昨今、カスタムハーレーのシーンでは、ハイレベルな日本人ビルダーの作品が世界的に高い評価を受けている。そのハシリと言えるカスタムビルダーが、愛知県岡崎市のゼロエンジニアリングである。
繊細な感覚で各部の細かな造形に拘り、それらをまとめ上げた全体のフォルムも、それまでのカスタムとは一線を画す独自の世界観を生み出した。それは『ゼロ・スタイル』という言葉と多くのフォロワーが世界中に生まれるほど、衝撃的な日本発のムーブメントだった。ただ、そうしたカスタムハーレーは、ワンオフ製作が当たり前でもあった。
その常識を覆したのはゼロエンジニアリングのテイストを取り込んで、パーツメーカーのプロトが販売しているコンプリートカスタム車、ロード・ホッパーシリーズである。
ゼロ・スタイルを地で行くフォルムと、細かな造形にも手を抜かない作り。このタイプ9iは同シリーズのフラッグシップだ。リジッドのように見えるフレームも実はサスペンション機構を備え、最低限の乗り心地を確保、当然車検もクリアできる。このフレームはドラゴンネックと呼ばれるオリジナル鋼管フレームで、地を這うようなフォルムを実現した。エンジンはFIを搭載するTC88で信頼性も抜群。水平2本出しのマフラーからは心地良い排気音が吐き出され、エンジンの鼓動感をさらに高めてくれる。
ロード・ホッパーの魅力は旧車の雰囲気と高い質感を備える車両を誰もが新車で購入できること。価格は決して安くはないが、一からカスタムすることを考えれば、魅力的なプライスと言えるだろう。
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