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軽量コンパクトな車体に
GSX-Rに源をなす
細かく刻まれた冷却フィンの
スズキ伝統の油冷エンジンを搭載
豪快なパワーフィールも特徴だ
今回はそのBandit1200の
過去から現在までを見てみよう |
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バンディットというネーミングは、スズキが1989年に投入したスタイリッシュなスポーツネイキッドとして有名だ。日本では主に400cc と250cc モデルに馴染みがあるだろう。しかし今回ここに掲載したのは最上級の1200cc。そのルーツをたどると、1995年1月に登場したGSF1200に端を発している。79万8000円のプライスは、当時としても比較的買いやすい価格設定だった。オーバー1Lの大排気量97馬力エンジンを搭載しての新発売には、それなりに大きな衝撃があったのをご記憶の方も多いと思う。じつはこのGSFの輸出車名がバンディットS1200だったのだ。
衝撃的だったのは価格だけではない。車両重量はわずか208kg。ホイールベースが1435mmというナナハン並、いやそれ以下を思わせるコンパクトな車体に1.2 Lのスズキ伝統の油冷エンジンを搭載していた。実際その走りっぷりは、強烈な加速力で前輪が簡単に浮き上がってしまうほどのヤンチャぶりを発揮。ダイナミックかつ豪快なハイパフォーマンスも話題になったのだ。
スチールパイプのダブルクレードルフレームだが、スイングアームはアルミ製。4into1に集合されるエキゾーストパイプはステンレス。右側には太いアルミマフラーがマッチされる。前述のエンジンはGSX-Rで培われてきたDOHC16バルブ並列4気筒の1156cc。
油冷と呼ばれた先進冷却システムとツインスワール燃焼室を持つTSCCを採用し、ミッションは5速。前後には17インチサイズのラジアルタイヤを履き、ブレーキはトリプルディスク。97psは8500回転で発揮するも、9.8kgmの最大トルクは4000回転で発揮され、いつでも簡単に鋭いダッシュを決められるポテンシャルを誇った。砲弾型クロームメッキの3連メーターやメインスタンドを装備し、シート下には4L容量の収納スペースがあったのもユニークなチャームポイントだ。ハザードランプも標準装備されていた。
1996年1月には弟分のGSF750が登場。2月にはフレームマウントのハーフフェアリングを装備したGSF1200Sが81万8000円で追加投入され、さらに11月にはABS装着車が95万円でデビュー。スズキのフラッグシップモデルとして、カタログの筆頭に掲載される存在となったのだ。
少し余談になるが、この油冷エンジンは100psと10kgmまで性能を向上させイナズマ1200にも搭載された。ドッシリと堂々たるフォルムに、リヤにはツインショックを採用。落ち着いた雰囲気で、バンディットとは異なるネイキッドを誕生させた。また2001年1月には80年代の耐久レーサーをイメージさせるGS1200SSにも転用された。
話は前後するが2000年3月にGSF1200は外観デザインを大きく一新されてバンディット1200と同Sとしてデビュー。シート下には純正オプション用品のU字ロックが納まる設計。価格は81万9000円。ハーフフェアリング装備のSタイプは、睨みの効いた鋭いフロントマスクデザインも印象深い。スタイリッシュという意味では、GSFのそれより、バンディットの名にふさわしい仕上がりに進化した。
残念ながら国内セールスで大きな成功を納めているとはいえないが、コンパクトな車体に中低速域からダイナミックなスロットルレスポンスを発揮する1.2Lエンジンとがもたらすキャラクターは健在。
2003年には盗難抑止機能を考慮したイモビライザーアラーム対応のワイヤリングハーネスを追加(イモビアラームはオプション)。
2005年には丸形ヘッドライトのネイキッドモデルに青/白ツートーンカラーと、卵型形状のメッキミラーを採用した特別仕様車を85万8900円で発売。ナナハン並の親しみやすさで豪快に走らせられる魅力は今も侮れない。 |
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