

世の中には同一の車種名を持つロングセラーモデルは多いが、ヤマハSRはエンジン形式やフレームといった基本的構成をほとんど変えることなく販売され続けている数少ないモデル。言い方を変えれば、最新装備を持たない古めかしい・・・そんなSRに、多くのライダーはなぜ魅了されるのか?今回は不滅の名車の魅力を紐解いていきたい。
Photo/Hiromu Inoue Text/Toshiyuki Sagayama


セミダブルクレードルフレームに空冷4ストロークSOHC2バルブ単気筒エンジンを搭載。これまで幾度もフルモデルチェンジを重ねつつも、基本的なシルエットは1978年の登場時とほとんど変わらない。まさに不変の名車と呼ぶにふさわしい1台である。
40年間変わらないスタイルを維持する稀有な存在
ヤマハSRの登場は1978年。今年で登場から41年になる超ロングセラーモデルである。これまで幾度かのモデルチェンジを経ているが、バイクの心臓部ともいえるエンジンと、骨格にあたるフレームは基本的に41年間でほとんど変更が加えられず、当時のまま。ルックスにも大きな変更はない。つまりSRというモデルは、70年代のバイクがそのまま2019年の現在でも新車で買えてしまうということ。ロングセラーは数あれど、こうしたモデルは他にはないのではないだろうか。
今回の企画ではそんなSRの魅力をあらためて掘り下げ、未だ高い人気を誇る理由を紐解いていく。その内容については次ページからじっくりと紹介するとして、その前に本項では、昨年4度目のフルモデルチェンジを果たし、5型になった新型SR400について触れたい。見た目の変化はほとんどないが、じつはさまざまな変更が行われているのだ。
まず、新SRは新排ガス規制に適合するためにエンジン左側にキャニスターを搭載。さらにマフラーの内部構造を見直し、規制に対応しつつもサウンドも変更している。歯切れの良い重低音は、SRファンには必須となっているマフラー交換を「不要」と思わせるほどの出来栄え。見た目は4型とまったく同じながら、その中身はまったく異なる・・・まさに開発陣のこだわりが詰まったポイントだといえよう。
また、出力特性の変化も見逃せない。4型では最大トルクの発生回転が5500rpmだったのに対し、5型では3000rpmに変更。これにより低中速でより粘り強いトルクを感じることができるのだ。実際に4型では加速時に2~3000rpm付近で一瞬もたつきを感じることがあったのだが、それがみごとに解消されている。そう、新型SRは40年の歴史の集大成と呼ぶにふさわしいモデルだと断言できる!
とは言いつつも、1型も2型も3型も4型も・・・すべてが魅力的。多くのライダーに支持されるSRの奥深い世界を、この企画でぜひとも感じていただきたい。
※中古車相場価格はグーバイク調べ(2019年10月)。