BMWのGSシリーズに、日本では13年夏に追加されたモデルが、F800GSをベースとした冒険仕様。これまでアドベンチャーは、旗艦GSのみをベースに開発されてきた。つまり今回が初の、ミドルGSベースということになる。しかしその容姿は、現行1200に負けず劣らずの凄味を放っている。
F800GSをベースとした車体は、アドベンチャー化されたことでより大柄に。それでも、現行のR1200GSアドベンチャーと比べれば圧倒的に、「扱えそうな雰囲気」を備えている。そして実際、日本の舗装路とダートで乗っても、持て余し感は1200よりだいぶ少ない。
舗装路では、ピックアップのよい並列2気筒エンジンが、キレのある走りを演出。高速道路では、アドベンチャー専用の大型スクリーンが、身長167cmの筆者なら口元から下に当たる風を大幅に削減してくれるほどの防風効果を生み、快適に巡航できる。しかも、これだけスクリーンを大型化しながら、イヤな風の巻き込みをほとんど感じないのが、さすが大陸横断ライダーに信頼され続けているBMWといったところだ。
舗装路でのコーナリングは、ベースモデルに比べれば重いが、接地感があり扱いやすい。ダートでは、重さに不安を覚えたが、そのぶんエンデューロモードも選べるトラコン(ASC)の標準装備化が、コントロールのしやすさへとつながっていて、移動レベルであれば拍子抜けするほど簡単に、純正タイヤのままフラットダートを走破できた。
未舗装路を含めて日本を豪快に旅するなら、マキシマムであると同時にジャストサイズなモデルだろう。
|