3月に発売になったBMWの新型R1200R。これまで発売された新世代Rシリーズは、いずれのモデルも飛び抜けて評価が高かっただけに、興味津々で試乗に臨んだ。
まず、エンジン+駆動系を説明しよう。ついに水冷化された伝統の水平対向2気筒は、ミッション、クラッチ、吸排気系のレイアウトを刷新。ボア×ストロークこそ先代を踏襲するものの、パワーユニットは大幅に小型化され、車体レイアウトにも大きく貢献している。
足周りには、延長されたスイングアームや新たに電子制御セミアクティブサスを採用し、姿勢変化の少ない自然なライディングフィールを実現。先代までフロントに採用されてきたBMW独自のテレレバーサスは、通常のテレスコピックフォークに変更されたものの、これまでと同等以上の性能を手に入れているという。
跨がると足つき性の良さが印象的。走り出すと、低速域から意のままのハンドリングにより一体感が高い。低回転から厚いトルクを生むエンジンの扱いやすさも光る。発進停止以外はクラッチ操作のいらないシフトアシスタントプロは、市街地から乗り手をリラックスさせてくれる。
高速道路での安定性は、BMWの真骨頂。クルーズコントロールの装備もあって遠出が楽だ。それでいてワインディングでは、質の高いスポーツバイクとなる懐の深さも持っている。雨の試乗では、ウエット性能が高く、グリップヒーターの恩恵もあって逆に走りを楽しめた。ABS、トラクションコントロールなどと合わせ、どんな場面も楽しく快適に走る仕上げはさすがの一言。その価格すらオトクに思えるほどだった。
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