アップライトなポジションに、長いホイールトラベル、さらに高速巡航も苦にしない排気量など、高性能ツアラーとしても高い素質を持っているビックオフローダー。それにロード寄りのサスセットとタイヤを装備したクロスオーバーモデルは、ここ数年、欧州で高い人気を得ている。ベルシス1000は、そのマーケットにカワサキが送り込んだニューモデルだ。
またがってみると、ライディングポジションはアップライトで、シート高は若干高め。だが、スリムなフレームと前方が絞られたシート形状によって、身長163cmの筆者でも両足のつま先を路面に付けることが可能だった。
搭載しているエンジンはZ1000のものをベースにリセッティングが施され、ピークパワーはやや抑えられているものの低中速寄りになっている。それとともに、ライダーはモード切り替えによって、フルパワーとローパワーを選べるようになった。
さらに、ニンジャZX-14Rに採用されるKTRC(カワサキ・トラクション・コントロール)を装備。パワーモードとの組み合わせ次第では、Z1000に迫る走りを引き出すことも可能だ。また反対に、石畳や濡れた路面といった、タイヤのグリップが失われやすい状況であっても、スロットル操作に神経を使うことのないラフなライディングも許容してくれる。
このようにツアラーとして高い安全性と性能が与えられた結果、べルシス1000は、すべてのシーンにおいて活躍できる1台になったのである。
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