

レーシーなスタイリングに低いハンドルとバックステップ、さらに高性能なエンジンと最新の装備をまとったスーパースポーツは、多くのライダーの憧れだ。しかし、あまりにも高すぎる性能やスパルタンなライディングポジションに、購入を躊躇する読者もいることだろう。そこで今回は、そんなスーパースポーツの魅力をあらためて紐解き、楽しく乗れるような提案をしたい。スーパースポーツに少しでも興味があるなら、必見だ。
Photo/Hiromu Inoue Text/Tomohiko Nakamura・編集部

他の分野では味わえない
高揚感と万能感を堪能
より速く、より快適に。ものすごく端的な表現をするなら、それは大昔から変わらない、2/4輪の命題だ。そして現代のオートバイで、最も命題を真摯に追求しているのは、リッタークラスのスーパースポーツ:SSとアドベンチャーツアラーなのだが、あまりに速くなりすぎた現代のリッターSSに対しては、敷居の高さを感じる人もいるだろう。
確かに、リッターSSは、誰もが気軽に楽しめるわけではない。この分野の車両を日常的に乗るには、ある種のコツの体得が必要だし、できることならリッタークラスに手を伸ばす前に、親しみやすい250~400ccのSSを経験しておきたいところ。もっとも250~400ccのSSには、600cc以上のSSとは趣が異なる守備範囲の広さが備わっているので、誰もがビッグバイクへのステップアップを考える必要はないのだが・・・。
日欧のメーカーが総力を結集して生み出した現代のリッターSSが、他の車両では絶対に味わえない、圧倒的な速さを堪能させてくれるのは事実である。それに加えて、ハイテク電子制御技術の恩恵が肌で感じられることも、この分野ならではの魅力だろう。いずれにしても、オンロードバイクの究極を目指したリッターSSには、多くのライダーを惹きつける魅力が備わっているのだ。

スーパースポーツ:
SSの定義は、快適性や親しみやすさよりも、オンロードでの運動性能を徹底追求していることと、フルカウルを装備していること。とはいえ実際のこの分野の解釈は、時代や地域によって異なっている。現代の日本では排気量の大小に関係なく、レース参戦を視野に入れたフルカウルスポーツ全般がSSと呼ばれているのだが、欧米の場合、SSはミドル以下のフルカウルスポーツに使われる呼称で、日本で言うリッターSSはスーパーバイクと呼ぶのが一般的。また、世の中にはSS=レーサーレプリカと考える人がいるけれど、現代のSSの大半は、市販車が先行して開発を行うレース用ホモロゲーションモデルで、レプリカに該当するモデルはごく一部のみである。
BMW Motorrad
S1000RR
新車価格●231万3000円~
中古相場価格●99.8万~260万円
‘09年のデビュー当初は、日本車のコピー?と揶揄されたことがあったものの、‘19年型で第5世代に進化したS1000RRは、日本車勢を凌駕する運動性能を獲得。実際に乗っての印象は、とにかく猛烈に速い・・・としか言いようがないのだが、その一方でエンジンと車体の改革を行い、多種多様な電子制御の熟成が進んだ最新のS1000RRは、ツーリングを余裕でこなせるフレキシブルさも備えている。

全長×全幅×全高 | 2070×740×1160(mm) |
シート高 | 824mm |
車両重量 | 200kg |
エンジン形式 | 水冷4ストローク4バルブ直列4気筒 |
総排気量 | 999cc |
最高出力 | 152kW【207PS】/13500rpm |
最大トルク | 113N・m/11000rpm |
燃料タンク容量 | 16.5L |
ブレーキ形式 | F:油圧式ダブルディスク、 R:油圧式ディスク |
タイヤサイズ | F:120/70-17、R:190/55-17 |
※中古車相場価格はグーバイク調べ(2019年10月)。