ストリートツインのスタイリングは、ノンカウルのダブルクレードルフレーム、リアサスペンションは2本出しというオーソドックスなもの。そしてエンジンは、トライアンフのアイデンティティーともいうべき並列2気筒で、深く刻まれたフィンがなんとも美しい。しかし、じつはこのエンジンは水冷・・・フィンはダミーで、車体前方にラジエターも装備されている。だが、そんな最新モデルだとは感じさせない演出が、ストリートツインには随所に施されているのだ。
それはバイクを走らせてみても感じること。低速では適度な鼓動感が心地よく、トルクフルなエンジンは街中でも扱いやすい。それでいてアクセルを開けると心地よく加速していき、900ccのエンジンは当然ながら高速道路でもパワー不足を感じることはない。ハンドリングも素直だ。ストリートツインは紛うことなきビッグバイクなのだが、ライダーを緊張させるようなことが一切ない。また、スタイルはクラシカルながらも、ROADとRAINを選べる「走行モード」やタイヤ空気圧モニタリングシステム「TPMS」などの先進機能を装備しているのも特筆すべきポイントだ。今回はROADしか使わなかったが、こうしたネオレトロモデルで先進機能が装備されているのは嬉しい限りである。
トライアンフ伝統の並列2気筒エンジンやスタイリングを継承しつつも、その中身は現代に合わせてアップデート・・・新旧を織り交ぜたそのバランスはじつに巧妙だ。近年流行のネオレトロ、その極みの一台といえよう。
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