直列6気筒エンジンを搭載する唯一の量産バイクがK1600シリーズだ。GTはスポーティモデルで、2017年モデルではユーロ4対応となるマイナーチェンジが行われた。その内容は多岐に渡り、電子制御式セミアクティブサスペンション「ダイナミックESA」、アップ/ダウン対応のオートシフター「シフトアシスタントプロ」、電動式後退機構「リバースアシスト」、3種から選択可能な「ライディングモード」、さらに耐候性を高めたアッパー/サイドカウルの採用など、かなりの部分が大きく改良されている。
1648cc水冷並列6気筒エンジンが生み出すトルクとパワーは、きめ細かく滑らかだが力強く、1速スタートはアイドリングのみでも簡単にできる。2000〜3000回転で175Nm以上のトルクを発生させるだけでなく、シフトアシスタントプロは低回転時でもスムーズに作動するから、ストップ&ゴーの多い市街地走行でも344kgの車体を難なく加速させる。車体は大きく重いが、走り出してしまえばそれらを意識することなく、むしろ走行安定性となるBMWらしい挙動は、新型K1600GTでさらに洗練された。
リバースギアはギアをニュートラルに入れ、リバースモードスイッチを押した後にセルスイッチで作動。スイッチを押し続けると加速するが、挙動がゆっくりとしているため扱いやすく、狭いスペースや傾斜地での取り回しで絶大な安心感をもたらす。
このバイクの真価を引き出すのに日本は狭すぎるが、威風堂々かつ俊敏な走行フィールは、ほろ苦さと甘さ、そして爽快さが混ざり合うミントチョコレートのような味わいだ。
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