従来のモタードイメージを一新して2012年にフルモデルチェンジとなった新型690デュークをベースに高性能パーツを組み込み、戦闘力を高めた上級バージョンが690デュークRである。ライポジは上体が起きたアップライトなスタイルで、元々がモタード由来ということもありシート高も835mmと高め。ただ、実際に跨ってみるとスリムで軽い車体に助けられ、足着きは思いのほか良い。STDと大きく違うのはステップ位置で、大幅に後退してやや高めにセットされるなど、スポーツライディング向きの設定だ。
エンジンはエンデューロレースで鍛えられた伝統のLC4をベースに強化改良され、弾けるトルクとパワフルな中速域はそのままに、出力特性はよりマイルドかつ高回転まで回るようになっている。フル・ライド・バイ・ワイアの採用により、パワーは出ているがレスポンスは穏やかで扱いやすい。
前後サスペンションもSTDに比べると格段にしっかり感が増した。ブレーキも秀逸。レーススペックのブレンボ製キャリパーとマスターの組み合わせにより、軽量な車体を意のままに減速できるし、ボッシュの最新型ABSはロック寸前の繊細な操作を肩代わりしてくれる。加えてスリッパークラッチも装備されるなど、過激でありながら安心感の高いパッケージングだ。
軽量スリムなメリットを生かし、混雑した市街地でもスイスイと走り抜け、ワインディングでは存分にスポーツマインドを楽しめる。STDから25万円アップとなるが、これに見合う満足感は十分に得られるだろう。
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