BMW水平対向エンジンといえばBMW創業時から続く伝統の内燃機で、その歴史は来年で80年を迎えるほどに長い。なかでもカウルを持たない“ロードスター”と呼ばれるネイキッドモデルは、その姿かたちも継承している。もちろん時代に合わせた進化は常に続けており、このたびのモデルチェンジではエンジンがDOHC(ダブルオーバーヘッドカムシャフト)となり、低回転域から高回転域まで、全域に渡ってトルクが豊かになり、扱いやすさも向上した。2気筒ならではの鼓動感もライダーの全身に心地よく響き、かといって長距離の移動でも疲労につながらない適度な振動が、バイクを走らせる愉しさや歓びを膨らませてくれる。
エンジンの個性にも注目が集まるが、独特な機構を持つ前サスにも注目したい。1993年に初登場した『テレレバー式』のサスペンションは、操舵と緩衝というサスペンションの仕事を分けたことにより、ブレーキング時のノーズダイブを軽減できるほか、直進安定性に優れる機構だ。さらにABSを装備するから、フル加速からのフルブレーキも躊躇なく行える。このアドバンテージは国産車をはじめ他の海外メーカー製バイクにない信頼性で、一度味わうとクセになる。優等生ではあるが学業一筋ではなく、恋も遊びも趣味も充実したタイプといえばわかりやすいだろうか。
ノーマル仕様のほかに、オリジナルカラーやスポークホイールを装着した「クラシック」仕様も発売される。エンジンなどの諸元に変更はない。
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