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名車Z1やGPZ900Rといった
カワサキ伝統のマジックナンバーといえる
900ccという排気量で登場した ZX-9R
カワサキ製スーパースポーツの本流であり続ける
ZX-Rの過去から現在までを見てみよう |
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カワサキは900ccというエンジン排気量に特別な思い入れを込めてきた。古い話だが1972年に903ccのZ1。1983年には908ccのGPZ900Rニンジャで大成功を納め、同ブランドを世界に轟かせてきたからだ。
当時、フラッグシップモデルだったニンジャは、やがてGPZ1000 RXやZX10を経て現在のZZR 1100〜1400へと受け継がれている。世界一の貫禄を誇る重量車Z1に対し、ニンジャは重量級でも軽快にスポーツできる高性能ぶり。空力特性に優れたフルフェアリングの装備でも先進性を披露した。
世界最強最速のDNAはZZRに継承されるも、キャラクターとしては豪華スポーツツアラーへと変遷した。そして時代の流れはよりレーシーな高性能スーパースポーツへの要求も高まり、ニンジャデビュー10年経過を機に、再びサイドカムチェーン方式の899ccエンジンを開発。アルミプレス材とスチールパイプのハイブリッドフレームに搭載したピュアスポーツを1994年にデビューさせた。それがZXー9R だ。
世界のプレス関係者を集めて開催された発表試乗会では、その性能を発揮できるにふさわしいコースとしてバックストレートの長いスペインのヘレスサーキットが選ばれた。
乾燥重量が215kgの車体にマッチされたエンジンは当時トップレベルの139psを発揮。ニンジャで培われたエアロダイナミクスフォルムに加えて、フロントに大きく口を開けたツインラムエアによって、空気を吸気系へ大量導入する方式。
高速になればなるほど強く作用する自然過給効果を活用することで、強力な加速力と伸びのいいトップレベルの動力性能を発揮する。
実際、ヘレスの裏ストレートでフルスロットルを与えると、速度計の針は290km/hに迫る勢いがあったのを記憶している。200km/hオーバーの高速域でも衰えを知らぬ勢いで速度を増していく強烈な加速フィーリングは、当時のライバルを凌ぐポテンシャル。まさに世界最速レベルの走りっぷりを誇っていた。
しかもそんな超高速域からでも確実な制動力を発揮してタイトコーナーへと向きを変えていけ、再び鋭い加速で立ち上がれるハンドリングの軽快さにも驚きを覚えた。段差のあるダブルシートや位置の高いピリオンステップは、タンデムを快適にこなすキャラクターではないが、ひとりでスポーツライディングを楽しめる高性能マシンとしては最右翼に躍り出る存在だったのだ。
その後時代の要求はスーパーバイクシーンに匹敵するほどの高性能を求めるようになり、1998年には大胆なまでのシェイプアップを果たして2世代目モデルが登場。
なんと弟分のZXー6R をベースに開発されたのが特徴で、一気に35kgもの軽量化を達成。乾燥重量はなんと183kgという軽量ぶりを誇った。さらに新設計された899ccエンジンは143ps を発揮し、戦闘力に大きな向上を果たしたのだ。2000年には178psを発揮する1199ccエンジンを搭載する最上位機種ZXー12Rも登場。しかしスポーツ性を追求する逸材として9Rの存在は侮れないものに。
その後フレームを刷新したりエンジンやサスペンションも熟成を重ねられたが、2004年には驚異の185ps(フルブースト時)を発揮する998ccエンジンを搭載するZXー10Rに進化。乾燥重量も170kgと極めて軽く、国内逆車マーケットでも高い人気を獲得した。
外観が一新された最新モデルでは激しいまでの出力特性がややマイルドな方向に調教されているが、今でも世界最先端のポテンシャルを持つ熱きマシンとして評価されている。 |
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