今年の8耐楽しみですの投稿検索結果合計:1枚
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ZX-10R、今年の8耐楽しみです、俺RIDE、東○海平、海刊オートバイ などのタグがよくつけられています。投稿されたツーリングスポット情報・カスタム事例など今年の8耐楽しみですに関する投稿をチェックして参考にしよう!
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今年の8耐楽しみですの投稿一覧
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2020年04月08日
59グー!
空高く10Rが舞う。
砕け散るライムグリーン、相棒がバラバラに破壊されていく。
見上げれば地面、空と地面がひっくり返る。
ついで全身をグラベルに叩きつけられる。
「ふぇ」
衝撃に息が止まる、ヘルメットのシールド越しに高速で地面がスライドしていく。
「終わった」
昼間にも拘わらず、暗い闇の中へと落ちていく。
「あぁ、痛って」
俺は悪戦苦闘し車から降りる。そして足を引きずりながら後部座席から松葉杖を取り出し、一歩一歩前へと進む。
「ちはっ」
松葉杖をつき、ショップに顔を出す。
「お~う、久しぶり。生きてたか」
店長が大破したバイクをいじりながら手を振る。
ヨボヨボと近づいていく。
「ボロボロだな」
「体に何本かボルト入れたもんで」
「ロボ○ップ?」
「人間です」
傍らのバイクを見る。
「……ひどいっすね」
「廃車やな、てかこれお前のやろがい!」
目の前のバイク、俺の10Rは見るも無惨な姿になっていた。
フロントカウルは垂れ下がり、シートは抉れ、リアに至っては完全に歪んでドラッグマシンのよう。
かろうじてライムグリーンでカワサキ車と分かるのが関の山だった。
「空高く舞い上がったらしいな」
「ええ、見事にハイサイドしました。ドローンの気分を味わえましたよ」
傷だらけの愛車に触れる。
あの瞬間の恐怖がよみがえり、冷たいモノが体に走った。
「……直すか?」
「ーー直せますか?」
「高くつくが、、、出来るっちゃ出来る」
「………」
「俺としては買い換えを勧めるの。……そっちの方が儲かるし」
「おいジジイ」
「ハハハ!」
10Rの千切れなかった片割れの目と目が合う。
リフレクターに写るは、ヘボライダー。
「ちょっと考えてみます」
ヨボヨボと車まで戻る。
「養生せえ、それまでは預かっといちゃるわ」
店長の言葉に軽く手を上げ答える。
「ふ~む」
雑誌でバイクのインプレを読む。
赤い200馬力オーバーのヤツ、青いレーサーレプリカ、ストファイにモタード。
動画も見て確認する。
ストレートの伸び、コーナーでの猫足、電子制御によるGPライダー並みのライディング。
「これとか良くね!」「メガスポ!メガスポ!」「2st!250!セパハン!チャンバー!ドッグファイト! 」
バイク仲間が、ここぞとばかりに自分の愛車をプッシュしてくる。
「う~む」
なかなかしっくりと来ない。
ま、そう言いながらも、まだ傷も癒えておらず跨がることも出来ないんだが。
「ひぃ……ひぃ……」
リハビリがてら近くのワインディングを歩く。それだけで青色吐息になった。
「あ無理」
バス停のベンチに座り込む。
バイクで走れば、あっという間なのになぁ………
しばしの間、ぼんやりと風景を眺める。
頭に浮かぶのは昔日の10Rでのクラッシュ
サーキットでのライディング。
間近に迫るカーブ、ギアを落とし1万回転でカーブに進入。
脱出につれて徐々にスロットルを開けていく。
確かなタイヤの感触、地面に吸い付くように地面にバンク。
裏ストレートに差し掛かる!
一気にフルスロットル!
脳ミソが置いていかれそうな加速ーー
が。
「!」
突如、イン側よりバイクが膨らんでくる。
「ウソだろ!」
ガッツリとブレーキを握り込んでしまう。
車体が左にスライドしていく……
そして勢いにより体がカタパルトのように空へ投げ出される。
眼下で10Rが錐揉みに地面に叩きつけられ激しくバウンド。
そして俺はーー
「こええ」
寒気にブルッと震えた。
ブオオオオォォォン!
目の前を1台のSSが凄まじい速さで通過していく。
「………」
目で追うも、あっという間に遥か彼方へと消えていく。
なるほど。ーー良いじゃないか。
「よっしゃ」
声を出し、勢いよく立ち上がる。
スマホを取り出す。
「あの~、店長。10Rのことなんですがーー」
4台での連隊走行。
○○キロ越えでワインディングを走っていく。
「ーー」
先頭の俺はエスケープゾーンへと入る為、後方に手を振る。
「ふぅ」
愛車たちを並べて一息つく。
「おつかれっした」「やっぱ速ぇっすね」「体もう大丈夫なんすか?」
久しぶりのバイク、良い汗をかくことが出来た。
「しかし驚きましたよ~」
後輩の1人が俺のバイクを見ながら、俺に話しかけてくる。
「まさか、もう一度10R買うとは……」
ほかの2人も俺のバイクをジロジロと覗き込む。
俺はもう一度10Rを買った。
色々考えたが、結局はコイツになった。
理由という理由は無い。
強いて言うならば……
「コイツじゃなきゃダメだったんよ」
それだけで十分。色んな葛藤や迷いは吹き飛んでしまった。
「しかし、またイン側空いてましたね」
「うるせぇ!」
「ちょっとビビっとんちゃいます?」
「やかましいわッ!カマ掘んぞ!」
「おお~こわッこわッ」
後輩たちが蜘蛛の子散らすようにガードレールの向こうに避難する。
「じゃ、そろそろ行くか」
俺はヘルメットのアゴひもを絞め直す。
「次、俺が前行っても良いすか?」
「おう、バチバチに煽ったるわ」
「ひょえ~!!」
俺とコイツの前を走ることは誰であろうと許さない。
俺が最強、コイツが最速。
道端の石くれと化すまで、スロットルを開け続けろ!!
速きこと、これだけが我が存在証明なり。
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