳ねながら、2匹がじゃれついてくる。
      「グー! ベリーグーね♪良し良~し♪」
      ご褒美の生ジャーキーを配りながら2匹を撫でる。
      「流石っすね~。見事なもんですわ」
      近くに居た同僚のポンタが顔を、柴犬のラオウに舐められながら喋る。
      「そりゃドッグトレーナーですから──っぁ!」
      大型犬の2匹にじゃれつかれ、私は倒れて。
      「キャ~!!!」
      ここぞとばかりに、顔や手を舐められてベロンベロンになった。

      「シュペ~、トラ~」
      気品のある飼い主さん夫婦が現れて、2匹を呼ぶ。
      2匹がそれに気付き、飼い主さん達の元へ走っていく。
      リードを優しく付けられ、2匹の尻尾が嬉しそうに揺れる。
      「では、また木曜日に」
      「はい。今日もありがとうございました」
      にこやかに飼い主さん夫婦が笑う。
      (ワフッ♪)(ウォフ♪)
      シューぺリアもトラバントも笑った。

      私はドッグトレーナーだ。
      昔から犬が好きだった。
      小さい頃から、たくさんの家族を飼ってきた。
      そんな中で、訳有りな わんこと会った。
      暴れん坊だった、気にはなっていたけど、、、
      自分や家族が噛みつかれるのが恐くて手が出せなかった。
      しばらくして、その子は飼い主に噛みついてしまった。
      ──救えなかった。
      だから、次は救いたいと思った。

      「ところで姐さん」
      ポンタが私を愛称で呼ぶ。
      「週末楽しんできて下さい」
      ポンタが言って笑う。
      「そうね。久しぶりだもんね~」
      私も週末のことを考えて笑った。

      「ども~、予約してた──」
      新たなお客様がやって来て
      ワンワンワンワン!!!
      ワンコが弾丸のように飛んできて
      「わぁ~~!!!」
      「おぉ~~!!!」
      2人でタジダジになった。

      ドドドドドドドド!!!!!
      4台で連なって走っていく。
      今日は仲間内のツーリングだ。
      愛車は皆、イントルーダー400クラシック。
      マシンは一緒だがカスタムは様々、ナローやインスパイアなど4台4人で思い思いのスタイルを作っていた。
      「到着~」
      先頭を走る私は言って、後方に手信号を出し、道の駅へと入る。
      「ふぃ~」「お疲れッす」「あ、豚串美味そ~」
      みんなでガヤガヤしながら楽しむ。
      楽しい。
      みんなも楽しそうだ。
      仕事でもプライベートでも世話を焼く。
      性分なのだろうか。たまらなく、それが楽しかった。
      そして。
      また連なって走っていく。
      そんな時に
      「うおっ!」
      仲間の1人の声がインカムを遠し聞こえた。
      それと同時に。
      ───ヒュイン!!!
      「きゃっ!」
      凄まじい速さで、私達を何かが追い抜いて行った。
      それは、さらに前方でテールランプを光らせて追い抜いていく。
      少し古いスポーツバイクだろうか?
      「あっぶねぇ」「頭沸いてんか?」
      インカムで愚痴が飛び交う。
      「だね~」
      私も愚痴った。

      そんなある日。
      「あの、よろしくお願いします!」
      バイクのチームに新たな仲間が加わった。
      小柄な可愛らしい女の子がペコペコと頭を下げる。
      「うんうん!」「ひゅ~♪」「俺、マサヒコ」
      野郎達が色めき立つ。
      「スミレです!」
      彼女、スミレちゃんも勿論、インクラ乗りだ。
      大きな車体に小柄な彼女、とても微笑ましかった。
      どう言ったら伝わるだろうか、、、
      「ポメラニアンみたい」
      仲間内の1人が呟く。
      なる程、言い得て妙だなと思った。
      ツーリングに出かける。
      野郎達がインカムを通してスミレちゃんに話しかける。
      あぁ姫よ、蝶や花よ、といった感じだった。
      「アハハ」
      思わず乾いた笑いが出た。
      現金なものである。

      少しずつチームの形が変わっていく。
      今までは私が皆を引っ張る感じだった。
      ──それが。
      「ねぇスミレちゃん知ってる?」
      「あのね、スミレちゃんこれはね」
      「あ、そうだスミレちゃん」
      スミレちゃん スミレちゃん スミレちゃん

      「…………」
      気が付けば私は1人で温泉街に来ていた。
      足湯に浸かりながら景色を眺める。
      「……たのしいな」
      誰に言うでもなく呟く。
      ふと、湯槽の水面を見る。
      映るのは、据わった眼力と力仕事に鍛えられたソレ。
      ロットワイラーがそこには居た。
      「あの」
      話しかけられる。
      「隣いいすか? 」
      言われて相手を見る。
      「あっ」
      相手が声を上げる。
      「え」
      私も声を上げた。
      「姐さん」「ポンタ」
      カジュアルライダーな姿のポンタが、そこには居た。

      「やっぱ~、みんなソッチの方が良いよね~」
      私は何となく、思ってたことを素直にポンタに喋る。
      「あぁ~、ですかね~」
      ポンタがバツが悪そうに目を伏せる。
      「………」「………」
      お互いそれ以上は話が続かず、足湯に浸かり、温泉街を眺める。
      「姐さんはどうしたいんです?」
      ポンタが尋ねる。
      「……分かんない」
      私は答えられなかった。
      「ポンタはどうしたら良いと思う?」
      今度は私がポンタに尋ねる。
      「う~ん。俺の口からは何とも」
      ポンタはそう言って。
      「っでも!」
      勢い良く立ち上がった!

      「俺は好きですよ」

      「……え?」
      私は思わず思考が止まる。
      「あの、その……何て言うか」
      ポンタが改まる。
      「俺は愛玩犬より頼れる番犬の方が好きです」
      「………」
      「あ、中でもロットワイラーとか大好きですね」
      言うが先か、ポンタの顔がみるみるうちに赤くなっていく──

      「じゃそういうことなんで!あの姐さん、お大事に!」
      ポンタが急いで靴を履き、足早に走っていく。
      そして遠くに止まっていたバイクに跨がった。
      ──あれはGSX-R400だろうか。

      ブォン! ブォブォブォブォッ!
      ペコペコと幾度も私に会釈をして
      ブォォォォォォオン!!!
      ポンタは去っていった。

      「ふーん、なるほどね」
      私はそう呟いて。
      「よいしょ」
      立ち上がる。そして。
      クンクン!
      私は鼻を使い辺りの匂いを嗅ぐ。

      ふむふむ、なるほどね
      香る硫黄の香り、その中に仄かに漂うアイツの匂い。

      「ワンワンワォーン!」
      愛車のインクラに跨がり、愛車を起こす。
      ドドン! ドドドドドドド!
      ゆっくりと、匂いを追って走り出す。

      鼻と耳をそばだてる。
      待ってなさい、きっとすぐに捕まえてあげるから。

      「逃がさないからね」
      絶対に逃がさないんだから!


      #イントルーダークラシック400 #俺RIDE #私RIDE #東◯海平 #これじゃ番犬じゃなくて狂犬だよ

    • マリン後輩さんが投稿した愛車情報(ZZR400)

      ZZR400

      2021年03月23日

      75グー!

      その昔、ZZRというカワサキのバイクが有った。
      シャチみたいにヌルッとした車体に、元気なエンジン。
      300キロに届くような過激なツーリングから、街乗り、何泊もするようなロングツーリングまで、何でも出来る万能なマシンだった。
      まぁ、今じゃソレも彼岸の彼方に追いやられ続けているんだが……

      「~♪~♪」
      鼻歌でBGMをつけながら走っていく。
      「フンフ~ン♪ランララ~♪」
      カワサキの4気筒とBEETが織り成す極上のサウンドに酔いしれながらのツーリング。
      最高だ!
      「おっ!」
      そんな感じで、ご機嫌なっていると、これまた良さげな風景が広がった。
      愛車を路肩に安全に停めて、バックからカメラを取り出し構える。
      ピピ! パシャッ!撮影。
      「ん~♪ 良いねぇ~」
      最高の写真が撮れた。やったぜ!
      そして再び愛車、ZZR400に跨がって走り出す……

      俺の愛車、ZZR400は特別なバイクだ。
      と言っても、何かワンオフとか限定モデルって訳では無い。
      コイツは俺が親父から譲ってもらった、、、いや、受け継いだバイクだった。

      親父はバイクが好きだった。中でもカワサキ車が好きで、とりわけZZRシリーズにゃ目が無かった。
      「あ! 1100!あれは600!モホホ400じゃねぇの! こらまた250ですか!」
      50近いオッサンが子供のように目を輝かせて、はしゃいでいたのを覚えている。
      「おとーしゃん! じーじーあーる」
      そんな親父を見ているうちに俺もZZRが好きになった。
      よく親父のツーリングにも付いていった、フカフカのタンデムシートに乗り、親父のジャケットの脇のベルトにしがみついていたなぁ~
      時代遅れのキャブの息づかい、ガソリンの匂い、構造がアナログ、ラフゆえのドコか温もりを感じさせた乗り心地。
      「懐かしいなぁ~」
      思わず声が出た。
      「でも」──でも

      「◯んじまったんだよなぁ~」
      親父はもう虹の向こうへとロンツーに出ちまった。

      ……え? 何故かって? 理由?
      「カニ食ってイっちまったんだよ」

      スベスベマンジュウガニをよ!

      忘れもしない6年前の夏、あの日は親父と俺とお袋の3人で海にキャンプに行っていた。
      楽しかった。海で遊んで、バーベキューで焼きそばも食べて、そして夕方に3人で浜辺に座り、沈む夕日を見ていたんだ。
      ……そしたらよ。
      「あっ! カイト見てみろ! カニが居るぞ」
      親父が大袈裟に声を上げ、近くを歩いていた小さなカニを掴んだ。
      そして……
      「どれどれ食べてみよう!」
      食った。
      おそらくは俺とお袋を笑わせようとフザけたのだろう。
      しかし残念ながら、そのカニはオフザケでは済まない毒を持っていて……
      「う!」
      顔がサツマイモのように変色する親父、しつこくフザけているんだろうと思った。
      でも、それはリアルガチマジで。

      「……お父さんイっちゃった」
      「うん。バイバイしたね」
      お袋と俺は葬式の会場で呆けていた。
      親族や親父の友達、バイク仲間も同様だった。
      坊さんのお経が粛々と響く……
      「……すべすべまんじゅうがに」
      俺がポツリと呟く。
      「んくッ!」「んお!」
      お袋と誰かが吹いた。
      会場の大半がプルプルと肩を震わせる、、、
      ピリピリとした緊張が走る、そして。
      「ブハハハハハハ!」「んフフフフフフフ!」「おま! トバしてイったんじゃなく、カニて!」
      爆笑が会場を包んだ。もうめちゃくちゃだった。
      笑いをこらえ目尻を拭うお袋、笑ってモモを叩く親族、お経を詠みながら肩を震わせる坊さん。
      あぁ、ホントもうメチャクチャだよ……

      「先ほどは大変失礼をいたしました」
      「伏してお詫び申し上げます」
      「本当に申し訳ありませんでした」
      式の後、大人達がお袋と俺に深々と頭を下げる。
      「いえいえ、良いですよ! 今日はあんな阿呆の為に~」
      お袋が断りながら、ペコペコと頭を下げる。
      「あ、そうだ! バイクどうしましょう」
      ──え? 今? ここで?
      お袋が訳の分からないことを言い出した。
      大人達もあーだこーだと何故か乗り出す。
      「私が乗りますよ」「いえ、自分はご主人に生前は本当にお世話になりました! だから自分が」
      「私にご主人のZZRを譲って頂けませんか?言い値で構いません! 例え200万でも300万でも出させて頂きます!」
      ワチャワチャと大人達が騒ぐ。

      ん? ふと親父の眠る棺桶を見る。
      「あ」
      半透明の親父が棺桶に座り、コッチを見ていた。
      「──」
      親父も気付いたのか、俺に手を振る。
      「おとうさん」
      「───」
      親父が口を動かす、しかし声は聞こえない。
      ……でも、俺には親父の言葉が伝わった。
      俺は親父に頷く、おとうさんは満足そうに笑った。
      「あの!」
      大人達へと振り返る。
      「おとうさんのじーじーあーるは僕がのります」
      しっかりと言葉を伝える。
      そして。
      「おかあさん」
      俺はおかあさんの手をしっかりと掴む。
      「僕が運転するから、また一緒にツーリング行こうね!」
      お袋に気持ちを伝える。
      その瞬間、お袋は初めて泣いた。
      お袋と俺、抱き合ってオンオンと泣く。
      つられてみんな泣いた。

      ヴォォォォーンッ!……rrr。
      宿泊する宿にZZRを停めて、電話をかける。
      「あ、もしもしお袋? 付いたわ、無事到着です」
      「あらそう、お疲れ様。今回はドコに行ってるの?」
      「広島」
      「ふーん。じゃお土産は桐葉菓でヨロシクね」
      「okok! じゃまた、そっち帰る時に連絡するわ」
      「うん。気をつけてね」
      「ういうい、じゃあ」
      電話を切り、宿の受付へと歩いていく。
      「あの、17時から予約していた者ですが」
      一通りの手続きを済ませる。
      「今日はどちらから来られたんですか?」
      受付のお姉さんが俺に尋ねる。
      「◯◯からです」
      「あ、そうですか。バイクですか?」
      俺はロビーの下に佇むZZRを見る。
      「はいッ!」
      胸を張って答えた。
      「あ、そうですか。お気を付けて」
      柔和な笑みを浮かべるお姉さん。
      俺もニッコリと笑った。
      ZZRをもう一度見る。
      心なしかZZRも笑っているように見えた。
      「あ、そうだ。ご夕食ですが……」

      「海鮮カニ御膳と広島牛御膳、どちらになさいますか?」
      「……」
      「……」
      「広島牛御膳でお願いします」
      俺は両手でピースをし、そう答えた。


      #ZZR400 #俺RIDE #東◯海平 #1000投稿 #ZZRちかっぱ隊

    • マリン後輩さんが投稿した愛車情報(Ninja ZX-12R)

      Ninja ZX-12R

      2021年03月22日

      93グー!

      思えば今年で40になろうとしていた。
      あぁ、年月ってヤツは早いもんだ。
      そんなことを考えながらスロットルを開けて走っていく……

      「うおッ!」
      スクリーンから顔を出しては引っ込める。
      現在、俺は愛車のZX-12Rに乗って鹿児島を目指していた。
      目的地は佐多岬。
      理由は無い。強いて言えば、なんとなく行かなくてはと思ったからであろうか?

      メーターの針は時速250キロ越え。
      轟音と振動の中を、スクリーンとカウルに守られて貫いていく……

      あと600キロ。
      スマホのナビを一瞥し、ただ黙々と山陽自動車道を走っていく。
      思えば12Rとの付き合いも15年、距離にして16万キロを突破した。
      新車で買ったコイツも、もう立派な旧車(ロートル)だ。
      何度もコケた、何回も修理した、もはやエンジンなんて3機目、新車(あの頃)から残っているのはフレームとメーターぐらいのモノである。

      500。
      SAにて180キロ毎の給油をしながら、ミラーに映った自分の顔を見る。
      メットの中の浅黒く焦げた肌、目尻のシワ、、、
      「……フ、老頭児か」──笑えんな。
      そう呟いて──良し。
      並々と注がれたハイオク、腹ごしらえをした愛車のダミータンクを撫でて、メットのシールドを閉じる。
      「おん?」
      ふと隣に入ってきたライダーと目が合った。
      乗ってるバイクは現行のSS。
      そして乗ってるライダーもメットから見える目と肌がピチピチに見えた。……現行車(者)か
      「ガハハ!」
      声高らかに笑い、そして互いにペコッとお辞儀をして。
      ヴォヴォヴォヴォ、バァンッ!
      ヴゥゥゥゥアァァァァンッ!
      耳をつんざく爆音をかき鳴らして再び走って行く。

      300。
      中国道から九州自動車道へ。
      「ぬぬぬ!」
      ラグナセカばりのテクニカルカーブに悪戦苦闘、時速300キロにも耐えうる剛性が仇となり、カーブの度に凄まじいGに全身の筋肉が悲鳴を上げる!
      踏ん張る足の親指がつる!
      ハンドルにしがみつく腕の上腕がピキピキと震える。
      右へ左へと移り行く状況に目が追いつ──
      「舐めんな! そんなにジジイじゃねぇ!」
      気合いと根性でねじ伏せていく!
      昔の俺よ、ほら見ろ!
      まだまだぁ!俺ぁまだ耄碌しとらんぞ!
      170キロ越えで走って行く……

      100キロ。
      九州最南端の桜島SAを横目に通過し、下道へ。
      再び愛車にハイオクをがぶ飲みさせて桜島フェリー乗り場へと急ぐ!
      しばし休憩。
      愛車の上に突っ伏す。待合室には行かない、寝そうだった。
      そして時間になりフェリーの中へと進んでいく……

      短い航路。
      名物のやぶ金うどんを無心で食べる。
      「おおぅ~! ふぁぁぁ」
      見えてきた陸に心が踊る、鎌首をもたげる睡魔に目蓋が痙攣する。
      では行かん!
      カタパルトから飛び出すガンダムが如く桜島へと勇み入る!

      90
      海沿いの224~269号線を目薬とエナジードリンクをキメて走っていく。
      「おう!」「おお!」「おんおん!」
      すれ違うライダー達とヤエーを交わす。
      気持ちの良いワインディング、思わずスロットルをラフに開け──
      ……かけて。
      「──」
      思い留まる。
      見れば田園風景の合間、側道にパンダカラーのア奴らが待機していた。
      「~♪~♪」
      鼻歌混じりに走っていく~
      もう少し……もう少しで……
      そして。

      「ハァァァ」
      モニュメントの前に愛車、ZX-12Rを停める。
      騒ぐ風と磯の香りを全身で感じる。
      しばし目を閉じて、心が凪ぐまで静かに待つ。
      「………」完了。
      気持ちを切り替えて出発する。

      ──そして。
      「到着」
      ついにあの大きな木の下へと着いた。
      緩い傾斜の駐輪場に愛車を停めて、岬のベンチにドカッと座り込む!
      「があああ」
      オッサンのようなタメ息とも言えぬトンチキな言葉。
      続いて、自販機で買った白熊ジュースを胃に流し込む。
      「あっま!」だがそれが良い。
      思えば遠くに来たもんだ。
      見れば日も暮れ始めているではないか。
      目を細めて大海原に沈む夕日を眺める……

      ボンボンボンボンボンッ!
      ふと、聞こえてきたバイクの排気音に振り返る。
      「あ」
      思わず声を上げる。
      「あ!」
      向こうのライダーも声を上げる。
      先のガソスタで会った現行車(者)がソコには居た。

      「昔、父が12R乗ってましてね」
      若いライダーが俺の12Rを眺めながら、しみじみと言葉をつむぐ。
      「いやぁ、君のバイクにゃ敵わないよ」
      俺はライダーのSSを見て、謙遜する。
      かたや型落ちの時代に忌み嫌われた忌み子、かたやメーカー最先端の鬼の子、比べるまでも無いだろう……
      「バイクって良いですよね」
      ライダーが俺の言葉を無視し喋る。
      「何十年経っても色褪せないんです」
      「色褪せない?」
      「だってオジさ……兄さん12R好きでしょう?」
      「ああ、好きだよ」
      俺は即答した。
      「俺もいつかそうなりたいです」
      若いライダーが西日を受けながら、自分の愛車のSSを眺める……

      その姿に昔日のあの日の俺が重なる。

      「……どうしました?」
      ライダーが首を傾げる。
      「いや、何でもない」
      ……何でも……無いさ。
      「あ! そうだ!ちょっと待ってて下さい!」
      若いライダーが小走りにどこかへと走っていく。
      「ハァハァ、さ!どうぞ!」
      そして走って帰って来て俺に何かを差し出す。
      ……なるほどね。
      「再会を祝して!」
      白熊ジュースがソコには合った。
      「アリガトウ」
      笑ってソレを受けとる。
      「「乾杯」」
      ジュースをぶつけ合い、杯を交わす。
      甘ったるい味、のど越しに悪戦苦闘。
      「っぷはぁ~うめぇ~ッ!」
      若いライダーが一気に飲み干し空き缶を高らかに掲げる!
      「若いな~」
      俺も遅れて、3度に分けて飲み干し空き缶を高らかに掲げた。

      バイクに乾杯! ライダーに乾杯!
      嗚呼、オートバイに乾杯!


      #ZX-12R #俺RIDE #東◯海平 #鹿児島リベンジしたい #999投稿目 #12Rかばち隊

    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2021年03月20日

      81グー!

      朝日が眩しく地平を照らす早朝。
      ゆっくりと愛車をガレージより引っ張り出す。
      「………はぁ~」
      吐く息がほのかに白い。
      春とは言え、まだまだ冷えるなぁと思った。
      そのまま大通りまで、ゆっくりと散歩でもするかのように愛車を押していく……
      カァカァとカラスの声が聞こえる。
      見上げれば、電柱と送電線の上でカラスが鳴いていた。
      ──もう良いであろうか?
      住宅街を抜けたところで、 辺りを見渡す。
      ーー良し!
      「っと!」
      愛車、スーパーレッジェーラV4に跨がる!
      次いでキーを回す。
      煌びやかにメーターが踊る!
      「──ふぅ……」
      しっかりとメットのシールドを閉じて、イグニッションon

      筆舌に尽くしがたい爆音!
      いや炸裂音が鳴り響く!!

      カラス達が一斉に飛び立つ!
      「……では行こうか」
      俺は朝日に向けて走り出した。

      環状線を2✕✕キロ近くで流していく!
      交通量は まばら。
      軽やかに車の合間をパスしていく!
      タイトなブレーキと芸術的と呼べるほどの車体性能、そして特大のカナードが可能にする挙動。
      視界は当に針の先ほどと化すほどに狭まっている!
      まさに針に糸を通すが如き技、ソレを可能にするのがコイツだ。
      スーパーレッジェーラV4。
      乾燥重量159kg、最高出力224馬力の極限のSS。もはやmotoGPマシンと言っても差し支えないバイクだ!
      値段は1200万! 俺は全てを失う覚悟でコイツを買った。

      ふと車線が開ける。
      「オオオオオ」一気に加速する!
      瞬きをする間に速度は2✕✕後半へ。
      あまりの急加速にウィリーしようとする車体が、カナードによるダウンフォースによって強制的に車体が地面へと叩き付けられる!
      エンドルフィンに脳が溺れそうになる。

      「っむ!」
      ふとミラーが後方からのライトによって眩しく光った。──来たか!
      「ボンクラッ!」
      俺は思わず叫ぶ!
      それと同時に俺の横にソレが追い付いてきた。
      見なくても分かる。
      赤い車体、黒いカナード、筆舌に尽くしがたい爆音!

      スーパーレッジェーラV4だ!

      「!!!」「───」
      俺とボンクラのチェイスが始まった。

      ヤツはボンクラ。
      俺と同じレッジェーラV4に乗るライダーだ。
      ヤツも環状線を走る者……気に食わない。
      おそらくはヤツも俺が気に食わないのだろう。
      俺とボンクラが出会うと必ずチェイスとなってしまう!
      三車線をフルに使い、互いに前へ前へと走っていく。
      出し抜き、出し抜かれて、まるでガキの追い駆けっこのように道路を走り回る!
      「む!」
      数100メーター先、三車線中の二車線が並走するトラックによって阻まれていた。
      ボンクラがブレーキランプを光らせる。
      「甘いわ! タコ!」
      俺はスロットルを握り込む!
      一気にトラックへと矢の如く飛んでいく!
      そして──ヒュンッ!
      肝が凍りつくほどの風切り音、トラックの合間を抜け、俺は前へと躍り出た!
      「どやぁ! 」
      勝ちを確信しボンクラへと振り返る……が。
      「ってなにぃ!?」
      ボンクラが路肩を狂気の速さで駆け抜け俺の前へと飛んできていた。
      「そんなん有りかい!?」
      反則やろ! ……なんて。
      毒づきながらも俺は口が吊り上がった。
      そのまま共に環状線を降り、下道へと降りていく。

      互いに何も言うこと無く、同じようにガソスタへと入る。
      俺は左、ボンクラは右、給油機を挟んでレッジェーラにハイオクを食わせる。
      「………」「………」
      そしてほぼ同時に給油を終え、道路へと競うように躍り出る!
      最終ラウンドだ!!!

      眠くなるような渋滞を抜け、峠へと入る!
      スキールしかけながらエグいカーブをパスしていく……
      車体が膨らみ、ガードレールに左膝を擦りかける。
      溢れ出る脳内麻薬に脳がチリチリと焼ける!
      「まだ……まだ!」
      先行するボンクラのケツに必死に食らいつく!
      緊張と集中の糸を何とか繋ぎ止め、刻を待つ……
      左、右、ショートストレート、緩い右──

      今!

      「どらぁ! ◯ソボケェ!」
      緩い左で一気にスロットルを捻り、ボンクラの左の土手っ腹に一撃を入れる!
      見事、膨らんでいたボンクラの左に入り込むことが出来た!
      そのままジリジリと前へと出ていく。
      サイドバイサイド!
      並走状態で次のロングストレートへと
      「ガアアァァァ」「ヌウゥゥゥゥ」
      我先にと疾走って──

      「「良し!」」
      目的地へと到着した!!!
      急いで愛車から降り、ダッシュ!!!
      「待たんか! ヌケサク!」
      「誰が待つか! ボンクラ!」
      そして店へと入り。
      「「すんません! レモンケーキと紅茶のセットで!!!」」
      コール。
      「……はい♡ご注文ありがとうございます♡」
      店員のママさんがスマイルで出迎えてくれた。

      「いやぁ~お前、路肩は反則だろ」
      俺はフォークでボンクラを指差す。
      「やかましいわ、お前こそトラックの間ぶち抜くとか正気か」
      ボンクラがティーカップスプーンで俺を指差す。
      そのままテーブルで睨み合いながらケーキを頬張る。
      「……美味い」「分かる」

      「何やってるんですか……」
      呆れたように喋りながら女の子が俺達に紅茶のおかわりを注ぐ。
      ホナミちゃん。このケーキ屋さんの娘さんだ。
      俺達はこの、山の上のケーキ屋さんをゴールにチェイスをしていた。
      買った方がケーキと紅茶を奢る、
      ならば勝つしかないだろう。
      ホナミちゃんにそれまでの経緯を説明する。
      「……ハァ~。もう大の大人が何してんですか」
      心底ガッカリしたようなタメ息が返ってきた。
      「もう何で、こんな変な人しか来ないのよぉ……」
      「変な人?」「お前がな」
      俺とボンクラが互いを指差す。
      「まぁまぁ、良いじゃない」
      ママさん、ホマレさんが俺達に小さい紙カップを持ってくる。
      上がる湯気と良い匂い、これを待っていた!
      2人してソレをすする。
      「「みそ汁サイコー!」」
      やはり〆はコレだよな。
      「……もうホントあり得ない」
      ホナミちゃんが小さく毒づく。
      「ケーキ食べたら塩っけが欲しくなるんだよ」
      「なぁ~」
      俺とボンクラの言葉にホナミちゃんは、どこか遠い目をして眼下に広がる海を眺めた。
      ヴォヴォヴォヴォヴォ!ゴゴゴゴゴ!
      地鳴りのような、けたたましい音がコチラに近づいてくる!
      「む? あれは」
      俺は立ち上がり音の方を見る、、、あっ!
      「アオベエ! キンタロー! スケキヨ!マサオミ!」
      いつぞやの仲間達がゾロゾロとやって来ていた!

      「もう嫌ぁーーーッ!」
      ホナミちゃんの悲鳴。
      今日は快晴、さてさて。
      もう一勝負行ってみるかな?


      #SuperleggeraV4 #スーパーレッジェーラV4 #俺RIDE #東◯海平 #幸せは糖で出来ている

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