先代のF650GSはBMWの高いオールラウンド性は持っていたが、上級者が乗った場合にエンジンパワーとブレーキ性能には、ちょっと不満があった。後継機F700GSは、それらを解消し、オフロード性能を重視した新型F800GSとの差を明確にした。
定評ある水冷パラレルツインは、F650GSから最高出力で4馬力アップの75ps/7300回転に、最大トルクが0.2kg-mアップの7.86kg-m/5300回転となった。この差は4500〜8500回転域で明確だが、仮にそれを下回る領域であっても、ファイナルレシオが17×41Tから17×42Tとショートになった効果もあって、全域で力強さが増している。街中、スポーツライディング、高速道路での追い越し加速は、先代とはハッキリ違う。かといって燃費が落ちるわけではなく、80〜120km/hをキープして連続250km×2回の走行結果、25〜27km/Lを記録した。
フロントブレーキはダブルディスクになって、制動力は加速性能と車重に見合うものとなった。新型シートはシート高790mm(欧州仕様ロー)が標準で、身長170cmもあれば両足が楽々着く(テスターは173cm、66kg)。ライディングポジションは長距離でもスポーツライディングでもほどよく、人間とステアリングヘッドの位置関係の良さからか、寝せやすくステアも自然で旋回性は良好。フロント19インチのジャイロ効果と細身の前後タイヤは荒れた舗装路での安定感・走破性が高い。というわけでF700GSは今の所、日本を旅するならベストの1台だ。
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