MUTTモーターサイクルズが販売しているのは、万能性よりも独自性を重視したカスタムバイクだ。そのなかでもAKITA250は1970年代のカフェレーサーを思わせるスクエアスタイルのガソリンタンクや、ブラウンのレザーを用いたショートタイプのシート、リザーバータンク付きリアショック、ブラッシュ仕上げのアルミ製マッドガードなどが特徴のモデル。硬質なラバーとアルミを組み合わせた左右グリップは、いかにもカスタムパーツ然とした雰囲気だし、CNC加工が施されたアルミ製ステムナットやフォークトップキャップ、グリップエンドなども、特別感に大いに貢献する要素といえるだろう。
実際に走って最初に感心したのはエンジンの威勢のよさ。今どきの250cc単気筒の多くが、発進時にはスルスルスルッと滑らかに加速していくのに対して、AKITAの場合はドドドドッと鼓動感が濃厚で、知らず知らずのうちに気分が高揚する。高回転域では少々息苦しさを感じるのだが、常用域のパワーは十分にあるし、最高速は120km/h以上出るのだから、ワインディングロードを攻めるような走りをしない限り、エンジン特性に物足りなさを感じることはないだろう。
続いて感心したのはハンドリングの軽快さ。車重と車格を考えれば、それは当然という人がいるかもしれないが、このバイクはステップバーの位置が絶妙なようで、下半身を使った荷重と抜重に対する反応が実に従順。乗り手の操作に応じて、車体がヒョイヒョイッと軽やかに向きを変えていく感触は、安定性に重きをおく、今どきの250ccスポーツとは一線を画する特性だと思えた。
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