キメ細かな改良を各部に施したうえで、現代ならではの最新技術として、多種多様なハイテク電子制御を導入しているけれど、並列4気筒エンジン+アルミツインスパーフレームの基本構成は、2013~2016年に販売されたPC40の後期型と同じじゃないか・・・。2020年夏に電撃的な復活を果たしたCBR600RRに対して、僕はそんな印象を抱いていた。でも実際に試乗してみたら、自分でも驚くほど、目からウロコをボロボロ落とすこととなった。
もっとも既存のCBR600RRだって、スポーツライディングとツーリングの両方が楽しめる、秀逸なモデルだったのである。とはいえ7年ぶりに進化した新型は、エンジンフィーリングが明らかに爽快で(排気音は先代より抑揚に富んでいる印象)、車体の動きは1クラス下?と思えるほどキビキビ。しかもトラコンやウイリー制御、クイックシフターなどの出来が秀逸だから、先代以上に思い切ったライディングが安心して楽しめる。残念ながら、新型の特徴であるウイングレットの効果は把握できなかったものの、空力性能を追求したフェアリングの優位性は、伏せ姿勢で走った高速道路でハッキリ確認できた。逆に言うなら今回の試乗を通して、PC40の潜在能力の高さと最新技
術の威力を、僕は改めて思い知った次第だ。
なお試乗中の頭のなかに、ライバルとして思い浮かんだ車両は、同じホンダのCBR650RやカワサキZX-6Rではなく、MVアグスタF3 800やドゥカティ・パニガーレV2だった。そのせいだろうか、先代+約30万円となる160万6000円の価格が、僕には高いとは思えなかった。
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