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スーパースポーツのイメージが強いドゥカティにおける
ストリートスポーツの看板モデルがモンスターだ
ご自慢のトレリスフレームを外装にまで生かした
センセーショナルで精悍なスタイリングは
多くのファンがあこがれる羨望のまとなのだ |
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イタリアの名門ブランド。ドゥカティのなかでも現在もっとも多くのエンジンバリエーションをそろえている人気モデルがモンスター。
1926年ボローニャで創立されて以来、そのブランドを担ってきた主力モデルはスーパースポーツのSSにほかならない。近年ではより競技車に近いスーパーバイク系の人気も見逃せないものがあるが、1970年代からデスモドローミックという独自のメカを搭載したLツインエンジンを培ってきたのはSSシリーズだ。
モンスターは、このSSシリーズをベースにして1993年に誕生したネイキッドスポーツ。「ミグエル・ガルッツィ」というアルゼンチン・デザイナーによる作品で、1992年ケルンメッセで開催されたIFMAでは、参考出品されたスーパーモノとともに真っ赤なモンスターが、カジバブースを訪れた多くの観客から熱い視線を集めていた。
ドゥカティがネイキッドモデルを開発したという点も注目されたが、なにより話題をさらったのは、そのできばえが、SSそのままのクオリティやキャラクターがソックリ生かされていた点にある。
SSのポテンシャルをスポイルすることなく、カウルを剥ぎ取りバーハンドルを装着。大きな丸形ヘッドランプをマッチし、別次元のスポーツバイクを創造してみせたのだ。
現在でたとえるなら、ヤマハRー1のノウハウを生かして新開発されたFZ1のような存在といえば理解は早いかもしれない。
ネイキッドモデルとはいえ、決して軟弱ではない、スパルタンなハイパフォーマンスを発揮できる基本性能は、ある種当時のネイキッドとは一線を画す逸材として評価されるとともに、極めてホットなポテンシャルを発揮できるスポーツネイキッドという新ジャンルを開拓した。
市街地に躍り出たドゥカティの新製品。ややアップライトになったライディングポジションが特徴だが、それでもリアルスポーツとしての資質は失っていない。
切れ角の少ないステアリングをはじめ、倒立式のフロントフォークやギヤリングの高いミッションの採用。そしてブレンボ製ブレーキの装備はまさにSS譲りのクオリティ。
マルチスチールパイプをトラス構造で組み上げた独自のトラリスフレームに搭載されるのは、もちろんドゥカティ伝統の横置きLツイン。
2気筒のシリンダーがおりなす角度が90度であることがLツインと呼ばれるゆえん。バルブはもちろんデスモドローミックが採用される。
デスモはドゥカティ独自のバルブ強制開閉機構のこと。一般的にバルブはカムによって押し開かれるが、閉じ側はバルブスプリングがその役割を担う。
しかしデスモはバルブスプリングを持たず、閉じ側専用のカムを持っている。高回転高出力を追求するときバルブがジャンピングを起こし、適切な吸排気制御ができなくなるケースがあるが、デスモではそんな現象が発生しない強みを古くから誇ってきているわけだ。
当初の900Mモンスターは、ゴールドのフレームにSS用エンジンを搭載。乾燥重量は190kgと公表されていた。シート高は750mmと低くテールにシートカバーをセットすることでシングルシーターとしてのデザインが施されていた。
現在は618 、803 、992 、996ccの4タイプがリリースされているほか日本専用には398ccモデルも作られる人気ぶり。
モンスターの登場は、モータースポーツでの活躍を武器にして人気を回復したドゥカティにさらに弾みをつける、バリエーション展開の大きな拡充に貢献したのだ。 |
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