タイホンダで生産され、世界各国で販売されるPCXが、3月末に日本でもデビューした。
前後14インチの大径ホイールを履いた車体は、国内ブランドの原付二種スクーターとしてはちょっぴり大きめな印象。ただし、フロントまわりが比較的コンパクトなこともあって、走り出せばそれほどサイズを意識することはない。
また、車体が大きめなワリに車重が低く抑えられているから、スタートダッシュも悪くない。静止状態から40km/hくらいまでが、とくに元気がいい。加速騒音規制があるためその上の領域では一度、だいぶおとなしくなるが、反対に極低速時のピックアップは、十分に満足できるレベルにあった。
余談だが、日本の公道で味わうことができない高速域での伸びも、なかなかのものだ。
さらにエンジンは、低燃費であることに加え、環境性能をより高めるために、アイドリングストップ機構を採用。スイッチをONにしておくと、停車から3秒でエンジンが自動的に停止。再発進時はスロットルを開けるだけで、コンマ何秒かの間にエンジンが始動する。
ちなみに、この機構は、シート内部にセットされたセンサーがライダーの体重を感知しなければエンジンの再始動ができないなど、安全面にも配慮。エンジンスターターには、クランキング音がないACGスターターを採用し、再始動時の静粛性も高められている。
話がエンジンばかりに集中してしまったが、大径ホイールを履き、かつホイールベースが短めに抑えられた車体は、とても素直なハンドリングで、軽快さと走行安定性のバランスも良いなど、じつはこちらもかなりのハイレベルな仕上がり。左レバー操作時に前後連動となるブレーキや、フルフェイスヘルメットを収納してもまだスペースに余裕があるシート下トランクなど、装備面も優れている。
全世界での活躍が期待されるPCXだが、日本の市街地をスマートに移動するのにも、とても向いているモデルだ。
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