「レディ・トゥ・レース」をテーマに掲げるKTMは、常にその軸足をレースに置 いている。今回試乗した990アドベンチャーもその例に漏れず、ルーツはダカールラリーで勝利を収めることを目的に開発されたコンペティションマシン、950ラリーにさかのぼることができる。
その950ラリーの市販車として発売された950アドベンチャーの進化版が、990アドベンチャーなのである。
実際に試乗すると、大きな車体に一瞬戸惑うことになる。が、車体を引き起こすと思いのほか軽い。さらにまたがってみると、クッション性の高いシートはほど良く沈み込み、スリムなボディとがあいまって、足付きは良好。身長163センチの筆者がまたがっても、右足をブレーキペダルに置いた状態で、左足は親指の付け根まで地面に付けることができる。これはダートに行ったとき大きな安心感に繋がる。
走り出すと、ロードレーサーにも搭載されるLC8、V型2気筒エンジンは、低回転域からトルクがあり非常に扱いやすい。それでいて、優れたピックアップ特性でパンチの効いた加速も楽しめる。
足周りも優れ、ツーリングからダート走行までそつなくこなす。ビッグオフローダーに初めて乗る人でも楽しめ、腕に覚えのある人なら巨体をダートで自在に操ることも可能な懐の深さも持ち合わせている。
車体の大きさから今までビッグオフにチャレンジする勇気がなかった人にこそ、このバイクに乗ってみてほしい。その乗りやすさにきっと驚くはずだ。
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