BMWはエンジンを大切にするブランドだ。BMWモトラッドの歴史はボクサーエンジンから始まり、単気筒、直列四気筒、並列二気筒など様々なタイプを生み出してきた。それらはどれも、ライダーの感情を時に激しく、また時には陶酔させるようなフィーリングを備えている。そのBMWが今回6気筒モデル、K1600GTLを発表した。
実車を前にすると、確かに大きいのだが、並列6気筒ということを感じさせないほどスリムになっている。シート高も750mmとかなり低く、160cmのライダーが乗っても両足が地面に接地した。低重心とマスの集中が徹底されており、見た目とは裏腹に、取り回しは想像以上に楽だ。ただ闇雲に大きなエンジンを載せた変わり者ではなく、バイクとして成立している。
エンジンに火を入れると、直列6気筒特有の排気音を周囲に轟かせる。超低回転から密度の濃いトルクを搾り出し、しかもそれは過剰なものではない。右手の操作に従順でスムーズ。足回りをはじめとしたシャシーの剛性バランスが絶妙で、スポーツライディングの許容範囲はとても高い。
左手のジョグスイッチでは、ライディングモードの変更、ESA(電子制御式サスペンション)のセッティング、グリップヒーターやナビやオーディオなどの操作が集約されている。最初は戸惑うかと思っていたが、操作はいたって簡単で、直感的に使いこなすことができた。きっとホンダのGL1800あたりと、比較される場面もあるかと思うが、まったく別のベクトルを持った車両だった。
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