近頃は外国車勢を軸としたビッグオフがシーンを引っ張るイメージのあるオフロードバイクだが、国産オフの長い歴史を支えてきたのはまぎれもなく250ccクラスの車両だ。様々な規制を理由として国産オフのラインナップが縮小する中、カワサキのKLX250は息長く継続しているモデルだ。
かつて『闘う4スト』というキャッチフレーズで登場したほどハイスペックだったキャブ時代からすると、少し寂しいスペックとなったFI搭載のKLX。だがいざ乗ってみると、とっつきやすい性格の車両だ。24PSという馬力には物足りなさを感じるかもしれないが、6000回転を超えた領域から身体がグン!と押されるようなパワーの出方をする。しかしそれは暴力的なものではない。「パワーが手の内にある」と確信を持てる安心できる特性なのだ。
例えば滑りやすいダート走行の場合、リアのトラクション(駆動力)を確保するためには、スロットルを開ける必要があるが、そんな時にはドッカンパワーのバイクでは、シビアなスロットルワークが求められる。しかし扱いやすい特性のエンジンならば、気楽にスロットルを開けられるため、ライダー側のゆとりとしては非常に大きい。そういった意味ではFI化により誰にでも扱いやすいマシンへと進化した、とも解釈できる。
その気になればハードな走りもできるが、現行KLXは、かつてのスーパーシェルパのようにトコトコとトレール(獣道)を楽しむトレッキングバイクとしての性格持ち合わせているといえるだろう。
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