オフロードバイクブランドの大御所として知られているKTMだが、ここ数年でスーパーデュークやアドベンチャーなど、セグメントを広げてきた。中でも2008年に登場したスポーツモデル、RC8によってKTMの世界はさらに広がった。
今回テストしたのは、RC8をリファインして登場したRC8Rだ。初期型のRC8Rは、車両の動きにクセがあった。パイプフレームにLツインを搭載したライバル車が、スポーツライディングを驚くほど気持ちよく感じる最適なセッティングが施されているのに対し、RC8は気難しく、頑固な車両だった。それがRC8Rになったことで一変している。
クラス唯一の75度Vツインエンジンは1194ccに排気量が上げられており、セッティングが見直されたエンジンマネジメントと相まって、低回転からトルクがあり、ピークまで一気に伸び上がる。嫌な谷間がないので、扱いやすいことも確かだ。Vツインパワーを受け止めるシャシーは、ジオメトリーを完璧なまでに見直し、足回りをはじめ全体に手を加えた。
レーシングポテンシャルを追求し向上させた結果として、ストリート、ワインディング、サーキット、どこを走らせても心地よい鼓動感と、エキサイティングなコーナーリングを楽しめる。ファンライド要素も高められたと考えることができる。
2010年度のドイツスーパーバイク選手権ではシリーズタイトルを獲得したRC8R。ピュアスポーツを楽しめる一台だ。
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