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250ccロードスポーツ 戦国時代

Photo/Takashi Akamatsu,Tomonobu Fuchimoto,Keisuke Asakura,GooBike
Text/Daigoro Suzuki,Ryo Tsuchiyama

突如高まった250クラス熱

 世の中では相変わらずビッグバイク人気が高いが、このところ中型クラスが盛り上がっている。中でも最近の250クラスの盛り上がりは、各メーカーを巻き込んだ熾烈な新型車競争の様相を呈してきたと言っても良いだろう。
 事の発端はカワサキが2008年に登場させたニンジャ250だ。水冷並列2気筒エンジンにフルカウル、そんな出で立ちで登場したニンジャ兄弟の末弟。エンジンの基本設計を遡れば80年代半ばのGPZ250Rにたどり着く、そんな歴史を持つエンジンが現行規制にマッチするようにリファインされた。さらに世界的なSS人気を背景に、08年当時の250クラスでは絶滅していたフルカウルとしてデビューしたことで、新しい世代のライダーに大ウケ。現在にまで続くヒット作となったのだ。
 そんな状況を見て黙っていないのはやはりホンダ。古くからあるエンジンを使う手法ではなく、新規にエンジンを開発。単気筒&フルカウルの異なるアプローチで、250ならではの軽快さを狙ってCBR250Rを登場させた。
 どちらの車両も往年の名車の名を引き継ぐモデル。しかし、90年代以前からバイクに乗っているようなベテランからすると、そのスペックや使用するエンジンに批判的な目が少なからずあった。
 ところが、いざ蓋を開けてみれば、どちらも大ヒット。今回はその理由を探るべく、二輪各誌でお馴染みの鈴木大五郎氏をテスターに迎え、その魅力を掘り下げてみよう。

ホンダ CB400SF
400ccクラスは多くのエントリーユーザーにも人気だが、車検があるため、維持費やカスタムの面では負担が大きいと考える人も少なくない。
カワサキ KLX125
セカンドバイクとして人気の原付2種。乗ると楽しいモデルばかりだが、高速道路に乗れないという制度上の制約や、スポーツモデルが少ないという現状がある。

250クラスの立ち位置

 昔から250クラスは、バイク免許を取得したばかりのライダーにとって最適なエントリークラスだ。大きな排気量へステップアップする前に、バイクの乗り方や遊び方をひと通り覚えるには性能的にも価格的にも手ごろである。400では持て余しそうだし、車検もある。かといって125では高速に乗れないし、物足りない。そんなライダーにとってはピッタリなのだ。また、250ならではの軽快さと気軽さによって、上位クラスがかすむほど魅力的に映る車両もある。いまの250クラスは、その良さが再評価されているのである。

ホンダ CRM250AR
この10数年間で幾度も改正された排気ガス規制。それにより数多くのモデルが姿を消した。独特の乗り味で人気を博した2ストロークモデルも全滅した。

250クラスの歴史

 70年代までは欧米のメーカーも精力的に車両の開発をしていた250クラス。信じられないかもしれないが、昔はドゥカティやハーレーも250ccを作っていたくらいだ。とはいえ、欧米メーカーの主戦場は650や750、900など最大排気量カテゴリ。そんな欧米列強との戦いを行いつつも、国産メーカーは50年以上も前から250に注力してきた。オンからオフまであらゆるカテゴリを縦断しながら技術力の蓄積と、国内エントリーユーザーの囲い込みに成功した。
 欧米メーカーが成長と共に小排気量車を切り捨てる中、国産メーカーは250クラスを捨てることなく、新車を作り続けたのだ。

ホンダ CB72
古くからスポーツモデルを精力的に開発してきた国産メーカー。60年代前半までは250クラスがフラッグシップとして位置づけられていた。

海外生産を活路に250熱が復活

 いま、二輪メーカーにとって新型車開発は昔ほど簡単なものではない。
なぜなら、年々厳しさを増す排気ガス&騒音規制の存在があるからだ。現代は、かつてのモデル以上に『環境性能』が求められる時代なのだ。誰もが驚くような高性能と、世間が認める環境性能の両立は難しい。いや、完璧に両立させることは技術的に可能かもしれないが、そこにかかるコストは膨大なものとなる。車体価格に手ごろさが求められる250クラスでは、そうした『上乗せコスト』が許されない土壌もある。
 そこで、各メーカーは中国や東南アジア等の工場を利用して車両を生産し、そうした価格の問題をクリアしたのである。

今回のテスター
鈴木大五郎
Daigoro Suzuki
鈴木大五郎
94年にダートラ修行のために単身渡米、AMAロードレースに参戦する。帰国後は二輪専門誌でテスターとして活躍しながら、8耐や全日本などにも参戦。現在は並行してライディングスクールの講師も勤める国際A級ライダー。

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