市販モデルをベースとしたマシンで争われるスーパーバイク世界選手権(WSBK)に、09年シーズンからアプリリアRSV4とともに参戦を開始したBMWのS1000RR。
それにより、日本とイタリア勢の争いだったWSBKに、ドイツが加わった格好。また、リッタークラスのスーパースポーツカテゴリーにおいて、国産以外で直列4気筒エンジンを積む初めてのマシンとなった。
であるにも関わらず、このS1000RRには意外なほど、初ものの印象が薄い。国産車のように、いや、それら以上にとっつきやすいのだ。
足着き性も良好で、小柄な身体にもすんなりフィットして扱いやすい。
サスは、軽い体重に対してもしっかり動き、思い通りに姿勢を変化させる。コーナリングはあくまでも素直である。
そのうえ14000回転まですんなり回るエンジンは、193馬力を発揮。最強の動力性能を持っている。低中速も豊かで、7000回転ぐらいからトラクションを感じ、コーナーを立ち上がることができる。
また、上級モデルとなるプレミアムラインでは、レースABSとダイナミックトラクションコントロール(DTC)をセットで装備。モードを切り換えることによって、電子制御の介入度合いやエンジンの出力特性を変え、車輌のキャラクターを変化させることも可能。
もっともフレンドリーなレインモードは、出力を150馬力に抑えるとともに、全体のフィーリングが優しくアレンジされる。
反対に、電子制御の介入度合いを抑えたスリックモードでは、190馬力をオーバーするパワーを余すことなく発揮。その気になればブレーキングドリフトもできる。それでいて、マシンにシビアな面を感じることはなかった。
BMW初となるスーパースポーツは、同じ直4を採用する国産マシンに対して、勝るとも劣らない完成度を誇るばかりか、電子制御の面では優位性を見せ付けるほどであった。
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