もともとは東南アジア市場がメインだったものの、近年は日本市場でも注目を集めている150ccクラス。当ページで紹介するYZF-R15に関して、現時点でのヤマハは正規販売を行っていないのだが、全国のショップが独自の輸入販売を行い、好調なセールスを記録している。ではその人気の理由が、どこにあるのかと言うと・・・。
とてつもなく使い勝手がいいからだろう。ライポジはなかなかスパルタンだけれど、車重が兄貴分のR25より30kgほど軽く、エンジンが高回転指向の155cc単気筒とは思えないほど全域で扱いやすく、シャシーに抜群の安定感が備わっているYZF-R15は、ありとあらゆる場面をソツなくこなしてしまうのだ。もっとも、高速道路や中高速コーナーが続く峠道では、多少の物足りなさは感じるかもしれない。でも最高速が約150km/hで、可変バルブタイミング機構のVVAが低回転域のトルク不足をフォローしてくれるこのバイクに、非力な小排気量車を頑張って走らせている感覚は、ほとんどないのである。
ただし、’80~90年代のライトウェイトシングルの再現を期待している人は、肩透かしを食らうかもしれない。何と言ってもR15は、かつてのSRX250やCB250RSなどのように、エンジンの高回転域をキープする意識は必要ないし、ハンドリングは驚くほどのヒラヒラ感はないのだから。とはいえ僕自身は、どんな状況もソツなくこなせるR15にかなりの好感を抱いたし、新車価格が30~40万円台という事実を考えれば、YZF-R25/3ではなく、あえてR15という選択肢も大いにアリだと思う。
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