無段変速で誰でも簡単に運転できるスクーター。とりわけビッグスクーターともなると、大柄なボディにゆとりある積載力、快適なタンデム走行特性と日常的に使い倒すには頼もしい車両である。ところが、バイクに乗り慣れたユーザーからすると、エンジンのフィーリングやハンドリングに刺激が足りないと感じることもある。
ビッグスクーターにスポーツ性を求めるユーザーは確かに少ない。ただ、ヤマハのTMAXやBMWのC600スポーツが一定の評価を受けている現状を考えると、走りを求める層は確かに存在する。
アプリリアSR MAX300は中型クラスながらスポーツ性を満喫できる貴重な一台だ。誰の目にもスポーティに映る外観は、自然とその走りにも期待が高まる。
軽二輪枠となる278ccエンジンを搭載する同車は、デザインのせいか、ひとクラス上の存在感を持つ。フロント15/リア14インチのホイールを採用するためシートは高く、国産の250スクーターと比べるとかなり腰高な印象だ。だが、高いアイポイントでクルーズする独特の爽快感がある。ハンドリングはスポーティな味付けであるが、地上高が確保されているのでバンクさせても不安はない。
エンジンは低回転から高回転までも淀みなく回るのでついつい開け気味になるが、せっかくの足周りを生かすなら、スポーツ走行を楽しむ一台として選ぶのも正解。
このスタイルと走りが50万円以下で手に入るのだから、これまでスクーターが眼中になかったライダーでも触手が動くかもしれない。
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