マリン後輩さんが投稿した愛車情報(Z125 PRO)

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    冷え込む秋の夜長は23時。
    軽く覚悟を固めて愛車に跨がる。
    世間の皆様への迷惑を考えて、手短に暖気。
    目的地に向けて愛車を走らせる。
    しばらくのツーリング。
    「うぉっと」
    ヘルメットの顎下、襟から吹き込む夜風に身震いを一つ。
    そして、これからの事に思いを馳せて、静まり返った国道をダクダクと進んでいく。
    目的地が見えてきた。──それは。

    「到着」
    立ち食いそばであった。
    手早く向かい側の駐輪場に愛車を停めて。
    「いざ」
    一切の迷い無く、動きに淀みを見せず券売機に小銭を投入。
    吐き出される半券を握りしめてカウンターへ。
    「三ツ矢そば」
    しばらくの待機。
    「へい、三ツ矢そば1丁」
    仏頂面の大将から丼を受け取り、カウンターの隅へと移動する。

    「──イタダキヤス」あとはただただ。
    ハフ!ハフ!ズルッ!!ズルルルル!
    喰らう、ただ喰らう。美味い。
    途中火照った口と体からのSOSに、お冷やを流し込む。
    たまらない。
    っと、立ち食いをしていたら。

    ──ドンッ!
    背中より伝わる衝撃。思わず、シタタとカウンターで腹を打つ。
    振り返る。断っておくが、元来立ち食いで他の客の顔を見るのはご法度である。しかし、自らの立ち食いを邪魔されたからには、その無頼漢の顔を拝まずには居られなかった。

    「熱いところを貰おうか」
    「おっと済まないね、ネギ抜きで頼むよ」

    俺は思わず息を飲んだ。
    「……月見の銀二、かけの完七……だと……」
    伝説の立喰士がそこには居た。
    「…お待ち。月見、かけね」
    丼を渡す大将の腕に玉のような汗が吹く。
    銀二と完七が食らう、月見とかけを食らう。
    その姿、その所作、立ち食いの究極形がソコには有った。
    見事という他無かった。
    立喰士とは成ろうと思って成るものでは無い。
    立喰士とは、おしなべて立喰士ゆえに立喰士と成り得るのだ。
    「ご馳走さん、寒い時はこれに限るね」
    銀二と完七が店を後にする。
    伝説の立喰士の立ち食い、思わず俺の頬にハラリと汗が伝った。

    「おい、そこの若いの」
    突如、出ていく銀二に話しかけられる。
    「そばが冷めちまうぜ」
    俺の心臓が早鐘を打つ。
    顔から吹き出るは滝汗、余りの羞恥に丼で顔を隠すが如く一気にそばもスープもキツネもタヌキも胃へと流し込む。
    「ご馳走さん」
    トボトボと俺も店を後にする。
    湯気が上がりそうなほどに温まった顔にヘルメットを被る。
    「──はぁぁぁ」
    顎ひもを締めるために見上げた夜空。

    ヘルメットで見切れた天頂にフォーマルハウトが輝いていた。


    #Z125PRO #俺RIDE #東○海平 #立ち食いそば
    #立喰士


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