結論から書く。BMWというメーカーに興味があり、新しいモノが好きであるなら、このバイクは迷うことなく“買い”だ。ビッグツアラーとかデュアルパーパスと呼ばれるカテゴリーを切り拓き、リードしてきたR1200GSは、追従してきたライバルメーカーのバイクたちをさらに引き離してしまったといえる。
BMWの空油冷水平対向2気筒エンジンは太いトルクを谷間なく絞り出す頼もしく優れたエンジンだが、極低回転域でのトルクの細さに弱点があった。しかし空水冷化(冷却比は空冷65%、水冷35%)でその弱点を克服。しかもそれ以上の回転域でも強烈なトルクを発生し、スロットル操作だけでフロントが持ち上がる!
そのトルクをしっかりと受け止めるべくフレームも強化されており、BMW特有のオンザレール感覚のコーナリングがさらに洗練された。やや大げさではあるが、曲がりたい方向へ視線を向けているだけでバイクが勝手に曲がってくれる感覚。コーナリング中の安定感は抜群だ。
キャンプ道具を満載にして数百キロに及ぶ長距離をハイペースで一気に駆け抜け、岩が転がるダートも躊躇せずに入り込める。ワインディングではロードスポーツを凌駕するコーナリング性能を発揮。安全性が高いから疲れない。R1200GSは現代の“スーパーバイク”である。
ABSやトラコン、セミアクティブ式電子制御サスペンション、ライディングモードといった最新テクノロジーはすべて装備された“全部入り”仕様なのに、先代モデルの同等装備グレードより3万円以上も安くなっている。気になる人にとって買わない理由は、ない。
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