台湾ブランドのキムコが、09年型で日本向けラインアップに追加した原付二種スクーターが、レーシング125Fiだ。
車名からも想像できるとおり、全体的にスポーティなパッケージングで、インジェクションを採用。機敏に街を駆け抜けられるモデルに仕上げられている。
エンジンは、日本の原付二種枠いっぱいとなる124.8ccの空冷4スト。スペックからも、パワフルであることは明らかだが、実際に操ってみると、その出力と変速の特性がいいことにも驚かされる。
出足は、車重がそれなりにあるため、あまり期待していなかったが、それを裏切るダッシュ力。唐突に前に進むこともなく、かといってダルさはない。台北の通勤時間帯には、何十台ものスクーターが、シグナルGPを繰り広げるというが、レーシングならそこでもトップに立てるかもしれない、などと想像が膨らむ。
もっとも、このパワーユニットがすばらしいのは、発進加速だけではない。むしろ、そこから先に、本当のよさがある。あくまでもフラットで扱いやすく、でもかなり速いのだ。常用速度域での満足度は極めて高い。
いっぽうで、前後12インチホイールを履く車体は、クイックすぎる動きも無く、適度な安定感が演出されている。おかげで、さまざまな路面に遭遇する市街地走行でとても扱いやすく、これまた好印象だ。
前後サスペンションは、若干ハードな味つけだが、乗り心地はそれほど悪くない。リヤは3段階のイニシャル調整が可能だから、体重が軽いユーザーは、これを最弱にして乗れば、快適性も高まるだろう。
またブレーキは、とくにフロントのコントロール性と制動力の高さが光る。よく止まるから、より安心してエンジンの速さを味わうこともできる。
このように走行性能のよさが目立つレーシングだが、じつは装備も充実している。
速くて便利。このふたつが実現されたレーシング。ぜひ日常の足として使いたいモデルだ。
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