全モデル800ccパラレルツインエンジンを備え、BMWモトラッドの中核を担うFシリーズに、F800GTが追加された。昨年11月に開催されたEICMA(ミラノショー)で発表されたばかりであるにも関わらず、すでに日本を走りはじめたのだからメーカーの積極性が伺える。実はこのGTは以前ラインナップされていたF800STの進化版ともよべるもの。とはいえイニシャルを変えて登場したのだから、試乗前から仕上がりへの期待が高まる。
フレーム形状、テレスコピックフォーク、片持ちスイングアームにベルトドライブといった基本的コンポーネントはF800STを踏襲。ただしフェアリングデザインは大幅に変更され、よりワイドな印象を持たせている。エンジンは最大出力を90馬力とし、STと比べ5馬力も引き上げられた。
実車を目の前にすると、全体的にはボリューミーな印象をもたせながらも、それはデザインラインを上手に組み合わせ演出したものであり、跨ると意外なほどコンパクトなことに気づく。なおかつ日本標準仕様のシートは非常に足つきが良い。走り出すと、低回転域からトルクがあり市街地などでも扱いやすい。出力アップが効を奏しているのだろう。ワインディングを軽快に走らせれば、あたかも軽飛行機を操っているかのように心地良い。大型のスクリーンで高速走行も快適だ。トータルバランスが高く、誰でも純粋にバイクを走らせることを楽しめるモデルに仕上がっているF800GT。実に旅に出たくなるバイクだ。
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