トライアンフの『サンダーバードコマンダー』は、サンダーバードの排気量を拡大した上級版である。クラシカルな外見が特徴で、ロー&ロングなシルエットは一直線に伸びたマフラーによってさらに強調され、迫力ある丸目2灯ヘッドライトがトライアンフの伝統を主張している。
巨大な塊感のある車体はさぞかし重いだろうと思いきや1700ccのフルサイズクルーザーとしては軽いほうだ。トライアンフが誇る世界最大級の並列2気筒のエンジンは、270度ずれた爆発タイミングの設定により、強烈なパルス感が持ち味。空吹かしすると、周囲の空気が震えるほどだ。
エンジンは極低速から粘りがあり、大きなハンドル切れ角とも相まってUターンも余裕でこなせる。一番美味しいのはミッドレンジ。あえてちょっと高めのギアを選んで街を流してみると、歯切れいい鼓動とともに気持ちのいいグライド感が楽しめる。
またハンドリングは巨体に似合わぬ軽快感があり、思いどおりのラインを描けるニュートラルステア。優れたディメンションの恩恵により、低速での切れ込みもほとんどない。サスペンションも快適さとスポーティな乗り心地を両立している感じで、前後トリプルディスクを装備するブレーキもタッチに剛性感があり、コマンダーの巨体をしっかり止めてくれる。加えてABSの安心感は大きい。
大船に乗った気分で堂々と街を流し、悠々とハイウェイをクルーズする。走りの性能にも裏打ちされた、まさに大英帝国の旗艦と呼ぶに相応しいモデルである。
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