12年に発売となったスズキGSR250は、当時販売が好調だったカワサキのニンジャ250R、ホンダCBR250Rのライバルモデルとして扱われることが多かったのだが、実際はちょっと状況が異なる。
生産国でもある中国マーケットにおいてフラッグシップマシンとして生まれたことから、GSRはステータス性や存在感が強く、乗り味も元気なスポーティーさを前面に出すのではなく、質感や快適性を求めるという独自路線で仕上げられていた。
今回、追加された250Fは、そのキャラクターを継承しつつ、より行動範囲を広げるべく、フルカウルを装着。基本的な骨格は、ネイキッドのGSR250を踏襲しているが、ライディングポジションをアップライトにして、防風効果以外にも快適性を高めてきた。
エンジンスペックは控えめだが、日常で使う低中速域は十分に力強く、むしろ扱い易さが光る。そしてそのフィーリングは、ガツガツしたものではなく優しさに包まれた上質感がある。さらには、意外やしっかり回る高回転域を気軽に楽しめるのは嬉しい。GSR共通の面白さだ。
ハンドリングは安定志向ながら、250ccらしいイージーさ。俊敏さはないものの、不安感なく気持ち良くリーンしていく。こちらの味付けも、鋭さや軽快感より安心感や頼もしさを感じさせる。また250ccモデルとしては大柄で重量もそこそこあるのだが、それが安定感や安心感につながっている。
フルカウルを纏ったことで、より存在感が際立った。それは走りの性格にもつながるGSR250Fの美点となっている。
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