ハーレーのラインナップで最上位に位置するCVO(カスタム・ヴィークル・オペレーション)だけに許された排気量1801ccのスクリーミンイーグル・ツインカム110Bエンジン。これまで重量が300kgを超えるウルトラ級モデルだからこそ不可欠とされてきたハイパワーエンジンを、カウリングやケース類等の装備を持たないネイキッドモデルに搭載したら・・・。そんな想像のなかから生まれたのが、16年モデルからラインナップに加わった“Sシリーズ”の1台、ソフテイルスリムSだ。
リジッド型ソフテイルフレームに油圧式フォーク、そして前後16インチスポークホイールを備えるFLスタイルをベースに、50年代のアメリカを席巻したボバー風にまとめられたソフテイルスリムは、ソフテイルファミリーのなかでは、もっとも軽量で軽快なライディングに定評があるモデル。スタイリングはそのままにエンジンだけがパワーアップしたのだから、そのパフォーマンスへの期待は否応なく高まってくるというもの。
スロットルを捻ればスタンダードのソフテイルとは比べものにならないトルクで路面を蹴り出す。それでいて、街中では2速または3速パーシャルで、コントロールさせてくれる従順な面も持ち合わせる。しかしながら、このスクリーミンイーグル・ツインカム110Bのパワフルなライディングを一度でも味わってしまったら、きっとスタンダードのソフテイルに戻ることはできなくなるだろう。ある種の中毒性すら秘めた、ハーレーダビッドソンの名にふさわしいモデルが誕生した。
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