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400の系譜とは異なり、750から誕生した
輸出向けミドルスーパースポーツ。
レースシーンと共にポテンシャルアップを図る
大胆な軽量化による戦闘力の高さで話題を呼ぶ
GSX-Rブランドを受け継ぐ最右翼モデルのひとつだ |
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80年代なかばのこと、レーサーレプリカブームに先鞭をつけたスズキは2サイクルのRGγと4サイクルのGSX-Rを市場に送り出した。軽量な車体設計を追求したアルミフレームの採用に、大きなインパクトを備えてのデビューである。
当時、群を抜く軽量な車体はクラストップレベルのハイパフォーマンスの発揮に貢献し、サーキット生まれ、サーキット育ちのバイクとして一躍人気モデルとなったのだ。
時は流れた97年、日本ではすっかり冷えきってしまったレーサーレプリカ市場だが、ホットなスポーツバイク人気は欧州に引き継がれ、しっかりと根付いていた。
ひとつはリッタースポーツ。そしてもうひとつが、ミドルスポーツとして600ccクラスが大きな人気市場へと成長を始めることになる。
ちなみに日本においてのミドルスポーツ市場は、免許制度の関係から400ccが主流だったが、欧州においては600ccが中心で、モータースポーツの分野でもひとつのカテゴリーとして、市販車ベースのレースが人気を呼んでいるのだ。
もともとはプロダクションレースが発展。ワンメイクレースなど、気軽に参戦できるイベント人気が成長し、いわゆるレーサーレプリカ系のスーパースポーツバイクが高い人気となっている。
豪快な世界最速レベルのハイパフォーマンスを誇るリッタークラスと違って、ミドルクラスのスーパースポーツは、持てる性能をフルに発揮できる楽しさがあり、レース参加だけではなく、一般のファン層にも強く支持された。
日本マーケットにおいて、ホンダ以外は逆輸入車となってしまうが、ナンバー取得ができないレース参戦用車両は、意外とリーズナブルな価格で限定販売されている。さて、GSX-R600は96年に発表されたGSX-R750をベースに開発されたのが特徴だ。それまで日本で熟成されてきたGSX-R400とは基本設計が異なっているのだ。
走行風を吸気系へ積極導入するSRAD(スズキ・ラムエア・ダイレクト)の採用を始め、106馬力を発揮したコンパクトなサイドカムチェーンエンジン、そしてアルミ・ツインスパー・フレームの基本骨格も750がベースに開発されている。
フロントフォークこそ750の倒立式に対して600は正立式が採用されたが、シングルシーター化するテールカウルのデザインも当時すでに750で見慣れたスタイリング。まさに兄弟モデルと呼ぶに相応しい存在だった。欧州で盛んになるレースシーンでのポテンシャル向上を担い、GSX-R600は徐々にレースシーンでの戦闘力アップへと熟成進化の道をたどることになる。
01年には、フルモデルチェンジされて、なんと11kgの軽量化を果たし、乾燥重量は163kgになった他、エンジンもクランクケース一体式メッキシリンダーや燃料噴射装置の採用で115馬力 /1万3000回転を発揮。
さらに04年のフルモデルチェンジでは、縦型デュアルの新設計ヘッドライトを始め、スマートでコンパクトなフレーム設計を追求。ブレーキシステムや吸排気系も一新して戦闘力を向上した。
そして06年に早くもフルモデルチェンジを実施。GSX-R1000譲りの先進テクノロジーを満載。デュアルスロットルバルブや、アドバンスドエキゾーストシステムなどの他、マスの集中化を徹底した新型フレームの採用でトップレベルのポテンシャルを実現している。
4社そろい踏みの激戦区にいるだけに、進化のペースや度合いはどんどんエスカレートするなかで、スズキが誇るGSX-Rブランドに相応しい存在として、着実な進化を続けていることがわかる。馬力に対する自主規制が撤廃された今、日本の騒音規制が大きな難関となるが、今後の国内導入が期待される1台であることは間違いないだろう。 |
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