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2020年06月06日
63グー!
「すいません。コーヒーのおかわりもらえますか?」
朝のカフェ、俺はジャムトーストを食べながら、追加のコーヒーを注文する。
「コーヒーですね。ミルクとお砂糖はどうしますか?」
「2つ……あ~、いや」
手元の山のようなミルクとシュガーの空き殻を確認。
「ブラックで」
「ーーはい」
店員がオーダーを取り、空き殻を片付け厨房へと戻っていく。
「今日はどこ行くんだい?」
店長が俺の皿に焼いたウィンナーを載せる。
「あの、これ頼んで……」
「トーストだけじゃ足りんでしょ? 朝飯はちゃんと食わんと力が出んぞ」
店長が窓の外を見て、そして俺に笑う。
「アザます。今日は……」ーーいや。
「今日でね」
俺も窓の外を見る。
「この町を出ていこうと思うんですよ」
2週間前。
ヤバいドジを踏んでしまった。
プライベートでのヤラカシ、犯罪じゃないんだが、人生をやり直そうと思った。
「今までお世話になりました」
俺は馴染みの先輩の元に訪れ、別れを告げる。
「ーーそうか」
ソファーに座る先輩は深く息を吐き、静かに喋る。
「アレはどうするんだ?」
先輩がクイッと指で、奥の幌を被ったものを指す。
俺はそれに近付いて、優しく幌をめくる。
外装が無惨に割れたバイクが有った。
完全なオーバースピード、火花を散らすバイク、口の中に広がる苦味。
「また落ち着いたら連絡します」
俺はバイクに幌を掛け直す。
「……分かった」
先輩は俺の言葉を聞き、少しだけ笑った。
「なぁ、ヤス」
先輩が俺の名を呼ぶ。
「お前バイク好きか?」
先輩からの問い。
ーーそうですね。
自分の心に聞いてみる。
「好きですね。俺に何も教えてくれないけど、でも俺のこと分かってくれてて。ん~参ったな、上手く言えませんわ」
俺は唇を噛む。
「好きで好きでたまりません。いや困った、やっぱぁ、いざとなると……」
しんどいっすわ。
「ハハハハハ!」
先輩が爆笑する。
「そうか!そうか……」
そして一通り笑い、立ち上がって。
「ほれ」
俺の上着のポケットに何かを突っ込む。
「俺からの餞別だ、持ってけバイクバカ」
ポケットを確認する。
バイクのカギが入っていた。
「外にザンザス有ったろ? 手続きは済ましといてやる。落ち着いたら住民票送れ」
先輩は言うだけ言って、自分のバイクへと歩いていく。
「悪いな、呼び出しだ。お前も早く行けよ?」
先輩が手をヒラヒラと扇ぐ。
「あの、ケンジさん!」
俺は先輩、ケンジさんを呼ぶ。
「ありがとうございました! 良いバイクライフを!」
俺の言葉、言い終わる前にケンジさんは爆笑した。
ぶち当たる風に身を屈める。
10000回転の狂気の世界、ここまで回すと風の音しか聞こえない。
ストリートファイターならではの体験。
「ヒッヒッヒ!」
アドレナリンとバイクの楽しさに溺れる。
久しぶりの体験、やっぱバイクは
楽しいなぁ~。
ミラーが眩しく輝く。
と、まずいまずい。
俺はスピードと回転数を落とし、道のわきに寄る。
その直後。
フォン!フォン!フォン!フォン!フォン!フォン!
凄まじい速さでバイクが数台通過していく!
そして。
「!」
しんがりの青いライダーが俺にヤエーをしてくれた。
「ハハハ」
やっべ、速すぎだろ……。
誰も居ない海辺の展望台。
ずいぶんと遠くに来た。
どっと疲れが押し寄せ、近くのベンチに座る。
「しゃーない。今日はここで寝るか」
のそのそとキャンプの設営を始める。
しばらくの格闘。
で。やっとこさ設営を終え、銀マットの上に寝転がる。
グゥ~。
「あ」
腹の虫が鳴いた。
朝食をすっかり使いきってしまったらしい。
「……腹減ったな」
飯でも食い行くか。
ーーくぅーん。
「ん?」
また腹の虫?
銀マットがグイグイと引っ張られる。
「あ」
ちっこい子犬が居た。首輪も無い、野良犬か?
子犬が一生懸命にマットを引っ張る。
「どれどれ~」
枕元のバックから非常食の魚肉ソーセージを出し、子犬に差し出す。
子犬がビクビクしながらも近付いてくる。
「心配するな」ーー俺も野良だよ。
子犬がチビチビとソーセージを食べる。
そして食べ終わると俺の方に近付き、ペロペロと頬を舐めてきた。
子犬を両手で抱え立ち上がる。
「お前も一緒に行くか?」
子犬に尋ねる。
ーーゲフ。
げっぷが返ってきた。
「ハハハハハ!」
俺は子犬をシャツの胸ポケットに入れる。
無職に野良犬に野良バイク。
「一気に大所帯だな」
ジャケットを羽織り、チャックを上げる。
ーーぶふぅ。
子犬が苦しそうにチャックの隙間から顔を出す。
子犬……う~む。
「クロベエ掴まってろよ」
キュルルッ! ブォォォーン!
ザンザスが雄叫びを上げる。
ーーアォアォーン!
クロベエも雄叫びを上げる。
「がおーっ!」
俺も雄叫びを上げた。
#XANTHUS #海刊オートバイ #俺RIDE #東○海平 #(U^ω^)
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