ここ数年、得意とするオフロードモデルはもちろん、ネイキッドからスーパースポーツまであらゆるカテゴリーをリリースし、国産メーカーさえ脅かす存在となったオーストリアのKTM。
この1190RはそんなKTMのアドベンチャーカテゴリーに属するモデルである。同社では1050、1190、1290、そしてこの1190Rと現在4機種のADVモデルをラインナップしているが、中でもこの「R」はオフロード走行に特化している。
一番の特徴は前後のサスペンションストロークの長さと、ホイールサイズ。排気量が1リッターを越えるメガADVは舗装路での操作性を優先してフロント19、リヤ17インチを採用することが多いが、このRはフロント21、リヤ18インチという設定。サスペンションのストロークはノーマル(1190)に比べ20mmも長い220mmである。この長い足と21/18インチの組み合わせこそが不整地において圧倒的な走破性を生み出すのだ。
巨大で無骨なルックス、高いシート、パワフルなエンジンと、その過激な車体は、乗る者を限定するように見えるが、ひとたび走り出してしまえば、軽い操作系や長いサスによるソフトな乗り心地、さらに各種モード設定可能なトラクションコントロールやABSのおかげで、乗りやすい一面があることに驚かされる。当然ダートでもその効果を遺憾なく発揮。他のADVが「ダートが通過できる」とするなら、このRは「ダートも楽しく走れる」と大差があり、それこそがこのバイクの大きな魅力だ。
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