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「AT限定」という新しい免許を作ってしまうほど
今のバイクシーンにおけるビッグスクーターの存在は大きい
この人気の火付け役となったのがマジェスティだ
スポーツスクーターという斬新なコンセプトを持ち込み
ヒットカテゴリーの先駆者となった名車の歴史をひもといてみよう |
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1995年8月の初代デビュー以来4年で3万台の国内累計販売を記録し、一躍ヒットモデルになったのがヤマハ・マジェスティだ。250ccのスクーターとしては、ホンダのフリーウェイが先にデビューしていたが、もともと高速も走れるスクーターとしては(60年代までの古い話は別として)すでに82年からシグナス180を投入していたヤマハがパイオニアなのだ。
マジェスティはそれまではなかった「スポーツスクーター」というコンセプトをうたったのが特徴。アニメのなかの未来系デザインをイメージさせたスタイリッシュフォルムが格好良い。専用セミジェットヘルメットなら2個、B4アタッシュケースの収納も可能とした実用性にも優れる仕上がりが魅力的。そして大きく立派なフォルムは見事ベストセラーの座を獲得。翌年から輸出を開始した本場イタリア市場でも大ヒットした。
90年10月にはフルモデルチェンジされた2世代目が登場。フルフェイスヘルメットが2個収納できるほか、開閉式エアインテークや前後位置調節式バックレスト、アンサーバック機能付きリモコンキーシャッターを装備。環境性能の充実も図られ、一番人気の座をキープ。ライバルの登場も相まってビッグスクーター市場を開拓した功績は大きい。何しろ軽二輪市場では、いわゆる「バイク」をしのぐ売れ行きを記録したこともあるほどなのだ。
その後01年にはブラックカラーを追加投入。03年には、期間限定生産としながらもカスタムを楽しむユーザーをターゲットとしたマジェスティCリミテッドエディションを限定発売。「ビビッドレッドカクテル1」と呼ばれる赤系色が多用されたほか、ショートスクリーンや専用メーターパネル、クロームメッキ製パイプバーハンドルの装備が特徴。
そして04年1月には、400ccも合わせて新開発された、初のアルミ製フレームに燃料噴射式エンジンを搭載したグランドマジェスティをリリース。車輪も車体もひとまわりスケールアップされた上級モデルとしての新しい魅力を備えていた。約60Lという大容量の収納スペースを持つほか、前14/後13インチサイズの大径ホイールを採用し、前後12インチのマジェスティに対して、より安定感の増した乗り味を誇っているのも見逃せないところだ。
このグランドマジェスティが別格のモデルへ進化しただけあって、元来のマジェスティCも併売を継続。04年5月には国内販売10万台達成記念モデルとして「マッドブラックエディション」を投入。05年にはマイナーチェンジされたマジェスティCをリリースし、カスタム嗜好のユーザーをターゲットに健在ぶりを示している。
人気の秘密を振り返ってみると、マジェスティのキャラクターは、スポーツスクーターとしての格好良さと軽快な操縦性に始まった。たしかにそのスタイリングは、斬新で時代を超えた乗り物としての魅力にあふれ、ユーザーのハートをとらえた。きれいに舗装された路面で発揮される操縦性も、それまでのスクーターとはイメージを異にするスポーティな乗り味が光っていたのだ。ただ、荒れた路面での収まりの悪い乗り心地の固さは当初からある特徴として、グラマジェに至るまで今だに継続されており、今後の人気を左右する課題のひとつになっているとこは言っておきたい。
しかし極めつけスポーツスクーターとして抜群の評価を得ているTMAX(500cc)や、快適なタンデムライディングを目指したマグザムの発売など、多くの新機種開発に努力するヤマハの原動力となってきた背景には、その中心的存在として、デビュー以来ユーザーに支えられ続けてきたマジェスティ人気があることを見逃すことはできないのだ。 |
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