2010年に登場したPCXは、優れた燃費性能と、それまで原付二種では少なかった高級感溢れる意匠によって、発売以来、高い人気を堅持しているモデル。そのPCXがエンジンの刷新を受け、新型となった。
基本となるスタイリングに変更は無く、スイングアーム上に配置されるエアクリーナーボックスにeSPグローバルエンジンを意味するロゴが入っていることが新旧を見分けるポイント。
そのeSPエンジンは、環境性能を高めるべく各部のフリクションを低減することに注力されたことが特徴だ。主な変更点は、オフセットシリンダー、ローラーロッカーアーム、余分なオイルの攪拌を抑える新型のブリーザー機構、知能化された発電制御など、多岐にわたっている。停車後3秒以上アイドリング状態が続くと自動的にエンジンを停止するアイドリングストップ機能も引き続き搭載し、カタログ数値ながら53.2km/Lの低燃費を実現した。
ボディサイズは従来モデルと変わらず、取り回しも良好だ。スターターとダイナモを共用したモーターにより、エンジン始動は滑らかで静か。加速時、時速40キロ付近で若干もたつく感があるものの、意識していなければ気付くレベルではない。それよりも振動が少なく、静粛性も高められた結果、気付いたときには法定速度に達しているといった具合である。
前後14インチの大経ホイールによる優れた走行安定性や、ナチュラルなハンドリングはこれまで通り。上質な走りに磨きがかかった新型モデルであった。
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