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“遊び心いっぱい……”
一側面ではあるが、そんな表現がピタリとはまる
ホンダ「Nプロジェクト」が開発を手がけた5台のバイク
軽二輪まで枠を広げた“エヌプロ”プロダクツを振り返ってみよう |
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2001年2月14日。コンパクトなギヤミッション付きバイクの「エイプ」が発表された。同時にホンダは、異例にも新たな商品開発プロジェクトチームの存在を公表。同車の成功で一躍その名を知られることになったのがホンダ「Nプロジェクト」だ。
通常バイクの開発チームは、カテゴリーや排気量で分けられるのが一般的だったが、そんな従来の枠にとらわれないチーム結成は新鮮な期待感を漂わせていた。
若者のライフスタイルに合う魅力的な製品を開発するニュープロジェクトの略称で、新たに若い研究者で構成された開発チームのこと。現在では俗称「エヌプロ」と呼び親しまれるようになっている。
つまり若い世代による新たな視点で商品開発をする若手集団のことだ。あらかじめ断っておくと、とくに年齢制限が設けられているわけではなく、あくまで若いセンスを持った人なら参加可能という。ただ、若手育成プログラム的な意味合いも含む新しい試みだけあって、当初は入社3年未満の社員が過半数を占めたという。スタッフの入れ代わりや年齢を重ねた現在も、平均年齢はおよそ28歳にすぎないのだ。
社内での呼びかけに対して手をあげた者を中心に、すでに熟練したアドバイザリースタッフなどが加わり、新たな工房も得て、ワイワイガヤガヤやりながら、新商品のアイデアを練り、やがてそれを形にしていくのだ。
そんな試みのなかで誕生した第一弾のモデルがエイプだった。余談ながらブームになりつつある「DE耐!」の参加マシンは、エイプが主流となっている。つまり市場に新たな広がりを喚起した功績も見逃せない。
第二弾モデルとして同年5月に登場したのは「ズーマー」。そのユニークなスタイリングが話題を巻いて、ストリート系スクーターのひとつとして侮れない人気を獲得。スクーターをベースにボディカバーのほとんどををはぎ取ってしまった外観デザインは、スクーターネイキッドという新たなカテゴリーを開拓したといえるだろう。
その後、「バイト」。「ソロ」。と続き最新モデルではついに軽二輪クラスにも参入。「PS250」は既存のスクーターをベースとするものの、ネイキッドフォルムに斬新なセンスを加え、冒険心を駆り立てるアウトドア志向にもふさわしい機能性も採用。じつに個性的な製品に仕上げられている。
なるほど、「エヌプロ」はたしかに従来のホンダとはセンスを異にする。新鮮な雰囲気が漂う新製品開発に貢献しているようだ。ただ当初は試験的な試みだったこともあって、スタッフたちに許された開発には、ある程度の制約が課せられていた。
エイプを見たときに、かつてあったノーティーダックスや後のR&P。あるいはXE50をイメージした人も少なくないのではないかと思うが、とくに当初は、ある程度、既存パーツを有効活用するなかで、新たな商品開発ができないものかと、チャレンジされている。
つまり自由な発想をもとに大々的な新規開発までは許されていないわけだ。結果的に、販売実績においては、100%の大成功とはいえないが、エイプやズーマー人気は上々。軽二輪クラスへのチャレンジを見ても明らかなように、その活動枠が徐々に広がりを見せていることは間違いない。今後、商品のヒットいかんによって、「エヌプロ」はさらなる飛躍の可能性も大きい。それだけに、新鮮な魅力の創造とユーザーにとって価値ある新製品の投入には、大いに期待したいところなのだ。 |
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