名車図鑑 スズキ グラストラッカー ビッグボーイ/グラストラッカー |
グラストラッカー ビッグボーイ/グラストラッカー |
2000-2006 |
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ファッションアイテムとしてバイクに乗る
そんな若者に向けてデビューしたグラストラッカー
カスタムベースとしても人気なのはもちろん
低中速を重視したエンジン特性は街なかで乗りやすい
そんなグラストラッカーの過去から現在までを紹介 |
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レーサーレプリカブームが去っておよそ10年。21世紀の到来を目前にしたバイク業界は、いろいろな形で魅力ある商品の提案をすべく、新しいバイク造りを模索していた。
そんな2000年4月にスズキから登場した250ccのストリートバイクがこのグラストラッカーだ。
走行性能にこだわるよりも、ひとつのファッションアイテムとしてバイクに乗る若者の増加を見据え、シンプルなスタイリングや装備のなかにファッショナブルなセンスが投入されている。
外観のスタイリングを自分流にカスタマイジングしやすいよう、ある種改造を楽しむためのベース車両としての資質も備えた製品としているのも見逃せない特徴だ。
クラシカルな雰囲気を取り入れた既存モデルのボルティがベースとなって開発されているが、1970年代にアメリカで流行した草レース仕様のマシンを思わせるスタイリングを新採用。グラストラッカーのネーミングはそこから由来している。
シンプルにデザインされた各種保安部品を始めワイドなバーハンドルの装備がそれを象徴するポイント。ホワイトとオレンジのツートーンカラーも70年代をイメージしたものだと言う。
フロントフォークには黒い蛇腹式のラバーブーツを装備。フレームとサイドカバー、前後リム部をブラックアウトし精悍なスタイリングに仕上げられたのも見逃せない。
そして搭載エンジンは、オーソドックスな空冷OHC2バルブの249 cc単気筒。セル始動は当然ながら、あえてキックアームも装着されているのがとてもユニークだ。
ボルティや後のST250と同系のエンジンは最高出力が20psと大人しいものだが、中低速でよく粘る柔軟な出力特性を発揮。ストリートで活用する普段の足として不足ないパフォーマンスを誇り、現在まで安定した人気を得ている。
デビューの翌年には、新たにビッグボーイを追加投入。タイヤサイズを拡大。よりワイドなバーハンドルの装備とロングスイングアームを採用することで、ひとまわり大きなグラストラッカーに仕上げられた。
オーナーが改造を楽しむようなツボを抑えたその内容に、お得感を覚えたユーザーも少なくない。それがいまだに根強い安定した人気を保ってこれた要素になったと思う。
ほぼ毎年のようにマイナーチェンジやニューカラーの投入が実施されているが、2002年11月には大幅なプライスダウンを実施したことも見逃せないところ。
2003年にはフロントフォークのラバーブーツを廃止したのを始め、クロームメッキだったメーターを黒塗装+メッキリング式に変更。黒リムも一般的なクロームメッキ仕上げが施された。
タンクサイドにあしらわれたストライプは、どこか往年のハスラーを彷彿とさせる雰囲気も。全体に精悍さを増す変更が行われたのだ。
そして2004年には搭載エンジンが刷新されている。J424型からJ438型に進化。諸元データに表記された最高出力こそ変わりはないが最大トルクは若干向上。
放熱性の高い高速メッキシリンダーの採用で、より粘り強い走行性能を発揮。車体関係の熟成も含めてより安定した走りを実現。そのほかメンテナンスフリータイプのバッテリーに換装された。
劇的な変更ではないが、基本的な素質を活かしながら、お買い得感を高める熟成進化が積み重ねられてきているのが印象深い。日常の足に使うバイクとしてシンプルな親しみやすさと不足のない賢い道具感覚。そして廉価な価格設定が大きなチャームポイントだ。 |
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