 |
 |
1980年代まで、カワサキがリリースする
アメリカンタイプのバイクは
LTD と呼ばれていた
しかし同カテゴリーの第二世代として
進化したEN400 やVZ750 が登場
そしてより本格的なアメリカン・クルーザー
として、1990年に第3世代が登場した
それが「バルカン」なのだ |
|
日本でアメリカンスタイルのオートバイが登場しだしたのは、1970年代の終盤からだったと思う。当時はロードスポーツタイプのバイクをベースにして、ティアドロップ型の燃料タンクと段着きシート。そしてプルバックされたアップハンドルを装備するのが各社似たりよったりの常識的スタイルだったのだ。
基本的に大きくは変わりばえしない、お茶を濁すような手法でバリエーションを豊富にしていた時代だった。しかし、そのころからカワサキだけは、シートレールを低く設計し直した独自のフレームを用意するなど、どこよりも大胆なスタイリングを誇った。のちにベルトドライブを採用する特長も誇り、高い人気を獲得したのだ。
第一世代のブームはひと段落するも1980年代に入ると各社から専用設計されたアメリカンモデルが登場し始める。もちろんロードスポーツ車のバリエーションモデルとしての名残はあったものの、リヤに小径ホイールが採用され、オリジナルエンジンを搭載するケースも見られた。少なくともエンジンの出力特性は中低速域に的を絞った専用チューンが施された。各排気量のLTDをラインナップしシリーズ化を図っていたカワサキもそうした第二世代の訪れに対応することになる。
余談ながら同社初の4ストローク50ccエンジンを搭載したミニバイクのAV50は1982年にデビュー。ゼロハンながら堂々のアメリカンスタイルを採用し、ユニークでかわいらしい存在だった。
さてその後カワサキは、新車戦略としては他社に遅れをとった感があったものの、国内市場にはEN400ツイン(並列)やVZ750ツイン(横置きV型)を投入して対応。そして1987年にメイン市場をアメリカに求めた本格派Vツインのバルカン88を投入。
これは輸出専用モデルだったが、当時ハーレーダビッドソンの排気量をしのぎ、世界最大のビッグエンジンを搭載する量産車として大きな話題を集めたのだ。
その「バルカン」という名前こそカワサキがリリースするアメリカンカテゴリーを代表するブランドネームとして統一。1990年にはEN400ツインの後継モデルとしてバルカン400が新発売された。
国内市場では当時カワサキが誇る唯一のアメリカン・タイプとして存在。2年毎のマイナーチェンジでスポークホイールの採用など、商品力を高めるべく熟成されていった。
一方でフラッグシップのスタイリングと風格を受け継ぐ横置きVツインエンジン搭載のバルカンの400tモデルも登場。バルカン・クラシックやディープフェンダーを備えた同ドリフターも国内投入された。
またバルカン1500も国内デビューを果たし、2004年のラインアップに載せられているクラシックツアラーはフューエルインジェクションを備えた最新エンジンを搭載。バリエーションにはやはりドリフターやミーンストリークも顔をそろえたのだ。そして2004年、カワサキのフラッグシップ・アメリカンは、ついに2053ccエンジンを搭載。340kgもの巨体を誇るVN2000に進化した。
一方でミドルクラスのバルカン800は2006年には4バルブ化されたVツインエンジンを搭載する新しいバルカン900 に進化。
昨年は一時的にカワサキの国内バリエーションから、バルカンのネーミングが消え去ってしまったものの2007年モデルからはバルカン900カスタムとクラシックが復活している。
電子制御される燃料噴射を装備した最新のモデルで、もはや伝統と言えるベルトドライブ方式を採用。マルチリフレクター式のヘッドライトを備えるなど、オシャレな仕上がりを誇っている。フロントに21、リヤ15インチホイールを採用するカスタムと、フロントには16インチを履くクラシックが選択可能なところもうれしい特長と言えるだろう。 |
文=近田茂 ライダー=松井勉
写真=松川忍、カワサキモータース |
|
 |
|