結論から言うと、ブリティッシュモーターサイクルの古き良き時代の姿を今に伝えるボンネビルT100は、その姿を偽ることのない乗り味を持ったオートバイだ。突出した性能やテクノロジーが投入されているわけではないが、必要にして十分な走行性能を持ち、期待以上の楽しさを感じさせてくれる。
まず、またがったときに感じるのは安心感だ。775mmのシート高だからたいていのライダーは足がつかないなんて不安はないだろう。ただ少し遠いハンドル位置は調整の余地があるかもしれない。
セルスイッチを押すと、空冷並列2気筒エンジンは「どるん!」と軽くアイドリングをはじめる。ツインという言葉に期待しすぎるとやや肩すかしをくらう軽さだが、ギアを1速に落として走り出すと、その軽さに反して鋭い加速をする。230kgと車重はそれなりにあるが、重さを感じさせない。
前輪は19インチスポークホイールがT100の持ち味を醸している。ゆったりとしているが、鈍ではない。しっかりとしたハンドリングがライダーとの一体感を高める。
フロントはシングルディスクだが制動力に不満はなく、むしろリアブレーキがよく効くからノーズダイブを抑えることができ、急制動でも車体を安定させたまま停止できる。
街乗りはもちろんのこと、ペースさえ無理をしなければ長距離・長時間のツーリングをこなすのも容易。じっくりと向き合ってバイクライフを充実させていける、貴重なオートバイだ。
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