往年の名車を現代的な技術でリメイクして生み出す手法は、二輪四輪問わず多くのメーカーで用いられるものだ。ヤマハが発売した現行トリッカー向けのTY-S外装キットもそんな一品である。
TYシリーズといえば、70年代から続くヤマハ伝統のトライアルマシンの系譜である。中でも73年に発売されたTY250Jは、同社にとって初めてのトライアルマシンだ。当時のトレールモデルであるDT250のエンジンをトライアルで扱いやすい低中速向けの特性に変更し、新設計の軽量な車体にセットアップしたモデルだ。
トライアルマシンとして本格的な装備を持ちながら、GKダイナミクスが手がけた美しいデザインとあいまって、当時としてはヒットを飛ばしたモデルである。
今回発売された外装キットは、そのTY250Jの外装パーツを再現したものだ。タンクカバー、サイドカバー、シート、リアフェンダー一式から構成されるキットは、なんと現行トリッカーへボルトオンで装着が可能なのだ。元々、トリッカーは既存のオフ車とは一線を画す斬新なデザインが特徴的だったが、キット装着によって当時を思わせるビンテージスタイルへと見事に生まれ変わったのだ。
それもそのはず、このキットを手がけたのは当時のTYと同じ、GKダイナミクス。ヤマハを代表するバイクを数多くデザインしてきたGKだけに、フィッティングは見事というしかない。
トリッカーで気軽にビンテージ感を楽しみたい人には、イチオシのカスタマイズパーツである。
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