大きな特徴であるグラマラスでスポーティーなデザインは、どこかビンテージベスパのシルエットを連想させるものだが、意外なほど大柄である。シート高も標準的な位置よりも高めだが、実は歴代ベスパのシートはどのモデルも比較的高めのセッティングなのだ。その理由は、やはり独特なライディングスタイルにあり、深く腰掛けるのではなく、スツールに身を委ねるようなポジションでライディングするところにある。
慣れてくると、スクーターの乗り降りが軽快にできることに驚くはずで、これがベスパスタイルなのだ。イタリアンはエスプレッソを粋なカウンターでくいっと飲み干し、去っていく。そんなイメージで乗るのが、ベスパライディングの楽しさだと言える。
機能部分を観察すると、前後12インチのホイールにはミシュランタイヤを装着し、伝統の片持ちフロントサスペンションにABS付きディスクブレーキを装備。パワートレインはフラットトルクで扱い易い155ccのOHC3バルブエンジンを採用し、燃費レベルはクラストップを誇る。しかもASRトラクションコントロールシステムを備えた安全性の高いユニットである。その他、ヘッドライトは上下分割のプロジェクターライトを採用し、ウインカーはLEDタイプと、最新のスペックでまとめられているのも特徴である。
前後のピッチングを抑えた固めのサスペンションはフットワークの軽いハンドリングを実現していて、乗り込むほどに楽しさは深くなる。そんなスクーターなのだ。
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