2016年にファイナルエディションが発売され、一度生産を終えたカワサキのネオクラシックモデルがW800だ。排ガス規制の影響によるものながら2019年春に復活。W800ストリート、そしてW800カフェという新たな名称の元、2機種がラインナップに加えられた。
伝統のバーチカルツインが再び味わえることになり、めでたしめでたし・・・と思いきや、それだけで終わりではなかった。カワサキは次の一手も準備しており、2019年秋の東京モーターショーで公開された3機種目が、末尾になにもつかない無印のW800である。
ストリートとカフェに対して一見して分かるのは、塗装の質感や多用されたメッキパーツだ。ひと言で言えば高級感があり、ネオクラシックの王道的な佇まいを持つ。その一方、言われなければスルーしそうになる違いがフロントホイールの径とライディングポジションだ。先に登場した2機種が18インチなのに対し、W800は19インチを装着。そして、ハンドルの位置はストリートとカフェの中間あたりにあり、その乗り味はまったく異なる。
より自然なのがW800で、バンク角が浅くてもフロントタイヤがスッと進行方向に切れ、リニアな旋回力を披露。それでいて1インチ大径の分、安定性と衝撃吸収性にも優れるなど、その乗り味は大らかに仕立てられている。
エンジンもいい。これは全機種共通で、4000rpm以下での強い存在感と、高回転域でのスムーズな吹け上がりを両立。デザイン、ハンドリング、鼓動など、ビッグバイクに求められる多くがW800には備わっている。
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