マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

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    空高く10Rが舞う。
    砕け散るライムグリーン、相棒がバラバラに破壊されていく。
    見上げれば地面、空と地面がひっくり返る。
    ついで全身をグラベルに叩きつけられる。
    「ふぇ」
    衝撃に息が止まる、ヘルメットのシールド越しに高速で地面がスライドしていく。
    「終わった」
    昼間にも拘わらず、暗い闇の中へと落ちていく。

    「あぁ、痛って」
    俺は悪戦苦闘し車から降りる。そして足を引きずりながら後部座席から松葉杖を取り出し、一歩一歩前へと進む。
    「ちはっ」
    松葉杖をつき、ショップに顔を出す。
    「お~う、久しぶり。生きてたか」
    店長が大破したバイクをいじりながら手を振る。
    ヨボヨボと近づいていく。
    「ボロボロだな」
    「体に何本かボルト入れたもんで」
    「ロボ○ップ?」
    「人間です」
    傍らのバイクを見る。
    「……ひどいっすね」
    「廃車やな、てかこれお前のやろがい!」
    目の前のバイク、俺の10Rは見るも無惨な姿になっていた。
    フロントカウルは垂れ下がり、シートは抉れ、リアに至っては完全に歪んでドラッグマシンのよう。
    かろうじてライムグリーンでカワサキ車と分かるのが関の山だった。
    「空高く舞い上がったらしいな」
    「ええ、見事にハイサイドしました。ドローンの気分を味わえましたよ」
    傷だらけの愛車に触れる。
    あの瞬間の恐怖がよみがえり、冷たいモノが体に走った。
    「……直すか?」
    「ーー直せますか?」
    「高くつくが、、、出来るっちゃ出来る」
    「………」
    「俺としては買い換えを勧めるの。……そっちの方が儲かるし」
    「おいジジイ」
    「ハハハ!」
    10Rの千切れなかった片割れの目と目が合う。
    リフレクターに写るは、ヘボライダー。
    「ちょっと考えてみます」
    ヨボヨボと車まで戻る。
    「養生せえ、それまでは預かっといちゃるわ」
    店長の言葉に軽く手を上げ答える。

    「ふ~む」
    雑誌でバイクのインプレを読む。
    赤い200馬力オーバーのヤツ、青いレーサーレプリカ、ストファイにモタード。
    動画も見て確認する。
    ストレートの伸び、コーナーでの猫足、電子制御によるGPライダー並みのライディング。
    「これとか良くね!」「メガスポ!メガスポ!」「2st!250!セパハン!チャンバー!ドッグファイト! 」
    バイク仲間が、ここぞとばかりに自分の愛車をプッシュしてくる。
    「う~む」
    なかなかしっくりと来ない。
    ま、そう言いながらも、まだ傷も癒えておらず跨がることも出来ないんだが。
    「ひぃ……ひぃ……」
    リハビリがてら近くのワインディングを歩く。それだけで青色吐息になった。
    「あ無理」
    バス停のベンチに座り込む。
    バイクで走れば、あっという間なのになぁ………
    しばしの間、ぼんやりと風景を眺める。
    頭に浮かぶのは昔日の10Rでのクラッシュ
    サーキットでのライディング。
    間近に迫るカーブ、ギアを落とし1万回転でカーブに進入。
    脱出につれて徐々にスロットルを開けていく。
    確かなタイヤの感触、地面に吸い付くように地面にバンク。
    裏ストレートに差し掛かる!
    一気にフルスロットル!
    脳ミソが置いていかれそうな加速ーー
    が。
    「!」
    突如、イン側よりバイクが膨らんでくる。
    「ウソだろ!」
    ガッツリとブレーキを握り込んでしまう。
    車体が左にスライドしていく……
    そして勢いにより体がカタパルトのように空へ投げ出される。
    眼下で10Rが錐揉みに地面に叩きつけられ激しくバウンド。
    そして俺はーー

    「こええ」
    寒気にブルッと震えた。
    ブオオオオォォォン!
    目の前を1台のSSが凄まじい速さで通過していく。
    「………」
    目で追うも、あっという間に遥か彼方へと消えていく。
    なるほど。ーー良いじゃないか。
    「よっしゃ」
    声を出し、勢いよく立ち上がる。
    スマホを取り出す。
    「あの~、店長。10Rのことなんですがーー」

    4台での連隊走行。
    ○○キロ越えでワインディングを走っていく。
    「ーー」
    先頭の俺はエスケープゾーンへと入る為、後方に手を振る。
    「ふぅ」
    愛車たちを並べて一息つく。
    「おつかれっした」「やっぱ速ぇっすね」「体もう大丈夫なんすか?」
    久しぶりのバイク、良い汗をかくことが出来た。
    「しかし驚きましたよ~」
    後輩の1人が俺のバイクを見ながら、俺に話しかけてくる。
    「まさか、もう一度10R買うとは……」
    ほかの2人も俺のバイクをジロジロと覗き込む。
    俺はもう一度10Rを買った。
    色々考えたが、結局はコイツになった。
    理由という理由は無い。
    強いて言うならば……
    「コイツじゃなきゃダメだったんよ」
    それだけで十分。色んな葛藤や迷いは吹き飛んでしまった。
    「しかし、またイン側空いてましたね」
    「うるせぇ!」
    「ちょっとビビっとんちゃいます?」
    「やかましいわッ!カマ掘んぞ!」
    「おお~こわッこわッ」
    後輩たちが蜘蛛の子散らすようにガードレールの向こうに避難する。

    「じゃ、そろそろ行くか」
    俺はヘルメットのアゴひもを絞め直す。
    「次、俺が前行っても良いすか?」
    「おう、バチバチに煽ったるわ」
    「ひょえ~!!」
    俺とコイツの前を走ることは誰であろうと許さない。
    俺が最強、コイツが最速。
    道端の石くれと化すまで、スロットルを開け続けろ!!
    速きこと、これだけが我が存在証明なり。


    #ZX-10R #海刊オートバイ #俺RIDE #東○海平 #今年の8耐楽しみです

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