台湾のスクーターブランド、SYMがリリースする、ちょっとレトロでポップなイメージのモデルがUmi115だ。可愛らしくてどこか懐かしい雰囲気を持つ、いわゆる“レトロモダン”路線のスクーターだ。大きなヘッドライトの下に小さな丸型ポジションライトを配置し、ティアドロップ型のカバーで覆うという斬新なフロントデザインは、一目見て他とは違うとわかる独特のもの。
フロントのポジションライトをはじめ、テールランプやウインカーにはLEDを採用。メーターはシンプルだが、アナログとデジタルをうまく融合させ、可愛らしく仕上げるなど、単なる懐古調スクーターにとどまらない現代的なアレンジが加えられている。車体は原付2種の中ではコンパクトで軽く、小柄な女性など、体力に自信がない人でも気軽に取り回せるし、駐輪場などでも楽だ。
ところが加速はただのオシャレ系スクーターと一線を画す俊敏なもの。スタートから40km/h過ぎぐらいまでのダッシュがかなり速く、見かけでナメてかかる他の原付2種乗りに一泡吹かせるぐらいの実力を持っているのだ。さすがはスクーター激戦区、台湾で磨かれただけのことはある。ただ軽快な分、フロントの接地感はやや少なめでハンドルも軽いため、コーナーや路面のギャップへの無理な進入はご法度だ。タイヤも前後10インチのため、限界性能は高いとは言えない。しかし、中速域までの「羊の皮をかぶった狼」的なシビレる加速とレトロでオシャレな外観、という二面性を持つこのマシンは、国産のスクーターにはない個性的な魅力を放つ1台と言えるだろう。
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